軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

愈々明日、凶と出るか吉と出るか

米朝首脳会談がいよいよ明日に迫った。二人は既にシンガポール入りして待機している。何とも物々しい会談になったものだが、北の首脳はシンガポールまで中国の専用機で送らせ、宿泊代もシンガポールに払わせると言うのだから何とも図々しいものだ。
こんな若造が世界からちやほやされることさえ気味が悪いのだが、どうしてなのかその理由を日本人は気が付いていないだろう。


昨日出版された「ジャパニズム43」に書いたが、私が2等空佐の頃、通産省現役課長と懇談した時、これがキャリア役人か!と呆れたことがあった。
当時は世を挙げて『総合安全保障』と言う造語に熱心な時で、「あなた方(現役自衛官)が言う“脅威”とはなんですか、そんなものが今、日本のどこにあるのですか」と小ばかにされ、「島国日本の安全保障の原点は、強力な軍事力を持つことよりも、石油と食料をしっかり備蓄しておくことだ。強力な軍事力を誇った陸海軍でさえも勝てなかったではないか。ましてや今や核の時代、国の安全は軍事力では保たれない」とのたまったことがあった。


そこで私は「仮に鹿島灘沖に大量の石油を備蓄し、横浜港に山ほどの食料を積み上げたとしても、飛んでくるミサイルは防げない。
極端に言えば、軍事力だけを維持している北朝鮮は食うに困っても決して慌てない。軍事力さえあれば、韓国は食料を届けてくれるし、ダメなら奪えばいいと信じているからだ。
石油と食料を確保して国民生活を安定させる行為は、単なる役所のルーティーンの仕事に過ぎない」と言いかえしたのだが、三人のキャリアのうち二人は事務次官にまで出世した。これが平和ボケした“当時の”政府役人の世界だったのである。

何故金正恩がこれほどのVIP待遇が得られるのか?と言う答えがそこにある。つまり、親族や国民を平然と殺すほどの凶悪犯が核とミサイルを保有しているからである。
不在中の本国で何かが起きない限り、今後とも彼は“列国の思惑”の中で生き続けるだろう。『性善説』を信じる日本人にはわかるまい。
さてこれに対して、手の内を明かさないトランプ大統領はどう出るかが見ものなのだ。楽観は許されない。


処で同じ日、台湾に米国領事館(事務所)がオープンする。シナを睨む新たな牙城が大陸の目と鼻の先に開設されるのだ。
東シナ海はいよいよ風雲急を告げるに違いない。台湾にとっては安心なことだが…。


一方、 カナダのシャルルボワで開催されたG7サミットが9日閉幕したが、「通商政策を巡り米国と6カ国の意見対立が解消されないまま、かろうじて首脳宣言が採択されたが、サミットを途中退席したトランプ米大統領がカナダのトルドー首相の発言に立腹、一転して宣言を承認しないとしたことで、G7の結束を示そうとした各国の取り組みは台無しに終わった」

この事例を見た日本の解説者の中には、トランプ大統領の協調性の無さをあげつらうものもいるが、トランプ氏は大統領選挙に立候補した際、「メイク アメリカ グレイト アゲイン」を合言葉に当選したのではなかったか?
要は自分の国は自分で守れ!何時までも米国に“甘えるな!”と言う信念の持ち主だのだ。


トランプ大統領に詰め寄る旧NATOの面々。米ソ冷戦時代には、欧州を守ってもらったくせに、のど元過ぎれば身勝手なもの:ロイター≫


偶々大統領選挙と同じころ、ヨシュカ・フィッシャー(元ドイツ副首相兼外相)は「欧州に必要な地政学的思考」と題して、
≪・・・ロシアのウラジーミループーチン大統領は、国境の不可侵性や国際的な法規範を尊重する気などないと、十分過ぎるほど明確にしてきた。
 そろそろヨーロッパは、法の支配に基づく大陸秩序は普遍的な価値観だという甘い考えを捨てるべきだ。残念ながら、世界はもっと強硬で、パワーがもの
をいう。ロシアのシリア内戦介入と、ヨーロッパの難民危機は、このことをはっきりさせた。
 ヨーロッパは、もっと自らの地政学的利益を重視した行動を取らなければいけない。さもないと、遅かれ早かれ、近隣地域の危機がヨーロッパの玄関口に
やって来ることになる。
 アメリカは東西の国境を広大な海に守られているが、ヨーロッパは違う。巨大なユーラシア大陸の西端に位置し、東ヨーロッパ、中東、北アフリカと直接
つながっている。そして今、これら不安定な「お隣さん」たちに重大な安全保障リスクを突き付けられている・・・≫。(ニューズウィーク日本版2015・12・20〜2016・1・5)
メルケルさんはこの記事を読んでいないようだな〜?


今日は先日リレー講演会で紹介した「イシキカイカク大学」のご案内である。
毎日の国内事件を報じる紙面を見ているだけで、この国の意識改革は急務だ、と痛感させられる。御賛同が得られれば幸いである。
https://www.ishikikaikaku.jp/ik2sa/

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ジャパニズム43号:青林堂¥929+税≫

ブログ本文の一部は本誌に掲載してある者である。宜しければご一読あれ。


≪軍事研究誌・7月号:¥1300+税≫

戦争を変える『現代の超兵器』Vol12.米大統領が使える「即時全地球打撃兵器(PGSW」は図解満載で理解しやすい。
国際関係の裏にある軍事力…と言っても我が国には無関係の様だが…を知る事は重要だろう。

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