軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

小次郎、敗れたり!?

巌流島にほど近い山口で開かれた日ロ首脳会談は、2時間半以上も遅れて到着したロシアのプーチン大統領に軍配が上がった?ようだ。
かといって、待ち受けた「安倍小次郎」は太刀の鞘を砂浜に投げ捨てて、「プーチン武蔵」を迎え撃ったようではないが、多くのメディアは「引き分け」か、「一歩後退」と評価した。

≪ 日露ビジネス対話に出席した安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領=16日、東京都千代田区経団連会館産経新聞)≫

いつも言うのだが、力で奪われた領土は力で奪い返すのが常識だ。
しかし戦後の日本は「国際紛争を解決するための手段としての軍事力」を放棄させられているから、奪い返すことすらできないのだ。
歴史上初めてといってもいい稀有な例は、外交交渉によって米国から「返還」された小笠原列島と沖縄だけである。
その意味では、血を流して奪取した米国人の目から見れば、平和的に返還したのに何かあるといちゃもんをつけてごねる沖縄の例などは、不愉快極まりない実例だろう。


日ソ中立条約を一方的に破棄して満州北方領土に侵攻したソ連=ロシアほど狡猾極まりない国はないのだが、8月9日に、敗戦が濃厚となった日本に対して、裏切りをものともせずに侵攻したソ連軍に対しては、大本営は徹底抗戦を命じるべきではなかったか?
満州ではもとより、樺太でも千島列島でも、現地軍は勇戦敢闘して彼らを阻止していたのだ。
しかしながら、すでに終戦のご詔勅は発令されたから、大本営は現地軍に対して抵抗をやめさせた。樺太の第88師団も≪天皇の命令に従って≫矛を収めたのだが、にもかかわらずソ連はシベリア送りという国際法を無視した蛮行を実施した。
記者会見でプーチン大統領は、占拠はいかにも歴史的にみても合法であるかのような口ぶりで説明していたが、上記のような「歴史的事実」は全く知らないようだ。
もっとも彼はKGBに属していたから、知っていても言うはずはないが、日本側の列席者は知っていたか?


ソ連軍将校に、我々は降伏したのではない。天皇の命によって矛を収めたのだ、と言い渡す峯木第88師団長(上)と、整然と武装解除に応じる将校たち(下)≫

当時、マニラに招致された降伏使節団はソ連軍の侵攻も踏まえて終戦処理を急いだようだが、マニラでマッカーサーに対して「米軍に対しては降伏するが、条約を破って侵攻しつつあるソ連軍の侵攻に対しては断固抵抗させる」ことを進言すべきだったのではないか?

今となっては死んだ子の年を数えるようなものだが、軍事と外交がバラバラだった当時の政府の姿勢が悔やまれてならない。

しかし今回の日ロ交渉で分かったことは「話してもわからない」のが外交交渉だということだろう。ややもすれば、有識者の中には≪話せばわかる≫と信じている者が多いが、この世には話しても通じないことが多いのだ。左翼や反日学者らは思い知ったか?
そしてそれは「善と悪」とは無関係だから手におえないのだ。力が強い者が勝ち、力のない者は虐げられることは、パスカルが言った言葉に尽きる。


いくら、心がこもった「おもてなし」をしようが、秋田犬を送ろうが、うまい地酒を飲ませ、温泉に招待しようが、国際関係がそれに動かされることはまずありえない。
六本木の有名すし店に招待されたオバマだって、口に合わなかったようで、とりわけ感謝していなかったじゃないか。
これも「外交」をまるで≪社交か友好≫と勘違いしている、あるいは軍事力無き戦後に取り得る唯一の手段だと勘違いして下手に出ているからにほかなるまい。

お好み焼きを突っつく大使と外相≫


国際関係を支配しているのは、軍事力であり、こびへつらった社交関係ではないことを、もうそろそろ自覚すべきであろう。

ロシアに言わせると、条約違反だ、火事場泥棒だといわれようと、実力で国境線を変更したのだから、それを再度変更させる要素は、軍事力以外にはないのだ。「悔しければとってみろ!」というわけだ。オホーツク海に潜航させている対米核抑止力の主力であるSLBMの聖域をそうやすやすと返還するはずはないのだ。
万一4島を返還して、そこに米軍基地でも設置されたら、ロシアは一気に米国の風下に陥らざるを得なくなるからだ。


それに日本はいつも「4島返還」には大騒ぎするが、韓国が不法に占拠している「竹島」にはまったく無関心であることも、ロシアにとっては不思議で仕方ないことだろう。
少なくとも北方領土は、ロシア人の血を流して彼らなりに理屈付けして奪取したものだが、竹島はどうだ。一方的に、勝手に線引きして韓国が違法に奪取したものではないのか?
これに対する日本の外務省の対応ぶりはどうだ?
そう言われたらグーの音も出まい。


2001年初夏、生まれ故郷の樺太を訪問した私は、ペレストロイカで困窮していた島民、それも元化学工場の工場長だったガイドから、「島々が困窮していた時、日本に返還すべし」と議決した島もあったと聞いた。その時「どうして自衛隊は攻めてきてくれなかったのか?」といった彼の言葉に、同行した仲間はあっけにとられて苦笑するだけだったが、彼は「1個連隊でよかった。上陸してきたら我々は一応抵抗を示すが、上陸されたらモスクワから援軍が来る前に停戦条約に締結する」と言ったものだ。
ところがその直後に日本の一部政治家らが、困窮している島に診療所や発電所を“寄贈”したから、島民らは助けてくれるのなら返還する必要はない、と決議を破棄したという。

樺太の北緯50度線にある国境記念碑=彼らも国境と認識していた!≫


≪日本軍の上陸に備えて構築されたというちゃちなトーチカ!これだったら普通科の1個連隊でも勝てたろうに…≫


その2年後に再訪問した時は、様子が変わっていた。
北樺太の油田開発でユジノサハリンスクにも米国企業が進出してきており、ほかに驚くべき数のシナ人が、ほぼ全島の第1次産業を占有していたのだ。
戦後帰国できずに残留していた韓国人(元日本人)ガイドは「日本は何をしているのでしょうね」とあきれ顔。
彼女は「ロシア人は働かない。働くのはアジア人でロシア人は血統的に殺人の家系が多いらしく、残虐な殺人事件が毎日絶えることがない」と慨嘆していた。

そんな、樺太をはじめとする北方領土の人種的構成や治安状況や、アメーバのように進出してきているシナ人らの動きを日本政府はどう掌握しているのだろうか?と気にかかったものだ。


今朝の産経24面の片隅に、「拉致被害者の救出『死に物狂いで』」と人権セミナーで飯塚代表が訴えたと出ていた。
悔しいことだがこうして「力なき正義の無効性」が証明され、「正義無き力が世の中を席巻」していくのだろう。いつも犠牲になるのは“弱く善良なる”庶民なのだ。


軍事が支配する国際関係に気づいたシナは、着々と力を整備して世界の覇権を握りつつある。

「世界軍事評論」11月22日号によると、シナ海軍が今年2016年だけで進水させた艦艇は20隻を超えたという。それらの詳細な解説が写真付きで掲載されているが、紙数が無くなったので、写真だけを紹介しておくことにする。

これらには、南シナ海防衛のために、着々と軍事力を強化しているシナ海軍の強い意志が感じられる。
経済力がいくら低下しても、軍事力が強ければ、これで他国から領土も資源も奪うことが出来るからだ!
逆に、いくら経済的に豊かでも、軍備がなければ奪われるのがオチだ。
あれほど崩壊寸前だと喧伝されてきた北朝鮮を見るがよい。
国民は飢えていても、指導者は一向に気にしない。本人だけがメタボなのは皮肉だが…。

そしてついに核保有国になってしまったではないか!今まで北の崩壊を予言してきた有識者の意見が聞きたいものだ。
私は昔「国際軍事関係論」に、北の指導者は少しも慌てず、着々と軍事力を強化し続けるだろう。なぜならば、いざとなればその軍事力で南を脅かせば、食料はやすやすと手に入るからである、と書いた。

ついでに中露関係の現実を一つ追加しておこう。

≪ロシア防疫部が押収した中国からの数万トンの“偽米”≫
これは偽物つくりの本家らしいシナ人による、プラスチック製の偽米と本物のコメが混合された“新品種”である。ロシア人にパニックが起きているという。
12月8日のバックチャイナ紙が報じた。
黒竜江省五常市が生産したコメで、ロシア人はこのコメが好きだったから高かった。そこに目を付けたシナ人はジャガイモの粉やサツマイモの粉とプラスチックを原料とした“新製品”を生産した。これを食べたら腹痛が起き、癌になるということが分かったのでロシア人にパニックが起きた。そこでロシアの国営TVやマスコミでは国民を安心させるために、「火をつけるとプラスチックの焼ける匂いがする」などと識別の仕方を報じ、注意を喚起しているという。
実はその背景には、国同士は“友好関係”を強調しているが、シナ人は心の中ではロシア人に対する恨みを忘れていないからだという。それは60〜70年代に、国境紛争でシナ人数十万人を虐殺したからで、ネット上には「この偽米を食べさせた!」ことを喜ぶ意見が殺到。
ハルピンあたりでは「東北虎には偽コメを食べさせないから、みなよく肥えている」「ロシア人は偽米を食べるのか?虎は偽米を信じない!」などとロシア人をばかにした書き込み殺到しているという。
政府間の「ロ中友好」は人民とは無縁のようだ…。
プーチン大統領は知っているかな〜


≪丸丸と肥えた東北虎!≫

あなたのすぐ隣にいる中国のスパイ

あなたのすぐ隣にいる中国のスパイ

日本掠奪―知ったら怖くなる中国政府と人民解放軍の実態

日本掠奪―知ったら怖くなる中国政府と人民解放軍の実態

中国 驚愕の性奴隷

中国 驚愕の性奴隷