軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

2019年を見通す

 今年1月24日のブログに、「今年は戌年…何が起きるか」として「戌年には大波乱があるといわれ、歴史的にみても大変化が繰り返されてきたと例を挙げて書いが、確かに的中していた気がする。
 その証拠にわが国の今年は「災」と言う一語に尽きた。


 産経は「平成30年国内10大ニュース」として、
1、西日本豪雨
2、日産のカルロス・ゴーン会長逮捕
3、2025年万博、大阪開催決定
4、オウム13死刑囚、全員執行
5、北海道地震41人死亡
6、本庶にノーベル医学・生理学賞
7、日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉加速合意
8、森友問題で文書改竄発覚
9、大阪なおみが全米オープン優勝
10、大谷祥平、大リーグ新人王に、を挙げた。

 スポーツ界や、大学入試などでセクハラ問題などスキャンダルが多発したが、これは“大人たち”の私利私欲が表面化したに過ぎず、陰湿で傲慢さがひどかったものの、例年と同様だと言えなくもない。
 しかし「平成30年の主な出来事」のなかで気がかりなのは「大阪北部で震度6弱地震(6月)」「熊谷市で国内史上最高気温41・1度を記録(8月)」「台風21号が上陸(9月)」など、大きな天変地異が目立っていることだ。


 12月23日にはインドネシアのクラカタウ火山で大規模噴火が起きて津波が発生し、翌日の12月24日にはシチリア島のエトナ山が噴火 、一部空域が閉鎖された。
 人為的なものとしてはゴーンと言うフランス人?による我が大企業の私物化を許した日本経済界のだらしなさが目立った。外国人によるグローバル化と言う名前の日本企業の植民地化が進んでいるのである。


 他方国際面では、「史上初の米朝首脳会談」が筆頭に挙げられているが、北の非核化は遅れている。しかし、トランプ大統領に気おされたか、あれほど打ち上げていた首領様の“花火”がピタッと止まったのは面白い、
 しかし、なんといっても米中経済“戦争”の行方の方が気にかかる。

 総合的な国力から見れば、とても話題になるものではないのだが、「米国優先主義」で、今までの民主党政治でガタガタになった国内経済などの見直しが始まったから、その一環としてトランプ政権が「悪の帝国=中国」に覇権を渡さない覚悟を決めたのだと言える。
 私も何度かここに書いたが、彼が尊敬するレーガン大統領が“悪の帝国=ソ連”を追いつめた戦略を踏襲しているように見えるが、他方中国も、当時憧れていたソ連を見習って、米国の外交戦略の隙を突いた“一帯一路”戦略を展開しているが、当時のソ連程の戦略眼がない中国共産党は、ソ連と同様な自壊への道を歩みつつあるように見える。


 しかしシナとソ連が違うのは、「自分こそが世界の中心だ」という中華思想で凝り固まっているシナの指導部は、欧州式文明をかじってきたロシア(ソ連)とは異なり、成金になった国民共々傲慢に振るまう行動が収まらないだろうから、いくら後進国に金をばらまいても世界戦略はやがて頓挫するに違いない。つまり、2008年の北京五輪で一時的成金に成りあがったこの国にはまともな世界戦略を建てる能力はないであろう。
 その点、世界中に足跡を残し、あらゆる資源と情報を持つ米国は、経済的にも軍事的にもシナを締め上げる政策でもってシナ共産党を壊滅させることだろう。

 すでにシナには強度な不景気が襲いつつあり、株式市場に大暴落の気配があると言われ、人民の政府に対する不満は高まりつつある。
 シナ共産党が怯えるのは、明確な景気後退による不満が人民の中に高まり、反政府活動が起きることだ。

 他方、ロシアは原油相場低迷により経済が悪化しているから、支那同様人民の反乱が怖いのだ。勿論専制国家だから強権を発動して粉砕するだろうが、長くは続くまい。
 ドイツはメルケル政権のレームダック化で動きが取れそうもない。
 英国も揺れているがEU崩壊への懸念は継続しているからユーロ体制も崩壊しかねまい。

 そんな流動的な国際関係のはざまに位置しているのが日本である。
 保守派の一部やリベラル派の中から、“米国追随”と罵倒されようとも、全体を見渡せば「誰についていくのが賢明か」は自明である。
 幸い、安倍首相とトランプ大統領の絆は想像以上に強そうだからあと3年は持つだろう。
 
 但し問題は、トランプ政権内の特に軍事関係者の動きに注目しておく必要がある。とりわけマティス国防長官の辞任は中近東に変化をもたらす。
 その隙に乗じてロシアとシナが武器をちらつかせて進出すれば、再び「火薬庫」に後戻りしかねない。


 この例を見ても、わが国は国家安全保障政策をいつまでも米国に頼った状態では、世界の「根無し草」に終わりかねない。
 重要なことは、“自主独立”とまでも言えないにしても、周辺諸国の軍事的威嚇に十分耐えられる軍事力を整備しておくことである。

 産経の佐野論説委員によると来年の干支は「己亥」であり「次の段階にステップアップするための大事な時期で、調子に乗ると落とし穴に堕ちる年」で、『「亥」から「猪突猛進」を連想してしまいがちだが、どちらかと言えば“備えが大事な年”である』と言う。


 何よりも今年は御代代わりの年、2年後には東京五輪も迫っている。
 そんな中、経済が没落したシナに暴動が起き、ベトナム終戦時の様に“ボートピープル”が我が国に押し寄せてでも来たら、自衛隊による“防衛出動”どころでなくなろう。それに天変地異が重なったら…… 考えるだけで背筋が寒くなる。
 来年のわが国は、特に重要案件が目白押しなのだから、政府機関には、あらゆる危機管理対策を進め、「備え」を厳重にしておいてほしいものである。


 愈々あと数時間で今年も暮れる。来年は何とか若者たちが希望が抱ける年になってほしいものである。
 読者の皆さんの幸運を祈りつつ…

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