軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

四面楚歌の習主席

習近平主席は、戦勝パレードを終えて夫人と娘を伴って訪米し、国連で演説するなどハードスケジュールをこなして帰国したが、国内の評判は非常に悪いという。
巨額の経費を使った外遊などの成果が上がっていないことと、政敵の江沢民派が勢いを取り戻した…と受け取られているからであろう。
確かにそれらは習主席の目論み違いだったといえる。つまり歴史を冒とくして≪虚構≫にすがったのだから、当然の報いだったのである。

≪国連で演説する習主席。心なしか元気がないのは空席が目立ったためか?=大紀元から≫

月刊中国」10月号によれば、彼は根幹を揺るがす次の6大失策をしたとされている。
1、 民主政治の約束を破った。
2、 補佐チームが痩せ衰えた。
3、 経済改革が挫折した。
4、 汚職撲滅を中断した。
5、 香港の政治改革が失敗した。
6、 度々親露政策を強調したことが、多方面から非難を浴びた。

確かにこの論調は、日本と世界の各紙に共通しているように見える。
特に第4項目は「虎退治が中断された」ことを意味するもので、オオカミやネズミやハエの類ではない。「虎は希少種として保護の対象になっているようだ!」と揶揄される始末。
その陰には、江沢民や曽慶紅グループの猛反発がある事は言うまでもない。噂では「王岐山は勇猛だが習近平は2の足を踏んでいる」という。それで二人の間には亀裂が入っているというのだが…


「ところが思いがけないことが起こった。習近平が高瑜を逮捕・処罰するという荒っぽすぎる手段をとった事により、王岐山はやむなくそれに異論を唱え、それまでずっと避けて通ってきた普遍的価値という話題を持ち出した。
この時生じた「亀裂」を「元通り完全に塞ぐ」ことは大変難しかった(月刊中国)という。
いずれにせよ、李克強王岐山が離反すれば、今後のかじ取りは容易ではない。


第6項の親露政策については、文革時代にさかのぼる。
文革下放された中学高校生たちは卒業を止められたから、この世代の知識青年らの多くは、モスクワ放送を通じてソ連親派になったものが多いというが、彼らはその後、ダマンスキー島をめぐる中ソの紛争で、終戦まじかの満州同様、ソ連の大軍が、中国東北部に侵入してこの地域の婦女子を蹂躙したことを知らない。他方、文革当時に一番人気があったのは「ヴォイス・オブ・アメリカ」であった。
下放されていた習近平が、「…アメリカ」ではなく「モスクワ放送」をこっそり聞いていたのかどうかは分からないが、彼が主席になってからロシアに恋々とすることは事実であり、それで5月のモスクワにおける「反ファシズム戦争勝利70周年式典」に参加したのだと言われている。
そこには民主という看板を掲げているものの独裁国が集まっただけで、その中に「黄色人種習近平」がぽつねんと立っていたことに反感を覚える支那人は非常に多いらしい。
確かにプーチンはそのお返しに北京の式典に駆けつけている。

このような情勢から、2年後に迫った19大(共産党第19回大会)では、食うか食われるかの壮絶な“席取り合戦”が繰り返されるだろうが、習近平はこれにどう対処するのか?と憂慮されているという。


さて、大紀元日本は10月8日、
中国共産党の第18期第5回中央委員会全体会議(5中全会)は10月中旬に行なわれ、会期は3日と予想されている。香港メディアの評論文章によれば、既定の議事日程以外、最も関心を引くのは中央指導層の人事異動、つまり政治局、書記処、軍事委員会委員の調整に関することである。(中略)
 今年7月20日中国共産党中央政治局は会議を開き、10月に開く5中全会の主要な議事は政治局による中央委員会への報告、そして「国民経済と社会発展の第13次5カ年計画を制定するための提案を研究すること」だと決定した。
 10月2日、香港メディア「東網」の評論によると、第13次5カ年計画以外に、5中全会は失脚した一部の高官を中央委員会から除名すること。その中には、令計画・前政治協商会議副主席、周本順・前河北省トップ、楊棟梁・前国家安全生産監督管理総局長の3人の中央委員、および8人の中央候補委員が含まれる。(中略)
…軍隊の七大軍区は恐らく東南西北中の五大作戦区に変わり、軍総参謀部、軍総政治部、軍総装備部と総後勤部の四大部は恐らく存在しなくなる。中央軍事委員会の権力は強められ、恐らく下に三つの委員会と六つの部を設け、軍事委員会委員も今の10人から15人まで増加すると伝えた≫と報じている。

天津の大爆発も秘密のベールに閉ざされているし、その後広西省で起きた連続爆発事件は、個人的恨みを持つ者の犯行だとして決着されているが、実はそれを含めて、政府に対する個人テロの可能性が高かったことが分かった。

≪広西省爆破事件の犯人自爆。33歳の壮族青年は柳州市にある爆破工程有限会社(石材採取業)社員、政府に家も財産も奪われた報復に出たもの。自爆する前に「やっと人を殺す時が来た!現地政府が俺を無理やり冤罪にしたから仕方がない…」などとネット上に書き込んでいたという。人民にこのような反政府行為を取らせる国家とはいったいなんだろう?=インターネットから≫




≪安倍首相と、習近平主席の揮毫の比較。これを見た香港人は「漢字文化の真の継承者は日本だ!」と書き込んでいる=月刊中国から≫

矢張り来年のシナは、権力闘争の終盤に差し掛かる時期なので「想定外の騒乱」が起きると見ておいた方がよいだろう。
国内の統制が危機に瀕した時、人民の目を外に向けるのが共産主義政権の常とう手段だが、爆買いで来日した人民が人民解放軍の「日本侵攻」に反対してくれるとはどうも思えないから…


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1、
ジャパニズム27号。青林堂¥926+税≫

今月は三島由紀夫特集である。市ヶ谷台で自決してから45周年、三島の言った通り、事国防についてこの国は見るも無残な体たらくを示している。
与野党とも、憲法が問題であることを国民に示しておきながら、それを変えようとしないのだから、「憲法9条」はよほど儲かるのだろう!
案外ノーベル平和賞に選ばれたりして…悪い冗談。
今号には「沖縄メディアが報じない不都合な真実を知れ」と題して、先日海兵隊を解雇されたロバート・D・エルドリッジ氏と私が対談している。
既に退官して18年過ぎたが、沖縄の現状は少しもよくなっていない。
当時保守派の政治家で、自民党の代表だった翁長那覇市長が、今や反日沖縄県知事になっているのだからあきれてしまう。世の中とは不思議である。憲法9条も金になるが、普天間ももっと金になるらしい…乞うご一読。

2、
≪軍事研究11月号ジャパン・ミリたり・レビュー¥1139+税≫

毎号軍事の高度な論文が掲載されているが、最近は元自衛官が堂々と専門分野の意見を書いているので喜ばしい。今月は「空自F−35の調達は42機にとどめよ」という元補給本部長の見解は一読に値する。戦闘機の性能ばかりが話題になる中で、彼は調達方式の問題点をついている。その他、ロシア空軍の動きは要警戒!

3、
自衛隊の経済学:桜林美佐著・イースト新書¥861+税≫
わが友(と言ったら肘鉄を食らうかな〜)桜林女史の新著である。国防女史の走り?とも言っていい彼女の見識は高く評価されていて、講演などで3自衛隊から引っ張りだこの様子。実情を目で見て書くのだからこれ以上の事実はない。戦争は金次第であるともいえる。
折角世界第二の金満国になったシナが、軽々に正面から攻めてくる可能性は低かろう。
しかし民間企業的な、外交活動のような、研究活動を通じるなど、一見平和的手段で攻撃してきたら、日本はどう対応するのだろう?と考えてしまう。
国防と金の問題について、経済評論家の上念司氏との対談が面白そう。日本を完璧に守るには、いったい何兆円かかるのか?については野党に聞いてみたらよかった。彼らは集団的自衛権に反対するのだから、日米同盟にも反対のはず。きっと自主独立・自主防衛主義なのだろう。ぜひ彼らに読んでほしいものだ。

中国 驚愕の性奴隷

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月刊中国2015年7月号

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戦闘機パイロットという人生

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