軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

新聞休刊日に世界は動く?

今日は新聞休刊日、朝の行動予定に少しだけ余裕が出るが、この日に限ってTVやインターネット上には、重要案件が出るので気が抜けない。

今朝の大きな動きは連動した株価の値下がりか?
しかしその前兆は既にあった。中国国内で預金消失事件が多発していたのである。12月10日付の大紀元日本は、「銀行に預けているはずの定期預金が消えた。にわかに信じがたいことだが、実際に中国で最近多発しているという」として、「中国国内メディアが相次いで複数の被害例」を報じていた。


≪消えた2000万元以上の定期預金
中国浙江省の地方紙、銭江晩報が6日に報じたところによると、省内在住の5人が、約1年前に山東省農村部の金融機関「農村信用社」の同じ支店でそれぞれ定期預金を預け、最近、満期を迎えた預金を引き出そうとしたところ、信用社から5人の預金通帳は偽造されたもので、コンピューターシステムには該当する預金記録がないと告げられたという。

5人の被害額はそれぞれ800万元、670万元、226万元、500万元、127万元(1元は約19円)で、被害総額は2323万元(4億3800万円)にのぼる。同紙は、被害者が他にも多数いると報じている。

別の中国メディアが11月29日に報じたところによると、安徽省毫州の女性が1年前に預け入れた5万元(約95万円)を引き出そうとしたところ、銀行から残高が5000元(9.5万円)しかないと告げられた。警察に通報しようとする女性を、銀行側は「独自で調査を進める」と言って止めた。だが1カ月たって女性が受け取った答えは、当時の担当者がすでに転勤しているため、解決方法はないというものだった。女性はその後、警察に被害届を出した。
また、6日には、陝西省のニュースサイト、華商網が「西安市招商銀行に口座を持つ女性が、この銀行のオンラインシステムからログアウトした数分後、顧客情報の更新を要求する偽メールを受信した。女性がパスワードなどの情報を入力したところ、その直後に口座にあった20万元(約380万円)が全額、何者かに引き出された。
3日には別の中国メディアが、浙江省在住の12人の被害を報じた。山東省浜州市浜城区の農村信用社で預金を引き出そうとしたところ、銀行側は、預金は1年前に降ろされており、彼らの通帳は偽造されたものだと指摘したという。被害総額は約6200万元(約1億2000万円)にのぼる。

銀行側は、12人全員の通帳の番号と銀行側の担当者名の両方が、実際には存在しないと説明、「自らの責任ではない」としている。大紀元本部のコラムニストは「これらの預金失踪事件は、銀行内部のものが主犯である可能性が高い」と指摘、中国金融システムのセキュリティ管理のずさんさを問題視している」≫というものだが、私は2000年10月に同じことを体験した。


西安で買い損ねた「公道杯」をガイドしてくれた若い女子大生に発注し、品物が届いたので代金を送った時のこと、1か月後に「届いていない」と彼女から手紙が届いた。そこでとりあえず、現金を封筒に入れて彼女に送金し、三和銀行の送金表をコピーして送付したところ、彼女から「今回、この伝票を係りに見せたところ、しぶしぶ現金を渡してくれた」と報告があり「2重どりになってしまい申し訳ありません」と丁寧な謝りの手紙が届いたのである。彼女は満州人で、化学工場の管理者をしている両親は「日本のことを尊敬していた」と話していたから、中国の銀行がいかに信用できないかを縷々書き送ってきていたものだ。このころから人民はほとんど自国の銀行は信用していなかった…


≪公道杯(インターネットから):ある一定量以上水を入れると、一気に下に抜けてしまう。“腹八分、欲張れば元も子もなくなる”という教えだという。昔のシナの王様は偉かった!≫


次は「消えた中国の富豪…新たなチャイナリスクが露見 当局拘束で「星野リゾートトマム」買収に暗雲」というSANKEI EXPRESSの≪郭広昌氏が率いる「復星集団」の傘下企業が11月に全株式を取得したばかりの「星野リゾートトマム」。郭氏が中国当局に拘束され、トマムの行く手も視界不良となった≫という記事である。


≪中国有数の民間投資会社「復星集団」の会長で、米著名投資家ウォーレン・バフェット氏(85)になぞらえ「中国のバフェット」とも呼ばれる郭広昌氏(48)が、10日から当局の拘束下におかれ、周囲と連絡が取れなくなっている。中国メディアが報じたもので、これを受けて関連株が軒並み下落。上海証券取引所では11日に復星傘下企業の上場株が取引停止となった。復星は日本とも関わりが深く、傘下の上海豫園旅游商城が先月、北海道占冠村にあるスキーリゾート「星野リゾートトマム」の全株式を約183億円で取得したばかり。トマムはどうなるのか? 新たなチャイナリスクが露見した形だ≫


しかしこれは逆に我が国にとってはラッキーだったといえよう。次の「中国資本“爆M&A” 北海道トマムだけではない 草津、石和にも食指」という夕刊フジの記事を読めばわかる。

≪中国資本の日本進出が止まらない。北海道のスキーリゾート「星野リゾートトマム」の買収は衝撃を与えたが、その食指は今、国内旅館に伸びようとしている。円安や東京五輪で訪日外国人がさらに増えることを見越し、最近は東京や京都といった訪日客に人気のゴールデンルートのエリア外にも投資が加速。古い体質から抜け出せず経営を悪化させる地方の旅館は“草刈り場”と化す恐れがある。古き良き日本の温泉街風景が一変しかねない事態だ。
「『旅館を買いたい』との問い合わせは、毎日20〜30件はあります」

ホテル・旅館の経営コンサルタントでホテル旅館経営研究所所長の辻右資氏のもとには、東京五輪の開催が決まった2年ほど前から外国人からの相談が殺到するようになった。7割が中国人で、日本人の投資家と競合する物件では破格の金額を提示、買収を実行していくという。

最近は地方の温泉旅館に関心が集まっているといい、「先日は日本人が8000万〜9000万円とした日光の温泉旅館を1億5000万円で買っていきました」と辻氏。「中国人は温泉好き。客足が減り経営に行き詰まる地方の旅館でも中国から観光客を連れてくることで十分稼げると踏んでいる」と話す(以下略)≫


国民が知らないところで、わが国の国土や資産はどんどん侵略されているのだ。しかも“合法的”に…

シナの友人は「こんなばかなことを許しているのは日本だけよ!いくら自衛隊が頑張っても、これじゃ領土は守れないよ」と外国人が不動産を自由に購入できる我が国の“無法さ”に呆れ果てている。対馬も韓国人が買い占めている…。沖縄は大丈夫か?


そればかりか、国内のホテルには裏から「中国人を爆買いに行かせるのでその宿泊施設用に確保してほしい」という条件で日本人客を締め出させたり、ホテルをどんどん建てさせている中国資本家がいるというのだが…


沖縄勤務時代、元長官経験者が、土地の有力者を引き連れて立ち寄った際、私は「部下たちは中台紛争に備えて連日南方を警戒している。それなのに永田町の大本営は何をしているのですか!明けても暮れても茶番劇ばかり、これじゃ部下たちは前方よりも後方が気がかりで、真剣に南を向いて警戒に当たれない。議員にはしっかり仕事をしてほしい」といったことがあった。

しかし彼は「まあ、そんなに落胆するものじゃない。PKOなどで国民の自衛隊に対する理解度も“徐々に”よくなりつつある」と言った。自衛隊は創設以来すでに半世紀以上たっていたにもかかわらず…


政治はこの程度の体たらくだったが、あれから約20年、すでに正面よりも後方で“徐々に”侵略が始まっているのだ。


ところでそのシナの国内では軍事改革が施され、来年1月1日から施行されるらしいが、30万人削減という習主席の公約が重くのしかかっているようで、軍隊内部には不満が積もりつつあるという。

そこで、友人から、前回の「一覧表」は読めないので見せてほしいといわれた。中国語字体にミスがあるかもしれないが、読めなかった一覧表(大変失礼)をここに書き写しておくことにする。ご参考まで


中共中央軍委改革後の内部の各機構主師(主要幹部)名簿≫

「三委」
軍委紀律委員書記:劉源(64=劉少奇中共主席の息子:上将)
軍委政法委書記:趙克石(68=元・総後勤部長:上将)
軍委科技委主任:劉国治(55=現総装備部副部長:中将。中国科学院院士マイクロ波、極超短波専門家)

「六部」
聨合参謀部総参謀長:蔡英珽(61=現南京軍区司令:上将=張万年の秘書)
政治工作部主任:張陽(64=現総政治部主任:上将)
訓練管理部部長:乙暁光(57=現副総参謀長:中将=習主席の腹心)
国防動員部部長:王冠中(62=現副総参謀長:上将=以前揚尚昆の秘書長)
聨合保証部部長:周松和(60=現総後勤部副部長:少将)
装備発展部部長:劉勝(59=現総装備部副部長:中将)

「1斤」
中共中央委弁公庁主任:秦生祥(58=現軍委弁公庁主任:中将)

「五局」
軍委審計署審計長:孫黄田(62=現総後勤部副部長:中将)
軍委管理保障局局長:劉志明(58=現瀋陽軍区聯勤部部長:少将)
軍委外事局局長:関友飛(58=現国防部外事弁公室主任:少将)
軍委軍援軍貿易局局長:馮丹宇(53=現総装備部総合計画部部長:少将。馮玉祥将軍=国民政府時代の抗日将軍として有名:の孫)
軍委戦略規格局局長:(名前は不明)


ついでに解放軍報に非常に興味ある情報が出ている。
それは総参謀部、総政治部、総装備部、総後勤部の権力に制約が加えられ、その権力を中央軍委が握ることになったこと。
今までは軍委は見かけ倒しで実権は4総部にあった。
次は今までの大軍区における、戦時作戦の指揮権と平時の訓練管理権力を2分したことである。
しかし部隊の管理権は軍種に属しているから依然として陸、海、空3軍司令部が維持している。ミサイル部隊は陸軍であろう。こうなると、各種の兵種の指揮官によるクーデターは困難になる、と軍報は書いている。
したがって習近平の軍事改革の意味するところは地方軍閥の謀反(クーデターなど)を困難にし、胡錦濤のように10年間権限のない“軍委主席”にならないよう、いち早く軍権を掌握することにあるとみられる。
それは軍委戦略規格局局長が未定であることからもうかがえる。


更に習政権は「戦略支援軍」という新軍種を設置したらしいという。
この新軍種は「第2砲兵(ミサイル部隊)」「電子戦と航天(空軍)」の3軍種を含んでいて戦略支援軍司令はミサイル部隊の魏鳳和上将、政治委員は王家勝中将だという。
博聞社によれば、この新軍種は陸海空軍と同じレベルで、3兵種を管理するという。特に電子ネットワーク技術偵察を重視しているというからわが政府は用心するに越したことはなかろう。
どうもシナ軍は情報奪取と宇宙支配をもくろんでいるようだが、司令の魏鳳和上将、政治委員の王家勝中将はかって総装備部第27試験訓練基地(江西省西昌衛星発射中心)の政治部主任だったことを見れば、新設された「戦略支援軍」の今後の動きには注目が必要だろう。


このような中国の軍事改革の影響がどう出るかは、今後を見なければわからないが、軍内部に相当のフラストレーションが蓄積されるだろうことは間違いない。それが共産党に向かうのか、それとも“爆発”するのか、するとすればきっかけは何か?など、稼働する来年に備えて情報を整理しておくべきだろう。


面白いことにそれに先行して?人民日報は習近平主席の外交成果振りをやけに強調し始めているらしい。これが何を意味するか?


≪博聞社は、党の機関紙である日報が習近平主席と世界各国の指導者たちとの会見写真を次々に発表したことを取り上げた。習近平毛沢東同様、個人崇拝を進めているから高度の警戒が必要だ、との書き込みが殺到しているという=インターネットから≫


軍改編と因果関係があるかどうかは知らないが、私にとっては「馮玉祥」という忘れられない名前が出てきたので驚いた。
シナ事変勃発直前、モスクワは北部の馮玉祥を支援していた。しかし彼については「苦力の生まれ育ちであり、その出身階級の粗野な本能でもって自分の個人的な目的を達成するために絶えず忠誠心を変えており、中国の将軍たちの中でさえも最悪の略奪者の一人であるクリスチャン将軍」とさげすんでいたのである。
図らずも今回の軍上層部の名簿の中に、そんな彼の孫である軍委軍援軍貿易局局長:馮丹宇少将の名前を見るとは思わなかった。

その上彼の「軍援軍貿易局局長」という役職がいい。多分装備を一手に管轄する立場だろうから横流しも可能なのかな〜。


12月13日の博訊新聞網に拠れば、中国は米ロについで世界三位の武器輸出国だとされている。しかし世界の常識が通用しない国がらであり特に軍は独立採算制?を取って懐を温めている。そこで各軍種の儲けがなくなったら、彼らは紛争国に小火器に限らず、大型兵器も“輸出”するのではないか?
現に紛争地では中国製兵器が大活躍しているのだから、その方が心配だ…とシナ事変前のシナの軍閥のアンモラルな活動を読みながら心配になった。

何はともあれ、年内には大きな経済的変動でも起きない限り、上記の新軍主要幹部名簿は公表される。専門家の検討を期待したい。

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