軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

地球の謎ときと宇宙の扉

立て続けにわが国の科学者がノーベル賞を受賞したので、沈滞していた国民の顔に笑顔が戻ったようだ。
それにしても文科系、理科系の在り方などが問われ、アジアにおける東大のランクが落ちた!と騒がれていた折、起死回生の一打だった。
それもお二人とも“農家”の出身で、山梨大と埼玉大出身だというから何とも快哉を叫んだ!と友人からメールが届いた。
本人は京大(建築)と東大(経済)の出身だ…


大村氏の受賞について、産経はこう報じた。
スウェーデンカロリンスカ研究所は5日、2015年のノーベル医学・生理学賞を、微生物が作り出す有用な化合物を多数発見し、医薬品などの開発につなげた北里大特別栄誉教授の大村智氏(80)ら3氏に授与すると発表した。大村氏が見つけた化合物は熱帯地方の風土病の薬などで実用化しており、医療や科学研究の発展に大きく貢献した功績が評価された。

他の受賞者はアイルランド出身のウィリアム・キャンベル博士と、中国籍マラリアの治療法開発に貢献した屠(と)ユウユウ氏。(中略)

大村氏は昭和50(1975)年、静岡県内の土壌中で見つけた新種の放線菌から、寄生虫や昆虫をまひさせる機能を持つ抗生物質エバーメクチン」を発見。この化学構造を改良し、米製薬大手メルクが家畜の寄生虫駆逐剤「イベルメクチン」を開発した。

≪盲目に苦しむアフリカの人々の像の前に立つ大村氏=産経から≫

この薬剤は57年、アフリカなどの風土病である「オンコセルカ症」にも極めて高い有効性を持つことが判明。メルク社が治療薬として製品化した。

オンコセルカ症は河川盲目症とも呼ばれ、線虫の幼虫が目に侵入して発症する。途上国では失明の主な原因となる恐ろしい病気だが、イベルメクチンによって症状の悪化を防いだり、感染を防いだりすることが可能になった。

イベルメクチンは世界保健機関(WHO)を通じ、アフリカや中南米などで延べ10億人以上に無償提供され、多くの人々を失明の危機から救った。

2013年にコロンビア、昨年9月にはエクアドルがオンコセルカ症の撲滅を宣言。イベルメクチンは他の寄生虫やダニによる感染症の薬としても広く使われている。大村氏は多くの機能を持つ化合物を微生物から400種類以上も発見したことでも知られる≫

こんな事実を私は全く知らなかった。7日の曽野綾子氏の「コラム」でアフリカの実情が紹介されていたが、すでに日本財団なども現地で活動していたらしい。大村氏は「人様のお役にたて」との母の教えを守ったそうだが、昔の日本人は確かにすごい! 教育のしからしめるところなのだろう。
製品化した「メルク社」も、利益追求しか頭にない製薬会社に比べて立派だ!


受賞後はいつものように、メディアが“特権をかざして?”お二人と家族をまるでアイドルの様にインタビューしていたが、質問の程度の低さにあきれるほかはなかった。梶田氏も含めてご本人はよくそれに耐えたものだと感心する。


梶田氏について産経はこう報じた。

ノーベル物理学賞に輝いた東京大宇宙線研究所の梶田隆章教授(56)が7日、産経新聞の取材に応じ、「当初は頭の中が真っ白だったけれど、日付が変わって、じわじわと喜びがわいてきた」などと受賞の喜びを改めて語った。

 科学の魅力について梶田さんは、「科学は人類が広い意味で協力して知の地平線を拡大する作業。一人一人の研究者ができることはそれほど大きくないが、自分が拡大していくプロセスが醍醐味」と話した。

若者の理科離れが進んでいることにも触れ、「だからこそ、科学研究の楽しさを多くの若い人に知ってもらえるような取り組みを、地道に続けていきたいと思っている」と強調した。(中略)
12月にはストックホルムで授賞式が開かれ、スウェーデン王室を交えた晩餐会やダンスパーティーなど華やかな行事が続くが、「まだ何があるのか全然わからないので、楽しいもなにも全く未知の世界なんです」と苦笑した。

今後の研究について梶田さんは「宇宙が加速膨張している意味を考えることが非常に重要だが、根本的に分かっていないことがまだたくさんある。次世代の若い研究者に期待したい」と話した≫


好奇心の塊のような氏のことだから、“全く未知の世界である”華やかな授賞式も難なくこなすことだろう。

≪研究室での梶田氏=産経から≫


スーパーカミオカンデは日本の技術力の集大成だが、実は若いころ浜松で知り合ったFさんは、当時は「浜テレ」と言われ、現在は「ホトニクス」と名前が変わった企業の人事担当取締であった。
F-86Fを見たいというのでご案内したのが縁で、その後いろいろとお世話になったが、コックピット内をのぞいたF氏は、次々と質問されたのだが、たしかに旧式機だったから疑問が噴出したのだろうが、私に何か所もの「改善提案」をされた。特にパイロットが身に着ける救命装備品はアイデア満載だったことを思い出す。
その後石油ショックで日本社会は低迷したが、浜テレはいち早く中近東に進出したと記憶している。
それは「儲け」を狙ったのではなく、中近東で教育を受けられずにいる青少年たちに、日本の学校で不要になった机やいすを無償で運んで提供していたのである。
「なんでそんなお金のかかる仕事を無償で…?」と聞くと、日本から寄贈された机やいすで育った子供たちの50年後の姿を思い描いているのだ、といったから驚いた。外務省ではなく、一企業人がである。


彼の発想は“飛んで”いた。発電機や大型家電製品などを輸出するのではなく、大きくもなく小さくもない「隙間製品」の開発に向かい、すでに普及し終わっていたテレビ関連ではなく、ホトニクス独特の「医療器具」に取り組んでいた。研究所長のS氏にも親交をいただいたが、残念にも亡くなられた…

今回、梶田氏が受賞する契機をつくったのは、日本独自のカミオカンデという装置だが、そこに使用されている各種の電光管は、たしか同社の製品のはずだ。

≪スーパー・カミオカンデ=産経から≫


今時の日本人は科学優先主義で、例えばUFOなど「科学的に証明されないもの」は無視し軽蔑するところがあるが、今回私は「科学ほど遅れている学問はないのじゃないか?」と逆に思った。
仮説が証明されない限り、「科学」として通用しないからである。


大村氏は今までふんだんに身近にあふれていた土の中から、人間を救う微生物を発見して、何億という人類を救った。
共同開発者の中国籍の屠(と)ユウユウ女史は、無冠の漢方医師だという。
漢方医学」というと、これまた現代医者は時代遅れだと軽蔑?するが、これほど天が与えた自然界に共存する人類に適した治療法はないと私は確信している。
それは、三沢や松島、沖縄という「薬が高くて手がとどかない辺鄙な環境」で育った老婦人方から教わった、先祖伝来の薬用酒に学んだからである。


気が付くと、何と身の回りにあふれている“雑草?”類に、先祖伝来の知恵を加えると、人体を切除せずとも本来持っている治癒能力で回復するか!、ということを知ったのである。もちろん「ファースト・フード」と「スロウ・フード」的な差はあるが…。

つまり、現代科学は、スーパーカミオカンデや、八ップル望遠鏡がなければ、NASAの実績も今ほど大きく上がらなかったのではないか?と思われるのである。
あの16世紀にコペルニクスが唱えた有名な「地動説」にしても、時期尚早だったため、彼は宗教裁判で殺された。生れ出るのが早すぎたのである。


宇宙無限論を唱えたブルーノが火あぶりの刑に処せられ、ガリレオも宗教裁判にかけられるなど、今考えれば実に愚かしい事件があったのは、説を証明するに足りる[器材]の開発が遅れていたからである。それにしても『宗教』とはいかに無責任なものか!
その点では梶田氏が、支えてくれた人々を謙虚に称賛するのはごく自然だし、たしかに氏はラッキーだったといえる。

≪欧州で実験中の大型ハドロン衝突型加速器=産経から≫


現役時代、基地を来訪した電機業界の社長と「超科学現象」の話になった時、京大で電子工学を学んだ彼は「物質をその極限まで細分化していくと、その先には“壁”があり先が見えなくなる」といった。
私は「壁の向こう側は宗教の世界だからです」といったのだが当時はオウム事件で世情が大騒ぎしていた時だった。
すると彼は「その問題に取り組んでいた先輩が突如退社したのですが、その後先輩はインドでヨガの修行をしているそうですから確かにそうでしょう」と同意した。先輩には壁の裏側が見えたのであろう…


今回のお二人の受賞にかかわる報道を見ていて、そんな感想を持ったのだが、さらに感動したのは、家庭が円満だということだ。すでに亡くなられた大村夫人は残念だったが、梶田夫人は何とも親しみやすい!
こんな家庭が、彼の研究を支えていたのであり、やはり家庭が円満であることが、すべての基礎だと思い知らされた。
こんな夫婦関係が本来の日本家庭の標準だったのだが…


ご両人の道は多少異なるが、ますます人類のためにご健闘いただきたいものだ。
そして梶田氏には、次はアインシュタインがその存在を予言した重力波を直接観測してほしい。そうなれば、宇宙空間の“神秘性”も徐々に解明されていくだろうし、≪知的生命体≫の存在に関する手がかりも得られ、宇宙の扉も少しは開かれるだろうから…


それにしても、21世紀どころか、22世紀に向かって進歩する実にすばらしいニュースだ。
近隣にはいまだに「歴史的退歩」を繰り返している、フェラーリに乗った「16世紀国」があるが、こんな国にいつまでも関わってはいられないことを、「未来へ挑む第3次安倍内閣」は世界に示してほしいものだ。
しかし科学者と政治家は、また別人種なのかもしれないが…。


≪棒状の銀河系=NASA


≪先月の中秋の名月=かぐや姫がメッセージをくれるかも…今後が楽しみになってきた!≫

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