軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

年の初めに

「年の初めのためしとて、終わりなき世の目出度さを〜」と元日を寿ぐのが、日本国のしきたりだったが、最近は門松もしめ縄も見かけることがめっきりと減った。まるで外国に占領された気分になる。

昨日で松の内も終わり、いよいよ平成28年も始動した感があるが、国際情勢、特に中近東情勢は予断を許さない展開になってきた。緊迫した情勢に輪をかけるように、情報も混乱していていたずらに市民の不安を掻き立てているようだが、これは情勢不利なグループの常とう手段だから、慎重に分析する必要がある。
昔だったらとうに「戦争」状態なのだが、現代戦は「ああ、堂々の輸送船…」で始まることはまずありえない。
常に奇襲的に市民を巻き添え(防御装置の一部)にして戦うのが、国家組織以外のグループの取る戦術だからだ。巨大な軍事力の発揮しようがなくなりつつあるのが現代戦の特徴であり不正規戦といわれるゆえんでもある。
クラウゼヴィッツが言った「政治の継続」である戦争は、国家組織をなさない組織に対しては発動が困難になったということだろう。
相手は不規則に「宣戦布告」するが、相手として対象のない組織には布告しようがない。だから空爆主体なのだろうが、陸上戦闘を主とする相手に対しては、陸上戦力で戦う以外に効果はない。
オサマビンラディーンも空爆ではなく、虱潰しの手法で処理したのではなかったか?

≪ラディン殺害特殊作戦を見守るオペレーションルーム。なんとなく最高指揮官の影が薄かったが…:インターネットから≫


国際公務員”で構成された国際組織も全く無力で、「お祭りごと」だけには熱心である…。
そんな中、食うに困っている市民をさておいて、北朝鮮は時代遅れの水爆を開発したとか・・・


しかしこの裏には伏線があったという。それは“盟友”であったはずのシナに対する威嚇だというのである。
昨年12月、北朝鮮の“親善使節牡丹峰楽団に対する北京の仕打ちに対抗して、同楽団がドタキャンして引き上げる事件があったが、その団長の女優・玄松月は「金正日の最後の愛人」だったと韓国の「国民日報」が報道した。
彼女は普天堡電子楽団の歌手だったが、「駿馬姑娘」という曲が金正日に認められて愛人となり、それで団長になったことを北朝鮮の幹部や住民らは熟知していたのだが、それを知ったシナの一部メディアが12月25日に“興味本位に報じた”ので、これを息子の正恩が怒って≪水爆実験≫をさせたのだというのだが、そんな次元で「政(まつりごと)」を行う国家がまだあるということか。

牡丹峰楽団団長の女優・玄松月=シナのインターネットから≫


その真偽はさておいて、今回の“水爆”実験で困ったのはシナだろう。何せ国境を接しているし、下手すると最も厄介な「敵国」になりかねない。
朝鮮半島の安定を一番欲しているのがほかならぬシナだからここで事を構えられては困るのだ。
しかし反抗したら手を下すだろう。情報によるとシナはとっくの昔に「中性子爆弾」を開発しているそうだから。


≪最近中性子爆弾製造に成功したシナは、短射程ミサイルに装備する可能性がある、と米国で報じられた。シナでは轟-6K改良型のミサイル搭載爆撃機に搭載予定だという≫


ところがそのシナの軍隊で異変が起きているらしい。
以前一部書いたが「対日強硬派」で鳴らした羅援元少将が、新浪ネットの個人ブログに「総後勤部政委劉源の講話記録(『心中永存ー向総後勤部告別』)」を掲載したという。


習近平の軍事改革で、軍高官の退役は、現役の38名の大将、千余名の将軍らの人事手配で非常に難しい。そんなさなかに劉源が自ら退役すると報じられたことは、人事手配に苦しんでいる習近平主席にとっては非常に助かるものだったという。この“正義のために命を捨てる”という自己犠牲精神は人事に大きく貢献した。つまり劉源の勇敢な決断は、他の将軍たちの手本になったというのだが。

≪2012年11月16日、胡錦濤時代の軍事委員会拡大会議時における劉源将軍の挙動(印)。習近平が総書記に就任する紹介しているときの様子で、目は天井に向けられ、手は椅子の手すりを軽くたたき、頭は上下に振れるなどの挙動を取った。机上には紙も筆記具もなかった。これが何を意味するのか…当時のインターネットから≫


日本国民の目は今、最もホットな中近東に向けられているが、一番身近なアジア情勢を左右する動きがすでに出ていることを忘れてはなるまい。


北朝鮮の象徴的な“実験”によって、半島をめぐる力の均衡が機微になっていることだ。
韓国の朴大統領はいつまでも“幻の慰安婦問題”で政権維持が図れなくなってきたこと、シナは年初めから、経済状況に大きな陰りが出現したこと、それによって世界の“株式市場”は左右されかねず、NY発ならぬ上海発大恐慌の出現の可能性が出てきたことである。

おまけに中東危機がこれに加わった。

ホルムズ海峡封鎖も懸念され始めている。そんな中で、世界の警察官を放り出したオバマ大統領は、国内の銃規制問題を“泣いて訴える”有様で、米国大統領は「世界のリーダー」であったという誇りを捨てたようだ。

強大な軍事力の利用法を知らないばかりに、世界を不安定な状態にして憚らない、いかにも米国の「リベラル政治家」がもたらす弊害が噴出している。
三沢時代、米軍人夫妻の「弁護士大統領は口先だけで頼りにならない」といった言葉が思い出される。
米国では「路上に寝ている犬を見つけるとブレーキを踏むが、弁護士だとアクセルを踏む」といって笑ったものだ。
これがノーベル平和賞受賞者の実態なのだから、アメリカ人の多くも不平不満タラタラだろう。そして次期大統領選に突入する…。

わが国だけは穏やかに松の内を過ごせたが、“一国平和主義”を貫けない情勢が日に日に近づいていることがやがて身に染みてくることだろう。
わが政府よ、危機に対する備えは十分か?

リベラルたちの背信―アメリカを誤らせた民主党の60年

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チャイナハンズ―元駐中米国大使の回想 1916‐1991

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暗黒大陸 中国の真実

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