軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

米国はやっと知った!

健康を過信していたツケが出て、この1か月間右足の痛風の痛みで苦労した。尿酸値が高い!と医師に警告されていたのだが、今まで発症したことがなかったので軽く見ていたのが悪かった。
それにしても、杖をついたご老人をよく見かけていたが、その苦労が身にしみて分かった。人間、直接身に降りかからないと何事も理解できない物らしい。

その病み上がりの最初に、兵法研究会員たちが私の出版記念会をセットしてくれたので、市ヶ谷の旧軍から続く偕行会で講話し親交を温めてきた。
勿論その前に靖国神社を参拝したのだが、三々五々と言うかひっきりなしというか参拝客が途絶えなかったことが嬉しかった。私は6人ほどの白人観光客の後に並んで参拝したのだが、見よう見まねで参拝している姿が印象的だった。
こんなに多くの人々が素直に参拝しているのに、難癖つけて意地を張る一部の人間の心理が理解できない…。


講演は私の実父の日記をまとめた「ある樺太庁電信官の回想」と2001及び2003年に樺太を訪ねた体験談だったが、聴講者の中に中学まで現地で生活していた大先輩が居られ、貴重な地図など資料を頂いたのには感動した。

≪今では貴重な樺太全図(昭和20年8月15日当時):樺太史刊行会編・社団法人全国樺太連盟発行・昭和48年3月発行≫


≪父が徒歩で走破した国境付近の地図。改めて父の若かりし頃の奮闘ぶりが忍ばれる≫

それにしてもロシア人とは実に騙しの名人だと痛感する。それとも我が外交がお人よしで騙されやすいのか??

いずれにせよロシアに奪取されたのは北方4島だけではなく、樺太全島も当然含まれていることを忘れてはなるまい。
それは「日露領土紛争の根源」と言う長瀬隆氏が編纂した著書に明らかなのだ。我が国の学識経験者、大学教授らは、ことソ連(ロシア)になると口をつぐんでいうことも言わないようだが、樺太が日本領であったことは、1853年に出された有名なシーボルトの「日本」に明記されているのだ。
改ざんしたのは当時のロシア政府だが、我が方は強引な押し付け外交に屈したのだ。細部は同書をご一読あれ。
恐らくプーチンはこの史実を全く知らないことだろう。安倍首相には厳然と対処してほしいものだ。



処でいよいよ米中“戦争”が本格化するようだ。産経でも少し触れているが、その重要性については半信半疑のように思われる。
昨日の大紀元日本は、「ペンス米副大統領が演説 中国共産党に『宣戦布告』」と題して次のように詳細に伝えている。

≪「北京(中国当局)は政府全体で政治・経済・軍事的手段およびプロパガンダを駆使して、米国内で自国の影響力を拡大し、利益を得ようとしている」

ペンス米副大統領は4日、シンクタンクのハドソン研究所にて行なった講演で中国当局を非難した。50分間におよぶ講演で、副大統領は米中関係の変遷に言及し、中国共産党政権が長い間、米国内で浸透工作を行ない、米社会に様々な問題と脅威をもたらしたと指摘した。中国軍による挑発行為、中国国内に起きている宗教迫害、当局の「一帯一路」経済圏構想による「債務外交」にも触れた。

副大統領の演説は、過去40年間の対中宥和政策の見直しと、中国共産党政権に対して全面的な反撃を宣言したものだ。対中国共産党の「宣戦布告」ともいえよう≫


そして演説内容には注目すべき7つのポイントがあるとしているのだが、ここではその要旨を書いておこう。
≪1.中国と中国共産党を区別する

副大統領は、「中国と米国はかつて非常に友好関係にあったが、「共産党が政権を取得してから、すべてが変わった」として「中国と米国は1950年代、朝鮮戦争で戦った。冷戦中、米中関係はやや回復したにもかかわらず、その後中国当局は不公平な貿易慣行を通じて米国の経済利益を侵害し、米国の政治を左右するための浸透工作を始めた」

2.米国中間選挙に介入、米政府の転覆を図る
「先週、トランプ大統領が国連総会の演説で、中国が米国中間選挙に干渉しようとしていると発言した」

3.中国当局による浸透工作の全貌を暴く

「9月24日から29日まで開かれた、国連総会に出席した中国の王毅外相は『われわれは、過去、現在、将来も、いかなる国の内政に干渉しない。中国に対する告発を受け入れられない』と述べた」が、ペンス副大統領はこの発言を真っ向から批判した。副大統領は「中間選挙への介入のほかに、中国側は米の学術界、報道機関、映画界、大学、州政府、他の地方政府などに対して『アメとムチ』を使い分けて、米国内での影響力を強めてきたと指摘した。その狙いは、中国共産党に不利な国家政策と世論をなくすためだ」

4.貿易戦で中国共産党への包囲網を強める

「米国は中国に、自由・公平・相互の貿易政策を求めている」「(中国当局が)米企業の知的財産権侵害、強制技術移転を止めるまで、制裁を継続していく」と再び強調した。

中国側はこれまで「改革・開放を行なう」と約束してきたが、それは「ただのリップサービスだ」と非難、副大統領は「自由貿易、市場開放などに関する中国側の発言をまったく信用できない」と示唆した。

5.中国当局による軍事挑発に備える

米中双方は、貿易問題で対立を激化させているほか、現在軍事的なにらみ合いも起きている。

米海軍によると、9月30日自由航行作戦に基づき、米海軍イージス駆逐艦USSディケイターが南シナ海の公海を航行中、中国海軍の蘭州級駆逐艦PRC170が異常接近し、衝突の恐れがあった。

6.米国民の結束を高める

シンクタンクのピュー研究所(Pew Research Center)は10月1日、最新グローバル意識調査を発表した。これによれば、米国が国際社会におけるリーダーシップをとるべきだと回答した人が、全体の63%を占める。一方、中国がそのリーダーシップを発揮すべきだと答えた人は19%。

7.中国共産党の邪悪本質を暴く

中国共産党の本質は「偽、悪、闘」である。国内外の政策や外交問題などをみても、共産党は一貫して、「偽、大(大げさに)、空(空っぽ)」という特徴で物事を進めてきた。国際社会で、横暴な態度でごろつきのように振る舞ってきた中国共産党が最も恐れているのは、その邪悪な本質を暴かれることだ。
4日ペンス副大統領の発言はまさに、中国共産党の図星をついた。

副大統領は「中国当局が、米の政治と政策に対して悪意を持って干渉・介入をすれば、いかなる方法でもそれを暴き続けていく」と話した。


先の日米戦争以前に、米国は「援蒋ルート」などと称する軍需物資支援ルートを通じて蒋介石一派を支援し、彼らを利用して日本と戦わせる策をとってきたが、その後日本が降伏すると、国共内戦毛沢東が大陸を平定した。
その後、蒋介石は台湾に逃亡し、米国は朝鮮戦争中共軍と戦った。ベトナム戦争で行き詰まると対峙していたソ連打倒のために毛沢東と手を組んだ。
そしてそれ以降、延々と中共との関係が続いてきたのだが、ようやく付き合ってきた“相手”の正体が呑み込めたようだ。
土台、大陸国家と海洋国家では思想も発想も異なっているのだ。異民族だと言っても過言ではあるまい。EUを見るがよい。
やっとそこに気が付いたようだが、あまりにも遅すぎた。しかしまだ間に合うだろう。
2匹のトラは同じ山に住めない、とは中国の格言だが、やっと“本物のトラ”が目を覚ましたようだ。


早速シナは「千人計画」の情報削除を指示したか、逮捕者が続出していると言う。
「FBIは近年、『千人計画』に選ばれた研究者に注意を払っている。昨年9月、バージニア工科大学の張以恆教授は不正詐取を企てたとして逮捕された。また、今年8月、ゼネラル・エレクトリック社の鄭小清チーフエンジニアが重要技術情報を盗み、中国企業に渡したとして同氏を逮捕した。両氏ともに『千人計画』にリクルートされていた。」

つまり、米国内に潜入させていたスパイ狩りが始まったので、シナは慌ててその証拠隠滅を図りつつあると言うのだ。

その先行きが興味深いが、さて、わが国では孔子学院初め、各地の大学、メディアに潜入しているスパイ摘発に踏み切れるかどうか?
大陸から大量の“観光客”が我が国に殺到しているが、お土産屋さんが潤う!程度の感覚で喜んでばかりいられないはずだが・・・


届いた本のPR
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≪Hanada11月号≫

3選された安倍総理に期待する論文が目白押し。しかし一般紙を見る限りにおいては、どこか棘がある書き方。青山繁晴氏の「かくも安直なる政でいいのか」は必読。

≪WiLL11月号≫

ナチス化する中国・習近平ヒトラー」特集は興味深い。チベットウイグルなどで早くから行われている恐るべき“民族浄化”の実態を知りながら、国際社会は一顧だにしてこなかった。古森義久氏の≪中国を叩き潰せ!≫は今回のペンス米副大統領発言と併せて読むとよくわかる。米国は本気だ!


ジャパニズム45≫

本誌には、若手気鋭の作者が登場し始めていて、時事問題も理解しやすくなってきた。老兵にとっては、なるほど、今の若者たちはこう感じているのか!と考えさせられる。希望が出てくる内容が多いのも嬉しい。そんな中、私はトランプ大統領の「対中経済戦争」とレーガン大統領時代に発起された「SDI」構想について一文を書かせていただいた。これも米中戦争についての一意見である。


≪戦史に学ぶ人のためのミリタリー総合誌「丸」11月号≫
今月号の表紙を飾るのは、重巡「麻耶」の雄姿である。80年以上も前に、わが国はこんな重巡洋艦を建造していたのだ!と今の若者達が知って自信をつけてくれればいいが…。
軍事セミナー「自衛隊『多国間安全保障協力』の実態」は、自衛隊の多国間交流?の実態を書いている。海外での活動も年々増え続け、特に今年は降り続く災害支援で自衛隊は“使われっぱなし”の感があるが、政府は人員増強に着手すべきじゃないか?これじゃ政府による「パワハラ」も同然だろう。
安倍首相の勇断を期待したい。

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