軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

米国の先見性

18日は兵法研究会恒例の国防講座を靖国会館で実施した。
台風の進路を“思念伝達”で少し変更してもらい?当日は台風の影響と強い日差しから解放されるよう願ったが、全くその通りになったので“英霊”のご加護に感謝した。

夏休み入りとあってか、境内にはかなり家族連れが目立ったが、この日の講義は、「終戦70周年企画― 大東亜戦争、いわゆる“太平洋戦争”の真相はこうだ!」と題して、第1部  開戦の真相はこうだ!「なぜ日米開戦は回避できなかったのか?」を私が担当、第2部  終戦の真相はこうだ!「日本陸軍の本土決戦構想と対米終戦戦略」を会長の家村和幸君が担当したからか、会場は100名を超える盛況だった。


私の話は、日露戦争後、特に第1次世界大戦以降の世界情勢を語り、海洋国家たる日本はABCD包囲網という、実は海洋国家(シナは除外)からいじめられる構図になったのであり、あろうことか封鎖された海洋国・日本は日独伊という大陸国家と手を結び、その上一貫して脅威だったロシア(大陸国)と提携するという大間違いをした…ということにあった。

その後出席した若い御婦人が「松岡さん(松岡洋右外相)って知りませんでした」といったので愕然となったが、聞くと我が国の近代史はほとんど習わなかったのだという。万葉集関ヶ原よりも近代史こそ重要だと思うのだが、これは国立競技場建設さえ満足に推進できない文科省の大罪だろう。


そして私は大東亜戦争から、大陸国との付き合いはホドホドにしないと大きなしっぺ返しを食らうという教訓を学びとるべきで、現在の日本外交が親中派に傾き、他方反米派のうごめきがみられるから、日米開戦前夜に酷似していることを知ってほしいと思ったのである。この教訓に学ばず大陸に出稼ぎに行った日本企業が身ぐるみはがれて引き揚げてきて初めて理解するのだろうか。


ところで私は7月8日のこのブログに「沖縄の度を越した反米行動に飽き飽きした米軍は、次に東、南シナ海という広大な海空域をにらむことが可能な場所に基地を設置し、一部沖縄から移動させるのではないか?空理空論ではこの海空域の軍事関係は理解しづらいだろうから、私が講演に使ってきた“古い”資料を提示して出題するので、頭の体操をしてみてほしい。私は“そこに”既に基地ができているとみているのだが…」という設問を設けたが、なんと、台湾民政府の幹部から、その回答が届いたのである。


私は、退官後ほぼ毎年台湾に旅して、現地調査など10回ほど島内を見て回り、軍政関係者らとの懇談や各種会議にも参加したが、そのうちに台湾よりも我が国の方が危険だと感じて、台湾問題は台湾の国民に一任する形を取ってきた。


前回ここに出した「設問の回答」は、「米軍は台湾に基地をつくるだろう。そうなれば、この海空域は一挙に大東亜戦争終結直後の状態に戻ることになり今国会で空想小説を書き連ねている“物書きもどき議員ら”がいかに現実を見ていなかったかがわかる時が来るだろう」ということにあったのだが、今回届いた貴重な資料がそれを見事に裏付けているので、感心すると同時に納得した。
さすがは世界の警察官、“アングロアメリカン”だ。

昨年暮れころから台湾の友人が「台湾は大丈夫です!」と電話をくれるようになったので、私は半信半疑で、彼らが言う「建設中の広大なアメリカの施設」は基地ではなく、アメリカ式巨大スーパーか何かではないのか?と思っていたのだが、やはり軍事施設だったのである。
こうなると最近の国民党政府(馬総統)の動きにも納得できる点があることがわかる。

以下、民政府幹部のKさんから届いた、詳しい解説文と資料をご紹介するから驚かないでほしい。
これが国際軍事関係の実態なのだ。永田町でお遊戯に明け暮れている極楽とんぼたちよ、目を見開いて読んでほしい。


●米台関係の変化の裏側
 2010年7月4日、戦時国際法に基づきかつてアメリカ占領下の沖縄に設けられていた行政機構「沖縄民政府」に相当する「台湾民政府」が本格的に設立されました。裏の指導者は言うまでもなく米政府であるため、国民党政権は、台湾民政府の存在を恐れ、関連する情報を一切報道していません。
 そのため、一般民衆はなかなかその進度(変化)に気付きませんが、真実は隠しきれるものではありません。以下、今後起きる「政権交代」の前置きとして徐徐に進められていることについて紹介します。

1、台湾国内における米国の動き
 ほとんどの台湾人は、台湾は未だにアメリカの占領地であることを知りません。しかし、最近、米軍事政府(USMG)が台湾に駐在している証拠を部分的に見せ始めました。


●台湾の空軍基地(台中の清泉崗空軍基地、花連の佳山空軍基地、台南の左営基地、新竹の空軍基地等)は米軍の管轄下になりました。米空軍最新戦闘機F -22 と空軍隊員が進駐しています。領空は米軍によってコントロールされ、民間機による基地領空の夜間飛行は禁じられています。実際に夜間に香港から飛んできた民間機が着陸できず、香港に引き返した例があります。また、基地の台湾空軍隊員は現在、早期退役を迫られています。
台北近郊の内湖金湖路100読に2万坪の敷地に及ぶ軍用設備と800名の米海兵隊の宿舎が建てられています。沖縄の普天間基地と同じく租借期間99年+99年の密約になっています。(台湾のマスコミではほとんど報道されておらず、指摘された際には在台米国領事館(AIT)の敷地と回答しています。)ちなみに、世界で米軍の99年+99年の租借地キューバ、沖縄、台湾の三箇所あります。このうち、台湾は将来、東アジアの軍事指揮センター基地として予定されています。


東日本大震災の発生後、日本駐在の米軍がその家族を台湾に避難させる為、在台米国領事館の官員が公務を休んで、台湾の入管を制御して家族900名全員をビザ無しで台湾に入国させました。中華民国の外交部(日本の外務省に相当)はこの件について内政干渉等の表明を一切していません。


●2013年5月に台湾の漁船とフィリピンの公務船が衝突し、それによって漁民が射殺された事件がありました。台湾では大騒動となり、軍艦まで派遣されました。ところが、軍艦の上に中華民国の国旗ではなくアメリカの国旗が一番高く掲げられていました。これはアメリカの占領国であることを示唆しています。さらに、フィリピン大統領は「台湾は主権独立国家ではない」との発言をしています。
●米軍事政府は2011年の年末より本土台湾人の身分証(IDカード)を発行し始めました。現在、沖縄占領中(だった時)の沖縄人と同様の旅行文書(travel document)を製作中であり、2013年9月以降米国への入国ビザは要らなくなる予定です。
中華民国の軍隊は解体されつつあります。まず2011年6月末から全ての兵器から中華民国を象徴する青天白日ロゴマークは削除されました。また、軍隊を後方支援する「聯合後勤司令部」(Combined Logistics Command)は2012年12月28日に廃止されました。2013年には段階的に、陸軍、海軍、空軍の司令部を廃止し軍隊を大幅に縮小しています。(対外説明では予算不足が理由となっています。)また、2014年から台湾人の徴兵制度は廃止されます。


●米国は、1950−1980年の間の台湾に於けるアメリカ人の足跡(American Footstep in Taiwan)という写真展示会を高雄、台南、台北三大都市で開催しました。これは、「主要占領権国」である米国の台湾占領という事実を再現し、本土台湾人に歴史の真実を認識してもらうのが隠された真意ともいわれています。

≪軍事観察団の動きもあり、現役米軍人も参加している=これは個人撮影のものらしい≫


●今まで疎かにされた金門、馬祖で積極的に建設工事が進んでいます。これは台湾本土と違って金門、馬祖は中華民国に属するからであり、今後の逃げ場として建設されているためです。また、2013年5月にマスコミによって報道されましたが、出身地が金門、馬祖の人はアメリカヘの観光ビザを取得する際に、国籍が中国となっています。これについて、台湾のマスコミは「また中国による圧力か」と推測し、大騒動となりましたが、AITスポークスマンは「30年間ずっとこのように(パソコン上)設定されている」との回答をしています。
●米政府に台湾の法的地位は「日属米占」だと示唆された台湾民政府は、2011年12月20日、幹部総計150名にて日本を訪問し、靖国神社參拝と天皇陛下誕生日に參賀し日本台湾人としての責務を果たしてきました。


2、中国の動き
●「台湾は中国の固有領土」という一貫してきた発言が「台湾は中国の核心的利益」に変わりました。
●2012年2月、中国国務院は「海峡西岸経済区発展規画」の実施を許可し、大掛かりな平潭綜合実験区を建設しています。またこの地域において人民元と台湾元の「ダブル通貨制」が実施される予定です。これは台湾にいる中国人を戻らせるための準備が主目的と目されています。

≪両岸の退役将官の集まり:北京5月:インターネットから≫


参考までに「民政府」(civil government)について説明します。
 台湾民政府の法理論述に初めて触れるとき、真っ先に浮かぶ疑問は「民政府」という言葉ではないでしょうか?変わった組織や政党だと思われがちですが、「民政府」(平民政府)とは堂々とした政府です。
 政府は様々な基準に基づいて、地方政府、中央政府連邦政府のように分類されていますが、軍事政府と民事政府(民政府)は稀に聞<言葉なので、馴染みがないのは当然です。実際、今までの歴史を見ると、民政府は常に戦争後の産物なので、平和に暮らす人々にとっては無縁のものです。民政府は戦時国際法に基づいて成立されます。交戦後は「軍事占領時期」に入りますが、軍事占領は軍事政府によって行われます。しかし、永久占領は国際法に違反し、必ず管理権を当地の人民に返さなければならないので、その過渡期において民政府が成立される訳です。要するに、戦争終了→軍事政府による占領→当地人民による民政府の成立→民政府が軍事政府から管轄権を受け継ぐ、という流れになります。軍事政府は戦争以外の場面を除き、ほとんど表に出ることがないため、一般人民は日常生活において、その存在すら意識していません。ちなみに、アメリカが主導する軍事政府は「米国軍事政府」(United States military Government)略称【USMG】になります。
(以下省略)


さて、シナではこの夏に、北戴河会議が開かれるが、3010病院に入院している?江沢民李鵬ら反習近平勢力が、大同団結して習近平を追い出そうとしているという噂が現地に飛んでいるという。
江沢民は、習近平を選んだのは失敗だった、と公然と言っているらしい。会議以降、習近平は第2の華国鋒になるのかならないのか…


そんな流動的な情勢下にあって、予算が4倍(スカイツリー4本分)にもなった新国立競技場建設問題では、元高位高官?が取り仕切っているからか、誰も猫の首に鈴をつけることをしなかった。
こんな次元の低い運動会問題一つとっても、国の宰相たる安倍総理が動き、自ら決断しなければこの国は動かないということは本当に異常である。
雛段に雁首並べているだけの「無能な大臣」らにはあきれるほかないが、自民党は気が付いていないようだ。
こうしてあたかも“安倍首相一党独裁”であるかのような雰囲気を作り上げていては、敵の思うつぼにはまることを知るべきだ。それに、いくら若いといっても安倍晋三も人間である。


統帥綱領には「将帥は事務の圏外に立ち、超然として、常に大勢の推移を達観し、心を策按と大局の指導に集中し、適時適切なる決心をなさざるべからず…」「…事務は幕僚以下の職務にして…」とあるのだが、各所管大臣や官僚らの中に、首相を補佐する有能な幕僚はいないらしい。まことに気の毒だが、安倍首相には、より一層「健康第一」で過ごしてほしいと思う。この秋には、天下大動乱の“におい”がするから…

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