軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

現代の“お代官さま!”

豊洲市場問題は、都議会が始まるやますます過熱しているが、いいことだ!
今まで「なあなあ」で曖昧にされてきた“闇の問題”の一つが、納税者である都民の眼前に暴露されたのだから、それだけでも小池都知事の功績は偉大だ。


前回も書いたが、この問題の根底にあるのは、いつ、誰が、誰と組んで、なぜ一大廃棄物処理場化して、二束三文だったこの場所を、膨大な都税を投入してまで「生鮮食料品を扱う都民の“台所”」にしようとしたのか?にある。

家を建て替えるのに、今までご不浄(便所)だった場所を、同じ水回りだからと言って、台所にしたようなものである。

やがて時がたつと、家族が「なんとなくこの水臭うわね〜」となり、「そういえば皮膚にブツブツができた」と床下を気にするようなものだ。
そこで家人が設計士を呼び、図面を見て初めて台所が昔「便所」だったことがわかる!という寸法だ。


既にこれまでのTVや新聞情報、週刊誌情報で、全体像の一部は浮かんできているから、そのヒントだけを書いておこう。

●ヒント1
「9月25日の【花田紀凱の週刊誌ウォッチング〈584〉】小池百合子都知事が開けたパンドラの箱豊洲「地下空間」は8年前には議論されていた!」

築地市場の移転問題、『週刊文春』と『週刊新潮』(ともに9月29日号)が期せずして「パンドラの箱」という言葉を使っている。

 〈パンドラの箱を開けて見つかったコンクリの箱〉(『文春』)

 〈彼女が開けてしまったのは、もう20年以上も揉め続けてきた「豊洲」というパンドラの箱〉(『新潮』)

 『文春』が「豊洲の『戦犯』石原慎太郎とドン内田」で5ページ。『新潮』は大張り切りで「意味不明が多すぎる『豊洲のパンドラ』20の疑問」、ワイド型式で10ページ。

 『新潮』「20の疑問」には驚くべき情報がいくつも。

 〈「2年前の『技術会議』の資料に“建物部には盛り土せず地下施設がある”と示されている。更に2008年の同資料から、『地下空間』が何度も議論されていることがわかる。これら資料は都のHPで誰でも見られる」(京大大学院工学研究科・藤井聡教授)〉

 〈「盛り土の上に建物を作るなんていうのは、豆腐の上に家を建てるようなもの。耐震面を考えれば、地下に基礎となるコンクリートの空間を埋め込んでおくのは、建築の世界では常識です。ましてや、豊洲市場のような大きな建物であればなおさらです」(「建築Gメンの会」副理事長で一級建築士の田岡照良氏)〉

 他にも地下にたまっていたアルカリ性の水も、検出されたヒ素も何の問題もないなど、新聞が報じない情報満載。

 これまで何もせず、今になって大騒ぎ。怠慢極まる都議会野党や都庁詰め記者連中にぜひ、読ませたい。≫


●ヒント2
「10月2日の【花田紀凱の週刊誌ウォッチング〈585〉】
≪出版社系週刊誌が唯一弱いのは作家のスキャンダル。『噂の真相』なき今、ま、タブーと言ってもいいだろう。

 そういう点からいうと今週の『週刊文春』(10月6日号)トップはずいぶん思い切ったタイトルだ。

 「『豊洲問題』混迷の元凶 石原慎太郎とドン内田 “無責任コンビ”の癒着」

 石原都政誕生直後は、ふたりの関係は〈険悪だった〉。

 〈「石原氏は内田(茂)氏のことを念頭に『都政の悪人を成敗する』と言って、都庁に乗り込みました。かたや内田氏は石原氏を『発言がクルクル変わる宇宙人みたいだ。基本姿勢や理念が理解できない』と痛烈に批判」(都連関係者)〉

 結局、小渕内閣野中広務官房長官の仲介により築地の料亭で手打ち。
 〈その直後、石原氏は築地市場を視察する。(中略)「狭い、古い、危ない」。石原氏はこう述べ、豊洲にある東京ガスの工場跡地への移転に舵を切った〉
 
その後、浜渦武生副知事と内田氏の暗闘を経て石原氏と内田氏の関係はますます緊密化。新銀行東京の経営悪化で石原氏が批判されたとき、内田氏はこう言い放ったという。

 〈知事の道楽と思えば安いもんだ〉

 『文春』記者、ウオーキング中の石原氏に迫ったが「答えません」「目障りだ」「全然違う。調べなさい」などと軽くあしらわれてしまった。

 それにしても「無責任コンビ」は“勇気ある”タイトルだ。≫

これがその「文春」だ!


●ヒント3
豊洲市場の戦犯たちは優雅な再就職 『年収1500万円もヒマ、やることない』(dot dot=週刊朝日 2016年10月14日号より抜粋)
小池百合子知事は9月30日の定例会見で、豊洲の「地下空間」問題についての都庁職員による自己検証の結果を報告した。
 ところが、肝心の責任の所在については、いつもの歯切れの良い小池節は影をひそめた。「いつ、誰がという点についてはピンポイントで指し示すのは難しい」「それぞれの段階で、何か流れの中で、空気の中で進んでいったということ」と、実に曖昧だったのだ。仲卸業者はこう憤る。
「調査結果は信用できません。都庁幹部職員はこれまでの仲卸業者との交渉の場では、地下空間についてかなり詳細に知っているような口ぶりでした。本当は内部で責任者はわかっているのに、隠しているのではないかと疑ってしまいます」
 本当の“戦犯”は誰なのか。真っ先に疑われるのは、やはり移転を決めた石原都政時代の幹部たちだ。本誌が主要人物のその後の足跡を追っていくと、ある共通点に気づいた。疑惑の当事者らはみな、おいしい「天下り」の恩恵に浴していた。
 その一人は、現・練馬区長の前川燿男(あきお)氏(70)。東京都庁に34年間勤務し、知事本局(現・政策企画局)長を最後に2005年7月に退職。同年9月に東京ガス執行役員天下り、7年間務めた。05年と言えば、東京都が東京ガス豊洲の用地買収について話し合いをしていた時期で、前川氏はその責任者の一人、とされていた。
 仲卸業者らが石原慎太郎都知事を被告として東京地裁に起こした訴訟で、証人申請もされている。原告の一人で一級建築士の水谷和子氏がこう語る。
「東京都は05年、地表から2メートルまでの基準値以上の汚染土壌だけ処理すればいいなど汚染の残置を認める確認書を東京ガスと交わし、翌06年に土地の売買を行った。その結果、後に都が私たちの税金から土壌汚染対策に約850億円も支出することになった。前川氏は知事本局長としてこの書類に押印しており、経緯を知らないはずはない」
 

都庁の実態に詳しいノンフィクションライターの七尾和晃氏はこう解説する。
「前川氏は東大法学部出身で、副知事候補とも言われたエースだった。知事本局は石原氏が知事になってから鳴り物入りで作った知事の直轄組織で、局の中でも筆頭の総合部局。すべての局から上がってくる案件を調整したり、根回ししたりし、前川氏はそれらを差配する立場だったわけです」
 そんなキーマンが交渉先に天下りとは、どういうことだったのか。
 前川氏はこう回答した。
「(東京ガスと、土壌汚染対策の合意書と確認書は交わしたが)具体的な対策は中央卸売市場が担当し決定したものであり、関与したことはありません。(天下りは)都の基準に基づいており、全く問題はありません」
 石原氏の厚い信頼を受け「剛腕」副知事として知られた浜渦武生氏も豊洲移転の戦犯の一人とされる。
 都議会との対立から05年7月に副知事を辞職に追い込まれるが、それまで東京ガスとの交渉などでも主導的役割を担ったとされる。
「石原氏の元秘書で鹿島建設幹部のK氏と二人三脚で豊洲移転などのビッグプロジェクトを仕切っていた。鹿島は豊洲市場の建設を予定価格の99%超で落札したゼネコン3社のうちの一つです」(石原元都知事の有力後援者)
 鹿島が深くかかわった秋葉原駅前の再開発などの「利権話」でも浜渦氏の名前が報じられた。
 官僚ではなく議員秘書出身の浜渦氏だが、しっかり「天下り」している。副知事辞任直後の05年9月、都と三菱地所が出資する第3セクター東京交通会館の副社長に就任しているのだ(13年7月に辞任)。交通会館の総務部に役員報酬の年額を尋ねたが、「公開していません」と回答した。
「地下空間」問題の当事者とされる元・中央卸売市場長の比留間英人氏も同じく、“天下り+渡り”というおいしい生活を送っている。
 比留間氏は長く教育庁勤めが続いたが、06年に突然、中央卸売市場長に就任。もともと市場政策などとは無縁のズブの素人だったのだ。
11年に総務局長で退職すると、東京臨海ホールディングス代表取締役社長に天下る。同社は、鉄道会社の「ゆりかもめ」や国際展示場を運営する「東京ビッグサイト」など5社を統括する持ち株会社だ。
 都庁関係者が説明する。
「東京都の筆頭局は政策企画局だが、都の人事を掌握する総務局は、財務局とともに都の中枢機能として他局と一線を画している。東京臨海ホールディングスは最もおいしい天下り先の一つです」
 同社の役員報酬は、1400万円超に上る。比留間氏は1年足らずで退職し、都教育委員会の教育長に任命される。3年間の任期を終えると、今度は東京地下鉄(メトロ)の副会長に“渡り”、現在に至る。役員報酬は1800万円を超える。
 石原都政下の12年、3人の副知事が同時に退任したが、うち佐藤広氏は東京信用保証協会理事長、村山寛司氏は日本自動車ターミナルの代表取締役社長に就いた。それから2年後、佐藤氏が東京信用保証協会の理事長職を退くと、その後任となったのが村山氏だったのである。要するに同協会の理事長職は、副知事に“見合った”天下りポストなのであろう。
 一方の佐藤氏は現在、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会で常務理事の座に就いている。(中略)…

もちろん、高額報酬にふさわしい働きぶりならば、批判を受ける筋合いもないだろう。だが、別の東京都の“ファミリー企業”の理事に天下った元都幹部が実態をこう打ち明ける。
「年収は約1500万円ですが、職場に行ってもやることがありません。事務局から何もしなくてもいいと言われ、会議でも発言しません。よその団体の理事長を見ても、組織の上に乗っかって挨拶と決裁をやっているだけというのが多い」(本誌・小泉耕平、亀井洋志、上田耕司、西岡千史:詳細は週刊朝日 2016年10月14日号をぜひご一読あれ)≫


ヒントの1、2はいずれも産経新聞に連載された≪週刊誌ウォッチ≫の記事だが、本誌を読むとなんとなく“ベンゼンの香り”が漂ってくる。
嗅覚の鋭い人、及びこの当時から疑問を感じて取材していた新聞記者らには、全体像が浮かび上がってきているに違いない。
ヒント3は週刊朝日の記事だが、この問題の裏にはこうしてうまい汁に集った≪お代官様≫たちがいるという事。
これも【廃棄物処理場】を東京都が高額の“税金”で購入したことが背景にある。何の事はない、我々庶民が「お代官様たち」を手厚く養ってやっているのだ!


既に市場関係者から「風評被害」が持ち出されている以上、この穢れた場所に移転できる公算は低くなったから、都の“高級幹部”たちは、一刻も早く安全な築地市場のリニューアル計画を推進するべきじゃないか?
伝統ある東京の台所が、共倒れになってからでは遅すぎる。この場合、都民ファーストならぬ、市場関係者ファーストだろう。
せめて今まで何もしないでハンコばかりついて高給をむさぼってきた高級幹部らは、罪滅ぼしに寝る間を惜しんで働くべきだ。


このドタバタ劇を見ていると時代劇の『必殺…』を見るようだ。
中村主水」とその仲間たちが出てこないうちに、悪徳代官らは仕事を片づけた方がよかろう。丁髷姿の仕置き人たちと紋付き袴姿の「藤田まこと」が出てきてからは遅いのじゃないか?
それにしても、21世紀の現代に、高級背広姿の「お代官さま」方が都庁に巣食っていたとはお笑いだ。


ところでTVで見る限り、主役になりつつある石原元都知事も、ずいぶん老け込んだものだと気の毒になる。自宅前に陣取った無作法な若い記者に毎日追いかけられるのだから頭に来ることだろう。
素直に応じるとしていたヒアリングについて「高齢で記憶が正確でない上、最近は体調が優れないとして『事情をお聴きいただく場合には時間や方法に配慮していただきたいと思っている。できることなら実務担当者の聴取結果を踏まえ、書面で質問していただければ、記憶を整理して誠意を持って答えたい』と文書で回答したそうだが、何とも情けなく感じられて残念だ。


昭和48年、当時の渡辺美智雄中川一郎浜田幸一という“政界の暴れん坊たち”と組んで「青嵐会」を結成し、向かうところ敵なしの勢いだったころが懐かしい…。
先日の都知事選では小池氏の対立候補だった増田候補の決起集会で「大年増の厚化粧がいるんだな。これが困ったもんで、あの人は嘘つきだと思いますね」と元気に小池候補を糾弾していたのではなかったか?
それが急に“末期高齢者”の仲間入りだというから、毎月産経紙上で「日本よ」を愛読している私としては悲しくなる。


先月の19日は「異常気象の暗示するもの」というタイトルで、地球が迎えている現状を分析し、知事時代に水没しつつあるツバルを訪問した時の印象を「人々は大国が捨てた半ば腐肉を食べ、ストレス凌ぎにマリファナを吸いながら暮らしていたものだったが、この今となれば所詮の手立てではすまぬ事態がじりじりとだが、的確に迫ってきているという事を、我々は己の子孫たちのために、未だ来らざる時、ごく近い未来のために目を凝らして見つめるべき時に到来しているのではなかろうか。
そんな時私は何時か何かで読んだ東欧の詩人ゲオルクの詩の一節を思い出さぬ訳にはいかないのだ。
『たとえ明日この地球が滅びるとも、君は今日その手で林檎の木を植える』≫

という香りの高い文学的内容のものだった。
ツバルもそうだろうが、今は豊洲が的確にそうなりつつある。「我々は己の子孫たちのために」目を凝らして見つめるときに到来していると思うのだが、石原氏の見解が伺いたいものである。
それともツバルは文学の世界、豊洲は政治の世界と区分けして、双方には「虚と実」の差があるのだとでもいうのだろうか?
だとしたら次回からは心して「日本よ」を拝読することにする。


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ジャパニズム33」青林堂
蓮舫議員の「二重国籍」が問題になったが、島国日本の国家意識がいかに稀薄であるかを示したものだろう。国境を接して、常に異民族の侵略に怯えている大陸国では考えられない希薄さだが、その弱点に乗じて大陸国は着々と我が国に侵入を試みている。しかしわが政府は蚊帳の外、待機児童や高齢者問題で手いっぱい!気が付いたら大陸の自治省になっているだろうに…
その時半島国家出身者は、間違いなく大陸国に媚を売って生き延びる。
其の昔、韓国の高名な政治ジャーナリストが「日韓友好は可能か?」と逆質問した時、参加者のほとんどは「もちろん!」と答えた。しかし彼は「絶対に!あり得ません」と声を一段高めて言い、「日帝の支配36年、米帝の支配50年、しかし大陸の支配は1000年、我々の血の中には大陸の恐怖が流れているのです」といったことが忘れられない。



マスコミが報じないトランプ台頭の秘密・江崎道朗著:青林堂¥1200+税)」
愈々2回目のディベートが待っているが、クリントン女史は苦戦するだろう。
この書には触れられていないが、米司法部は武器商人Marc Turi氏に対する告訴を放棄したと発表した。国務省は2012年9月11日のベンガジ事件を引き起こし、スティーブンス大使など4名が殺害された時のクリントンの失策を隠蔽するため彼を起訴したのだといわれている。この事件の真相を隠しているオバマ政権は逃げたつもりだろうが…。自国の大使を見殺しにした時の長官が、今度は大統領になる??

ワシントンでも、東京でも、ロンドンでもトルコでも、旧悪が次々にはがされていくところが面白い。
さて、日本の外務省とメディアは11月の想定外の“危機対処”をどう講じているか楽しみである。

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