軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

「驕る平家は久しからず」

 今日は新嘗祭宮中祭祀の大祭で収穫祭にあたる。天皇が五穀の新穀を天神地祇に勧め、また、自らもこれを食してその年の収穫に感謝される。
占領軍から「勤労感謝の日」として押し付けられたが彼らの「ハロウィン」のような俗っぽいものではない。
今日は平成天皇の最後のお勤めの日となった。

産経新聞から≫


 さて今日は、洋の東西を問わず「驕れるものは淘汰される」と言うニュースである。「天網恢恢疎にして漏らさず」とでも言おうか?

≪日本人は騙されやすい…ODA、国連等々・・・産経から≫

 明治維新から大正期を通じて、日本の道路を走る自動車は、当然ながらフォード、GMの米国製だけだった。しかし日本人はこれを無視できず数社が車の製造を始めたが、とりわけ鮎川義介が「日本産業」と戸畑鋳物に出資して自動車製造会社を設立、やがて大正3(1914)年に「脱兎号(DAT CAR)」という国産自動車第一号が完成する。
 これが昭和9(1934)年に「日産自動車株式会社」の前身となり、昭和12(1937)年6月に「ニッサン乗用車 70型」、同16(1941)年2月に「ニッサントラック 180型」となったと物の本にある。

 その後日産はオースチン(英)、いすゞヒルマン(英)、日野がルノー(仏)のノックダウンで生産を始めたが、独立心が強いトヨタとプリンスは自社開発の道を選んだ。
 先人が汗水たらして日本製の近代的乗用車開発に取り組んだのだが、危うく奪取されるところだった…。


 昭和40年、私が浜松の操縦課程学生だった頃、ダットサンP310「ブルーバード」の中古車を購入したが、機械が好きだったこともあって、ベテラン整備員の指導の下、徹底的に車体を整備するのが、休日の楽しみであった。
 当時は「技術の日産」と言われるだけあって、随所に工夫が凝らされていたが、まだエンジン始動用の「クランク・ハンドル」が備えてあった時代だ。

 その後2代目ブルーバードP311,セドリックディーゼルQ330と10年おきに買い替えたが、やがて日産に併合されたプリンスのスカイラインに到達し、最終的には「スカイラインHR32」を今でも愛用しているが、今年で30年目を迎えた。
 ディラーは買い替えを勧めるが、日産はその後は労働争議が頻発して会社が傾きトヨタに水をあけられて遂に社長交代と相成った。それも“得体の知れない”外国人だったから私は日産の製品に興味が失せ、買い替えには一切応じず、「30年間も順調に動き続けている自社の製品に誇りを持つべし!」とディラーを叱咤している!


 それは“技術の日産”が“算術の日産”に変化していくのを見た気がしたからである。
 社長交代でまづ第一に「デザイン」が気に食わなくなった。社長に似たのか「いかつくて不恰好」な製品が増えた。
 どの新型車も『社長の人相』に酷似しているようで気が滅入った。確かゴーン社長は就任時に「スカイラインが興味深い」とコメントしたはずだが、桜井真一郎がアルプスの美しい稜線に感動して自ら「スカイライン」と名付けた、流れる様な日本人好みの製品にはお目にかからなくなった。

 それは砂漠で生まれた?人種と文化の違いが大きく影響していたからだろう。四季を持つ日本人の感性を新社長は理解できなかったのだと思う。
 彼は窮地に陥った日産をV字回復させた伝説の“経済人”だとされてきたが、経済学と経営法に疎い私には、単なる“人斬り”にしか見えなかったように思う。

≪ゴーン会長(当時):インターネットから≫


 社員やその家族と共にある、情に逆らえない日本型経営者ではなく、異民族でしがらみが一切ない彼だから出来たようなものだが、私が非常に残念に思うのは、経営が怪しくなってきた時に、日産社内に「泣いて馬謖を斬れる」人材がいなかったことである。
 倒産した日航を「ナショナルフラグ」だとして税金で救った政治家はいたが、日産は車、「ナショナルフラグ」的存在じゃなかったのだろう。
 日本の経済界には黒船が来て初めて開国した気風が、まだ残っているようで心もとない。
 元日産自動車取締役・奥野信亮氏は産経のインタビューで【カルロス・ゴーン容疑者について「外資系の経営者だ。『世界は自分中心で動いている』『自分さえ稼げばよい』という感じがする」と語った。今回の事件の背景に関し「社内にイエスマンだけが残り、ガバナンスの問題につながった」】と指摘している。


 さて、ルノー社の取締り2人も、取締り会で社長の罪状に合意して、全会一致で社長と“ゴマすり”男の職を解いたようだが、問題はルノーの株主であるフランス政府の対応である。

 読者はお忘れかもしれないが、フランスと言う国はアジア、アフリカを舞台にした“あこぎな武器輸出国”で、同じ白人国でも一風変わっている国だ。
 第2次世界大戦でヒトラーに開戦直後に占領されたにもかかわらず、インドシナベトナム)ではアジア人を支配し、本国ではドイツに支配されペタン内閣が発足していたが、現地の軍は日本軍の平和的仏印進駐に抵抗した。
 占領中も日本人と軍に対して嫌がらせとゲリラ活動を行っていたが、終戦で抵抗できない日本軍の捕虜を虐待するなど、相手が弱いとみると、オランダ軍同様嵩にかかって暴力を振るった。そしてついに残留した日本軍人に指導されたベトミン軍に、ディエンビンフーで壊滅させられた歴史が残っている。他に残ったのは「フランスパン」ぐらいか?


 最近では、台湾での武器販売汚職事件がある。台湾のAndy Chang教授はこう書いている。
【フランスと台湾の契約は全てフランス政府のお膳立てがあったから出来たことだからフランス政府がリベートを取ったということだ。例えば最初のラファイエット巡洋艦の販売ではリベートを台湾、フランスと中国の高官が分け合ったことがわかっている。(注:ここで言う“台湾”とは大陸から亡命してきた国民党政府である)

 しかも台湾海軍は2008年にスイス法廷が提供したこの事件に関わる台湾の汚職高官の資料を没収して闇に葬ったのである。台湾海軍はフランスがBravoと命名した6隻のラファイエット巡洋艦の販売計画で26.5億ドルの契約を結んだ。
 同じ時期にシンガポール政府は6隻のラファイエット巡洋艦を12.5億ドルで購買した。台湾はシンガポールの2倍以上の金を払ったのである。つまり12億ドルを台仏中の三国の高官が分け合ったのだ。

 まだある。台湾が購買したラファイエット巡洋艦は、TAVITACと呼ぶアメリカのイージス・システムに相当するレーダーに拠る監視と攻撃システムの外に艦載ミサイル、速射砲などすべての艦載武器を中国に引き渡した後の空の船を受け取り、新たに20億ドルの予算を組んで新しい武器装備を買ったのだった。
 新装備の購買のためフランスに派遣された尹清楓大佐は、台湾海軍の売国行為に憤慨して事実を公開しようとして、海軍とトムソンのアジア代表で東京に駐在していたジョンクロード・アルベサールなどに殺害された。

 ラファイエット疑獄の調査に関連して台湾とフランスで各々12名ほどが不審死を遂げている。アルベサールも東京で不審死を遂げた。
 一説には彼のオフイスの椅子の下から放射性物質が検出されたと言うが、日本の警察やメディアがこれを報道した記録はない。】


 昭和14年(1939年)8月23日にドイツが突然ソ連独ソ不可侵条約を締結したことを受けて平沼首相は8月28日(私が生まれた翌日だが)に「欧州の天地は複雑怪奇なる新情勢を生じたので、我が方は之に鑑み従来準備し来った政策は之を打切り、更に別途の政策樹立を必要とするに至りました」と演説して辞職したが、ことほど左様に、外国との外交交渉、通商条約は“奇々怪々”なのだ。
 まあ、日本の産業の中核たる日産が、フランス政府に“奪取”されなかっただけよかったと言うべきだろう。
 今後日産は、平沼首相が言った様に「従来準備し来った政策は之を打切り、更に別途の政策樹立を必要とするに至りました」と宣言して独立したらいい。

 今回のゴーンスキャンダルは、国や人種は違えども「驕る平家は久しからぬ」と言う証明か!それにしても彼を持ち上げてきたわが国のメディアや財界人たちの顔が見たいものだ。

 外国人労働者受け入れ問題も、この問題の延長線上にあるのであり、更なる複雑な問題を発生させる恐れがあると思われるが、安倍総理は「君子危うきに近寄らない」方がよいのじゃないか?


処で話は変わるが、JAXAの現役研究者たちから、次のような知らせが来た。
【以前、デザイン思考という人間中心の考え方を用いた取り組みとして、同僚とともにインタビューさせていただきましたが、その後さまざまな活動を経て、「将来の空」のシナリオを描き、それを公開するWebサイトをオープンいたしました。
この内容に対して世の中のみなさんからご意見やご感想をいただき、それを踏まえて、具体的な研究開発に結びつけていけたらと考えております。
もし、お時間、ご関心がございましたら、ぜひご覧いただけますと幸いです】

若い研究者たちの益々の研究と発展に大いに期待したい。
読者の方々で興味がある方は下のWebサイトを開いて、ご一覧いただき、遠慮なくご意見を寄せられたい。

http://www.aero.jaxa.jp/wakuwaku/



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次代国産戦闘機の開発が待たれるが、果たして…

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