軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

“識者”よ、何を狼狽える?

昨日は友人たちとの会合で、夕刻から新橋に出かけた。
米大統領選がいよいよ大詰めだったので、地上波TVは地震速報並みの画面構成で速報していたが、クリントン優勢からトランプ優勢になり始めると、言葉を失う“識者たち”が多かった。そして言い訳ばかり…実に見苦しい。
大体外国の“金権メディア”の意図的“誤報”をそのまま無批判に国内に垂れ流しているだけだから、日本のメディアの解説はとても鼻から信用できなかった。
ただ、現場を熟知しているフジTV?の木村太郎氏だけは一貫してトランプ優勢を崩さなかったが、当初は彼の説明にも半信半疑な質問をするコメンテーターが多く、失望した。


NHKなどは何時から米国のメディアの一局になったのか、よくも飽きずに一日中「選挙特報」を流していたが、ほかにニュースがなかったからか?それとも未だに“占領軍”の呪縛が解けないからか?
それも途中から息切れしたらしく同じ画像と解説の繰り返しだったから見苦しかった。

現地時間午前2時に、クリントン陣営の担当者が支持者の前に出てきて解散を伝えた時、勝負あった!と思ったが、新橋では号外が配られていたので驚いた。


友人たちとの会食では、まず予想通りだったことと、日本にとっての「第二の黒船到来」を喜んで乾杯した。


今朝の新聞はトランプ勝利一色だが、産経の乾編集局長が、大事な記事を書いている。

≪… 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)のお蔵入りが確定的となったばかりか、日本の安全保障の先行きも「日本がタダ乗りしている」と日米安保を誤解する米最高司令官の登場によって予見不能となった。
 蛇足ながら日本の外務省はまたも下手を打った。先月から今月にかけて話を聞いた高官や有力OBの誰一人として「トランプ大統領」を予測していなかった。某高官などは「接戦ですらない」とまで断言していた。外務省の楽観的な見通しも後押ししたであろう9月の安倍晋三首相とクリントン候補との会談は、失策としか言いようがない。
 彼らの予測のもとになった各種世論調査は何の役にも立たず、クリントン候補に異様なまでに肩入れした米メディアがいかに嘆こうが、さいは投げられたのだ
。だが、モノは考えようである。トランプ大統領でいいじゃないか。
トランプ流の「在日米軍の駐留経費を全部出せ」といったむき出しの本音には、日本も本音で向き合えばいいのである。大統領になったらそんなむちゃな要求はしないだろう、という幻想は捨てなければならない。いよいよ米軍が撤退する、となれば自衛隊の装備を大増強すればいい。その際は自前の空母保有も選択肢となり、内需拡大も期待できる。沖縄だって解決に向かうかもしれない……


早速近在の横田基地を抱える福生市では「基地撤退なら街が廃れる」と「不安と戸惑い」が見られるという。沖縄だってそうだ。基地反対で騒げば騒ぐほど政府が金をくれることに味を占めたグループが「撤退はあり得ない」ことを前提に騒いでいるだけなのだ。


それよりも何よりも、乾・編集局長が指摘した「外務省の情勢判断の過ち」は豊洲市場移転問題に勝るとも劣らぬほど罪が重いといわねばならぬ。こんな情勢判断しかできない外務省は百害あって一利ない組織だというべきだろう。
今朝の各国の反応を見るがよい。ロシアはもとより、あのこわもての中国までもが、トランプ次期大統領にこびへつらった電話をしているじゃないか!
まるで「佐渡佐渡へと草木がなびく」ように!
特にシナ人には、力なき者は軽蔑して居丈高になる習性がある。尖閣事件で先刻ご承知だろうに、わが政府は全く反省していないのが情けない。
あの韓国にさえも「竹島」を奪われているのが証拠だ。すべてが弱腰外交の犠牲なのだ。

米国の後ろ盾が不安定になる我が国とプーチンとの日ロ交渉も相手に言いくるめられておしまいじゃないのか?


外務省のこれまでの弱腰外交が、いかに国益を無駄に捨てて来たかは枚挙にいとまがない。
トランプ次期大統領になびく、世界のこわもて指導者らの姿に、外務省は「力なき正義は無効だ」と初めて知ったか?

≪村田良平元事務次官の外務省告発本・最高責任者が既にこう指摘していた!≫

他方、メディア界における評論家や大学教授らの「クリントン勝利」予測は、無責任さを示して余りあるから、今後の教訓として活用すべきで、機会あるごとにこの記録を彼らの前に提示すればいいだろう。
いかにこの世界には偽物が大手を振って闊歩していて、それに視聴者が騙されているかが鮮明にわかるだろうから。この際、今回判断を間違った識者の名前を忘れることなく(あえて挙げないが)、言論界から抹殺するほど視聴者はもっと賢くならねばならぬ。

連日の両者の報道画面を見ていると、トランプ候補は次第に堂々と風格が出てきていたのに対して、クリントン候補はエキセントリックになり、笑顔も不自然、“ヒラリー”ではなく“ヒステリー”的症状を示していたから、政治評論家にはわからなかったろうが、医学的知識がある方にはわかっていたことだろう。

“識者”に場を提供するメディアは、どっちに転んでも儲かればいいのであり、彼らが嘘をついても訂正も謝罪もしないことは朝日新聞の南京や慰安婦記事が証明していたではないか。


外交官もそうだが、メディアに登場する識者たちは常に「上から目線」が作用していて、“下の人間”たちの心情が読み取れないのだ。つまり「人間研究が不足している」のである。
案外彼ら自身が「神様だ」と錯覚しているのかもしれない。韓国大統領の側近のように。
トランプ現象は、米国民に浸透していた欲求不満をくみ取れなかった、いや、汲み取ろうとしなかったのだ。


ニューズウィーク日本版2015・12・22号は予測していたが、同じ紙面に「大統領になる資格はない」とジョシュ・アーネスト米大統領報道官はトランプ候補を批判していた≫


アメリカに長年住んでいても日本人には日本人の血が流れているから、物差しが狂っているのだ。人間研究ができていない上から目線のセレブや“専門家”には、大衆の深層心理は理解できないのだ。財布を持ったことがない大臣や、スーパーで物を買ったことがないセレブ夫人には庶民感覚は理解できないことなのだ。


そんなことはこの際どうでもいい。
トランプ大統領の任期中に、在韓米軍は撤退するだろうから、朝鮮半島は北に併合され、赤い匕首対馬海峡まで伸びるだろう。
シナもこれ幸いとばかりにトランプ大統領の顔色をうかがいつつ、アジア周辺諸国に領土を拡大しようとするだろう。プーチンはこれを機に対シナ戦略の一環として日本の経済力を取り込もうとするだろう。
その渦中にある我が国は、周辺情勢の激変に速やかに備えねばならぬ時が近づいているのだ。


要は、トランプ新大統領出現を機に、米国の植民地に成り下がって恥じないわが日本国は、この機を「第二の黒船来訪」と考えて、乾・編集局長が示唆したように、自らを守る防衛力を根幹から見直すべきであり、勿論この機に「米国製」の憲法も破棄すべきなのだ。
安倍首相は、失点ばかり繰り返している外務省の「助言」に頼ることなく、これを千載一遇のチャンスととらえ、日本の独立を勝ち取るべきである。トランプ氏が、「今日が第二の独立記念日だ」と叫んだように。

それにしても今年は、年頭に予想したとうりの「なにが起きてもおかしくない年」になった。

東京都の恐るべき隠ぺい体質と、それに群がった金権亡者たちの姿も、小池知事登場によって暴かれ始めた。

時代遅れの隣国も崩壊が始まった。欧州は「グローバリゼーション」に釘を刺した。中近東も、軍事力によってだが、悪が一掃されかかっている。その裏にあった「米国の恐るべき野望」もしばし頓挫するだろう。

70億の人類が、旧体制下であえいでおり、貧富の差の拡大というひずみが一気に改められようとしている、激動の時期を迎えていることを自覚するべきなのだ。
多分、偉大なる力が、極一部の特権階級の下で苦しんでいる“哀れな人類”の頭上に作用し始めているのかもしれない。
人類が希望が持てる社会が来る前兆だといいのだが…。

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