五輪終了に合わせて南北の“予備会談”が行われたが、金正恩の見事な“演技”に南はもとより、世界のメディアは振り回されている。そして4月末ごろに板門店で“南北首脳会談”が行われると唐突に発表された。産経新聞によると、
≪【ソウル=桜井紀雄】韓国と北朝鮮が4月末の開催で合意した南北首脳会談をめぐり、軍事境界線がある板門店の韓国側施設での実施は、金正恩朝鮮労働党委員長側が選んだことが分かった。文在寅大統領が7日、与野党代表との会合で明らかにした。文氏は「究極の目標は核廃棄だ」と指摘し、会談や対話のために制裁を緩和したり、「プレゼント」を与えたりすることはないと強調した≫
というが、事前に南北の事務方、とりわけ木馬に潜んできた北の使いと相当内容を詰めていたのだろうが、予想外の“成果”に文在寅大統領自身が少し不安になってきたのではないか?
逆にトランプ親分に睨まれはしないかと…
≪韓国の特使団を歓迎する金委員長・インターネットから≫
いずれにせよ、半島危機を実質的に解消できるのは、南北朝鮮ではなく、米国とロシア、それに中国の意志である。
今回の北の「大サービス」は、トランプ大統領の主導で実施されている経済封鎖が相当効果的であったことを示している。
北にとっては、人民の経済不況なんぞどこ吹く風、実質的な軍事活動を制限する石油の供給が最優先なのだ。このまま継続されれば、ミサイルの製造どころか、通常軍の作戦行動もおぼつかなくなる。そうなれば南北の戦力格差は一気に逆転するから、南に対する恫喝の効き目もなくなる。
≪韓国側が「平壌、ソウル、板門店のどこでもよく、板門店の南北双方の管轄区域を行き来することもできる」と提案したのに対し、最終的に北朝鮮が板門店の韓国側施設を選択したという。金正日総書記との過去2回の会談はいずれも平壌で開催。金委員長は韓国側に出向く“度量”を示し、父との違いを打ち出す狙いがあるとみられる(産経)≫
≪北朝鮮は演習中止を求めてきたが、金正恩朝鮮労働党委員長は韓国大統領府の特使に対して、演習実施に理解を示したとされる。米側は3月中旬の平昌パラリンピック閉幕後の迅速な演習開始で、北朝鮮に対する圧力維持を強調する考えだ(産経)≫。
それにしても、いきなり板門店の韓国側の施設に、本当に金正恩朝鮮労働党委員長が出かけてくる気だろうか? 彼には金正男暗殺と同じような危険もあるし、米軍による“斬首作戦”の危険も残っている。
もし訪韓が実現したら、少なくとも金委員長の方が、文大統領よりもはるかに勇気があることを世界に示すことになる。
ビンラディンを殺害した米軍の特殊部隊が、どこかに潜んでいないとも限らない情勢だから、南に到着してから何かが起きれば、韓国側の警備責任が問われ、下手すると戦争になりかねない。そこで文在寅大統領はトランプ大統領に何とかして作戦の中止を泣きつくだろう。そしてできれば4月の米韓合同演習も…。
それを見透かしたかのように米NBCテレビが「米韓が延期していた合同軍事演習を3月31日に開始する計画だと報じた。5月まで実施され、4月末に開催予定の南北首脳会談と時期が重なる見通しだ」と報じた。
合同演習は、野外機動訓練「フォールイーグル」と、米軍増援や指揮系統を点検する演習「キー・リゾルブ」で構成。約2カ月のフォールイーグルは3月末に開始、約10日間のキー・リゾルブは4月中旬から実施する計画だという。
矢張り、金委員長が“度量”を示したのは、表向きは別にして、米韓合同演習を妨害するための“演技”だったのではないか?
そこで今訪米している“使い走り役”の韓国高官らは、おそらく米国側に演習中止、または延期を申し入れるに違いない。
しかし、トランプ大統領は聞かないだろう。「核開発放棄」「現有核兵器の破棄」が確約されない限り、同意しないに違いない。そこまで韓国側に“協力”すれば、アメリカファーストを掲げた大統領の立場が苦しくなる。
南北の同民族が語り合うのは結構だが、そんな朝鮮民族の会議よりも、ワシントンを狙う可能性があるミサイルをどう破棄させるのか?と国民に文句を言われるからだ。
米ソ間のSALT(戦略兵器制限交渉)で、十分にソ連の裏切り行為を学んでいるだろうから。
半島情勢は“面白く”なってきたが、肝心のわが国のそれへの対応は実に情けない。
未だ朝日新聞に踊らされて「モリかけ論争」をしている国会は“税金の無駄遣い”ではないか? 国会議員たちが、物事の優先順位を間違えていることが情けない。
そんな感覚が、一般社会にも飛び火して、レスリング界は大揺れだ。
≪レスリング女子の伊調馨選手(ALSOK)が日本協会の栄和人強化本部長からパワーハラスメントを受けたとする告発状が内閣府に出された問題で、同協会の副会長を務める馳浩元文部科学相は8日、取材に応じ「伊調さんの思いをきちんと聞いてあげる必要がある。五輪女王というだけでなく、協会に大変貢献の大きな選手。しっかりバックアップしてあげなければいけない」と述べた(産経)≫
なんだか、先日までマスコミを賑わせた貴乃花親方をめぐる一連の騒動に酷似していないか?あの時は「忠実義務違反」という言葉が多用された。
日本相撲協会の八角理事長が、親方が貴ノ岩のケガを知った直後に協会にその内容を報告しなかったことについて、「このような報告懈怠は理事としての忠実義務に著しく反する」と述べ、親方の行為は「公益法人の役員としては考えられない行為で、忠実義務に大きく違反している」と池坊評議員議長も発言したからであった。
相撲協会も、レスリング協会も、内閣府の傘下にある組織だという。
なんだか双方ともに同じ体質に見えて仕方ないが、こんなことで東京五輪は大丈夫なのか?
話題になっている日本レスリング協会の栄和人強化本部長が監督を務める至学館大は今日、「監督は衝撃を受け心身が衰弱し、日常生活を送ることも困難」と声明を発表した。安静療養が必要としている。
学校関係者によると栄強化本部長は調査委員会の聞き取りに備え、当面は大学で指導せずに療養予定」だと公表した。
この行動もスポーツ指導者というよりも、不祥事を起こした政治家がとる行動に良く似ている。
この程度のことで「心身が衰弱し、日常生活を送ることも困難」な状態だとは、激しい運動のコーチとしては情けなく、むしろ「逃げた!?」ととられることの方がスポーツマンとして傷つくだろう。それとも告発が正しいからなのか?
いずれにせよ病名が「イチョウ」衰弱ではないことを祈りたい。
この国の「タガ」が緩んでいるのか狂っているのか、壮大なエネルギーの浪費が続いているように思えて仕方がないのだが…。
杞憂であることを期待したいものだ。
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≪「正論」4月号≫
今月号は、「お花畑ニッポンで徴兵制を語る」特集である。私も4名の識者の中に加えられて、「国を守るのは苦役なのか」という一文を書いている。
34年間の体験から、少しも【苦役】には感じなかった。周りが自衛隊を貶めようとして騒いでいるだけじゃないか?というのがその趣旨。
「西部邁 最後の夜の謎」は胸に迫る。福田恒存先生もそうだったが、言論の虚しさを感じた氏は、筆も体も折ったのだろうか、と胸が痛む。
こうして後に残されるのは“劣化した人類”だけなのだろうか?と虚しさを感じる。
永田町には「虚しさ」など感じない、体力抜群の方々が集まっているようだが、それを見ている国民の方が“本気で”で虚しく感じられてくる…
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