金曜日は、三島由紀夫研究会で「自衛隊が守るべきもの」と題して講演してきた。有識者の集まりらしく、真剣でその後の懇親の場も盛り上がったが、今時「新憲法を破棄して一旦明治憲法に戻り、その後整備していく」などという“皇国史観”を説くものは、無視されるのじゃないか?と思ったが、賛同者が多かったので、面食らったほどだった。
まだ、日本人の「精神の核」は失われていない!と嬉しくなった。
ところでアメリカ大統領選がいよいよヒートアップしてきた。共和党の混乱に乗じて、トランプ氏が優勢のようだが、今まではそれを誰も予測できなかった。
「誰も」といってもそのほとんどを取り仕切っているのはメディアだが、メディアも“商売優先”だから、時には予測を誤るのだ。何事も自分に好都合なように「世論を誘導する」のが彼らの得意技だから…。
26日、産経にこんな記事が載っていた。
≪「トランプ氏不支持を要求 米ワシントン・ポスト紙が異例の社説「資質に欠ける」
米有力紙ワシントン・ポストは25日付で、大統領選共和党指名争いをリードする実業家トランプ氏について、大統領としての資質に欠けると痛烈に批判し、党の有力者らに対し不支持を明確にするよう強く要求する異例の社説を掲載した。
トランプ氏は序盤戦で3連勝し指名獲得に自信を見せ始めている。社説は、強権的なロシアのプーチン大統領を称賛する姿勢を問題視し、トランプ氏が主張する不法移民1100万人の強制送還は「(旧ソ連やカンボジアの)スターリンやポル・ポト以来の強制措置だ」と批判。「共和党は自らの品位の劣化に抵抗しないのか」と問い掛けた。
社説は「トランプ氏の勢いがいずれ衰えるという見立ては誤りだと証明された。良識ある指導的な立場の人々が今こそ『トランプ氏を支持できない』と声を上げる時だ」と論じた。(共同)≫
ワシントンポスト紙自体が“品位の劣化”を起こすことがないので“資質に欠ける”ことはないのかどうかは知らないが、自分だけは“良識ある指導的な立場”にあると信じているのだろう。マ、信じるのはだれでも自由だ!
以前日本新聞協会が、「新聞の作る世論が政治を正す」などと実に傲慢チキな標語を恥ずかしげもなく掲げたことがあった。
彼らに言わしめれば「世論とは自分たちが作るものだ」と錯覚している証拠である。そんな“誘導記事”を読まされている読者こそいい迷惑なのだが、その実例は、例えば「“従軍”慰安婦」「南京“大”虐殺」など、新聞が捏造した忌まわしい“事件”で証明されている。
数限りない捏造、誤報記事で、わが国の名誉が大きく傷つけられたことは今更説明するまでもなかろう。
自衛隊の事故・事件記事もその例に漏れなかったから我々はよく自覚している。
今日、洋の東西を問わず、インターネットの発達によって、“古新聞”になりやすい「紙の情報」は、販売部数的には日に日に減退の一途をたどりつつあるから、ワシントンポスト紙も焦っているのかもしれない。
それよりも、選挙戦中に“彼”を非難したメディアの存在が危うくなる、と察して、それを阻止しようと躍起なのかもしれないが…
ついに共和党からも、トランプ氏を支援する議員が出現した。これが追い風になるかどうか知らないが、少なくとも“既成政治家ら”は相当焦っているに違いない。
≪共和党 クリスティー氏がトランプ氏への支持表明=インターネットから≫
他方、CNNによると、 メキシコのフォックス元大統領は26日、米大統領選の共和党指名候補争いで支持率首位の実業家ドナルド・トランプ氏に触れ、ナチス・ドイツのヒトラーを想起させると批判した。
CNNとの電話会見で述べたもので、「彼は米国を紛争や戦争などに見舞われた古き時代に引き戻そうとしている。ヒトラーを思い起こさせる。彼が始めた言動はまさしくのその方法だ」と主張したという。
≪メキシコ元大統領、再度のトランプ氏批判 ヒトラーと指弾=CNN≫
ヒトラーを出現させたのは、戦勝国が押し付けた過酷なヴェルサイユ条約や、ワイマール憲法、世界恐慌からくる失業問題が含まれるとされるが、敗戦国ドイツ国民を襲っていた「先行きの見えない不安」があったことは避けられない。そこに登場したヒトラーが、共産党の台頭をおそれる資本家や軍部の支援を受けることに成功して、“民主的?”に政権を獲得し、その後も大衆受けするプロパガンダを繰り返したことにあるといえよう。
≪ヒトラーと握手するチェンバレン首相=インターネットから≫
そのころ、戦勝国であったイギリスは、チェンバレンが首相であったが、ミュンヘン会談の結果、スロバキアはドイツの保護国に、ウクライナなどはドイツの同盟国ハンガリー王国に編入され、チェコもドイツの要求に屈し、併合され、ミュンヘン会談合意は完全に無視されたにもかかわらず、チェンバレンは強硬な抗議を行っただけで「軍事的措置」はとらなかった。これをチェンバレンの「融和政策」と呼ぶが、現状の「オバマ政権」と酷似しているといえまいか?
こうしてついに1939年9月1日にヒトラーはポーランドに侵攻、第2次世界大戦がはじまるのだが、チェンバレンに代わってイギリスにはチャーチルが登場する。
≪チェンバレンの後を継いだチャーチす首相=インターネットから≫
歴史は繰り返すというが、閉塞感に包まれた現代アメリカ国民の選挙で取る行動が、トランプ氏をこの時の「ヒトラー」にするか、それとも「チャーチル」にするのか、見ものである。
CNNの取材に答えたメキシコのフォックス元大統領はそこまで読んで答えたのか?それともありきたりの例として「ヒトラー」を挙げたのか?
ワシントンポストもCNNも、情報産業である。どんなにいいことを書いても“製品”が売れなければ成り立たない。そして“それ”は彼らが担ぐ政権に左右されやすい。
政治の横暴を監視することよりも、「売れるための世論」を構築するのが目的じゃないのか?
綺麗ごとで「世界平和」「国民の幸福」「報道の自由」を叫ぶことよりも「背に腹は代えられぬ」から、自社の安定経営を最優先させる気配を感じるのだが…。
いずれにせよ、外国の選挙戦だから高みの見物しかできないが、その後の影響が大きいことだけは確かである。
わが政府は、その影響についてあらゆる状況を勘案して、着実に分析していることを期待したい。
状況によっては「第3次世界大戦」が始まるかもしれないのだ。
いや、中にはすでに始まっているという意見さえあるが…
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