軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

習近平は軍を確実に掌握できていない

巷、特にTVではDデイが今日だと視聴率稼ぎに躍起だったが、2等空尉から一気に空幕長に上り詰めた金正恩は、人民軍の創建85年記念日のセレモニーを欠席して、元山市近郊で大規模な砲撃演習を行ったという。
朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は「朝鮮人民軍は米国の策略と核の脅しの歴史に終止符を打つ用意がある」と表明。「人民軍には、様々な精密・小型核兵器、潜水艦発射弾道ミサイルなど、独自の最新鋭軍装備があり、攻撃力に限界はない」と指摘した。

「○○○蛇におじず」とはよく言ったものだが、側近は誰も物言わないらしい。



北朝鮮の大規模砲撃演習=インターネットから≫


他方、インターネット情報によれば、トランプ大統領は24日、中国、ロシアを含む国連安保理15カ国の大使とホワイトハウスで会談。「北朝鮮の現状維持は許されない」との立場を示し、「安保理北朝鮮の核開発・弾道ミサイルプログラムに対し、より強力な追加制裁を発動する用意を整えておく必要がある」と述べ、そのうえで、北朝鮮は世界に対する現実的な脅威であるとの認識を示し、「北朝鮮問題は何十年も放置されてきたが、解決しなければならない時期に来た」と語ったという。
カールビンソン打撃群もいよいよ日本海入りするし、トマホークミサイルを1艦で、154発も搭載した原子力潜水艦も周辺に配置される。


通常火薬の長距離砲なんぞ、近代軍には無用の長物、効果があるのは停戦ラインに近い韓国の首都の市街地だけだろう。
しかし韓国の政治は今や壊死状態だし、次期大統領には親北の人物が選ばれるそうだから、この国はやがて北に併合される運命なのかもしれない。
そうなれば米軍は撤退するだろう。喜ぶのはシナだろうが、ロシアが指をくわえて見ているだろうか?


半島はレッドになるのか、ピンクかそれともグリーンに染まるのか…。
古来からわが日本国の防衛は半島に影響されていて、旧帝国陸軍終戦時に「半島の赤化防止」対策として残地蝶者を配置したほどである。


戦後、ソ連に担がれた一介のならず者・金聖柱がウラジオストックから北朝鮮入りしたのは9月19日だった。ソ連国境に近い江原道の元山港に着き、私服姿でこっそりと上陸、平壌に到着したのは22日、ソ連軍からお披露目されるまでは金英煥(キムヨンファン)という変名で姿を隠していた。その後、旧日本統治時代から平壌一の料亭と言われていた「花房」でソ連軍将校らによる歓迎会が開かれ、漸く金日成となった。つまり偽金日成誕生である。
つまり、すべては当時のソ連軍によって仕立てられたのである。
孫の正恩は今日、この地で演習だとか。やはりDNAが騒ぐのかしらん?


戦後、シナの東北(つまり満州)と、北朝鮮を占領していたのはソ連軍だったから、当時はソ連のなすがままだった。
そして占領下で、北朝鮮臨時人民委員会という臨時政府が生まれ、金聖柱は委員長の座に就く。しかし少数派閥だったから、血で血を洗う闘争が繰り広げられたが1950年6月に北は南に攻め込んで、朝鮮戦争を引き起こす。


この時偽金日成は一時行方不明になっているが、停戦協定が結ばれた1953年7月に、こつ然と平壌に出現し、ここから金日成としての体制固めが始まる。
東北抗日連軍出身の満州派と、ソ連から送り込まれたソ連国籍の朝鮮人一派との対立が起きるが、金はソ連派を束ねて警察と軍を抑える。
そして彼は南派のリーダーたちを「アメリカのスパイになり、戦争を挑発した」と言いがかりをつけて逮捕・処刑する。この時多くの韓国派が処刑され、南のリーダーたちはほぼ消滅する。
しかしもっと厄介だったのが、中国の延安で抗日・独立活動していた共産党の延安派で、彼らは金日成独裁を厳しく糾弾していた。
やがて抗争に負けた延安派はシナに逃げ込み、ソ連派の幹部もソ連に戻る。
こうしてソ連との蜜月は終わりを告げる時が来るのだが、北に残った延安派もソ連派も一旦追放された後、やがて粛清されてしまい、金日成体制は固まったのだが、その後もしばらく血で血を洗う抗争が続き、身内にまで粛清の手が及ぶ。

このような北朝鮮の過去の歴史を見ると、ロシアとシナ、南に取り込まれたこの国がいかに凄まじいほどの“怨念”に覆われてた地域であるかが理解できよう。


さて、習近平はそのような過去の経緯について学んでいるだろうか? おそらく知りはしまい。満州には、脈々と満州人の血が流れているのである。つまりかっての「清帝国」である。
瀋陽は、清帝国の首都であったし、瀋陽戦区は基本的に「清の固有の領土」なのである。
言い換えると、瀋陽戦区の人民解放軍の主体を為す民族は、満州人と朝鮮系シナ人なのである。

今まで、何かと瀋陽戦区では軍の“事件”が起きたことを覚えておいでだろう。
少なくとも瀋陽戦区の軍は、北京の習近平に忠誠を誓っているとはいえなかろう。
ましてや今まで、江沢民一派が権力を行使していた地域だから、今でもその影響は残っていると見た方がよかろう。

そこで北に対する“シナの制裁”の効果だが、いくら習近平が、石炭の輸入を制限しても効果があるまい。瀋陽戦区の軍高官らと北の関係は「ズブズブ」の間柄にあるといわれて久しい。
仮に習が北に対する石油をストップしても、瀋陽戦区幹部らがそれを許すまい。
今まで北は重要な資源としてレアメタルをシナに輸出していたが、習が禁輸措置を講じたものの、情報では瀋陽戦区が買い取っているという。

そのうえ、瀋陽戦区の解放軍は、毛沢東の教えに忠実な毛沢東派であるから、トウ小平以降の改革開放路線に懐疑的である。だから習近平はおそらく瀋陽戦区を掌握できていないと思われる。

という事はトランプ大統領が「習近平北朝鮮を抑えるよう」要請しても無意味だという事になる。しかも悪いことに瀋陽戦区は長大な国境線に接しているので、人民解放軍の中では精強な軍隊であるが、それを恐れた“中南海”はここに核を配置していないといわれている。
ところがこれが仇になり、瀋陽戦区は「金正恩の核」に多大な期待を寄せているという。

しかも習近平の主敵は日本だが、瀋陽軍は毛沢東派だけに、主敵は米国帝国主義であって、金正恩と同じ考えである。
このような背景から考えると、米軍は瀋陽戦区の解放軍の介入を招かないような手法で対北作戦を遂行する必要がある。
これは日本にとって最悪のシナリオだが、北の攻撃で瀋陽軍が北に介入した場合、シナの人民解放軍は、習近平の軍と瀋陽軍とに分裂しかねない。

その際は、習近平瀋陽軍と北の連合軍にアメリカと戦わせて、漁夫の利を得ようとするだろう。
第1次朝鮮戦争では、毛沢東義勇軍と称して「解放軍」を北の支援に参加させたのだが、その時差し出した戦力の大半は、国共内戦で降伏した蒋介石軍であった。
いつ寝返るかわからない大軍を、いかにも義勇軍として朝鮮戦争に投入し、手間をかけずに“処分”した。彼らを米軍の強力な火砲の餌食にしたのである。
この時出来た言葉が「人海戦術」という。自分は不穏分子を処分し、金日成には恩を売りつけるという、1石3鳥の成果を上げたのが毛沢東であった。


こう考えると、自衛隊は米軍の後方支援に徹し、南西方面などシナからの本土進攻作戦に備えておく必要があると思うのだが…。

それでなくとも、今やわが国内では韓国人らによる現金強奪事件などが頻発しており、国内には100万といわれる“不法外国人”が潜伏している。

邦人保護名目で海保も海自もさらに警察も、半島に対して一点集中していると、何が起きるかわかったものではないと思う…。

杞憂に終わることを期待しているが…。

届いた本のPR
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「Hanada6月号」
届いたばかりで目を通していないが、「ジョセフ・ナイ」氏の論文『金正恩の終焉を徹底分析』は面白そうだ。
我那覇真子氏と桜井女史の「基地反対派の狙いは沖縄の『武装解除』」は時宜を得ているが、北の動き次第では本当にシナが着上陸してくるかも…。



「Will 6月号」
「トランプvs金正恩チキンレース」は面白そう。
久々に田母神君が登場して手記が出たが、「脇が甘かった」ことだけは確かだろう。

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