今朝の産経新聞トップに、「本誌論説顧問『北方領土』で露大使に再反論」と言う記事が出ている。
本誌顧問とは、斉藤勉元取締役副社長などを歴任したロシア通で、著書には「スターリン秘録」などがある。
この”討論”の経緯は記事に任せるとして、何とも解せないのがこの1月に着任したロシア大使の”認識”である。
これが大使の発言部分である。
ロシアのガルージン大使は、ウィキによると1960年6月14日(58歳)モスクワ生まれでモスクワ国立総合大学群のアジア・アフリカ諸国大学卒で創価大学にも留学、「ロシア外務省第3アジア局長」や日露首脳会談の通訳を務めたこともある「知日派」のロシア外交官で、駐日大使就任前に3度の駐日ロシア大使館での勤務経験がある。一方で第二次世界大戦終結直前の1945年8月9日のソ連対日参戦を正当化する論文を発表したほか、北方領土問題や日露間平和条約締結問題では強硬派としても知られる」とある。
学生時代に何を学んだかは知らないが、かってのソ連のプロパガンダを読んだだけではないのか?
斉藤氏が言うように、歴史を学ばないこと夥しい、と私も思う。
日ソ首脳会談を控えているので、恐らくクレムリン側の“掩護射撃”をして出世しようと企んでいるのじゃないか?と邪推したくなる。勿論ロシアの大使なのだから、日本に意見を合わせる必要はないが、歴史は「捏造された」ものと、「真実」とがある。
極力歴史の真実に近づこうとするのが、教養人の務めだが、彼はいささか若いようだ。
どうした事か、北方”日露領土論争”にヒトラーの罪悪を強調し、彼と同盟を組んだことが良くないらしい。しかし、欧州ではソ連も”狂人”ヒトラーと同盟してポーランドを分割支配したのではなかったか?
これは”合法的”だと正当化できるのか?
同時に、肝心のスターリンも、自国の仲間達から”狂人”扱いされているのだ。
そんな歴史認識しか持たない方が、アジアの大使として務まるとは思えないが!。
それとも創価大学で習ったのだろうか?
恐らく彼は自国・ソ連の歴史もよく読んではいないだろうから、ちょうどよかろう。当時の史料を参考として掲げておこう。
昭和62(1987)年7月26日付の、日本の読売新聞記事だが、翻訳するまでも無かろう。27才だった大使は、モスクワでも話題になっていただろうから、もちろんよく知っているに違いないが・・・
タイトルは「スターリン批判の秘密報告」「ソ連、全文公表を決定」「今秋にも党理論誌に」とある。
リードは、【モスクワ二十五日=浜崎(紘)特派員】ソ連共産党は、スターリン批判の原点となったといわれる「フルシチョフ秘密報告」の公表に踏み切る方針を固めたことを固めたことを明らかにした。党理論誌「コムニスト」のナイリ・ビッケイニン編集長がこのほど読売新聞との会見で明らかにしたもので、党指導部は問題報告全文を同誌に掲載する方針を決定ずみだと言う」ものだ。
つまり、スターリン時代の”誤り”を暴露しようと言う雑誌編集長の意見だ。
【若い世代に波紋か
編集長は、具体的な掲載時期は未定としながらも、「今年十一月の革命七十周年に際し、ゴルバチョフ書記長が記念報告を行った後の“予見し得る将来”に掲載されよう」と述べ、十一月のゴルバチョフ報告が、スターリン問題をはじめとする遇去の誤りに関する党の新たな態度表明になる可能性を示唆した。
「秘密報告」は、スターリン死後三年の一九五六年二月に開かれた第二十回ソ連共鷹党大会最終日に、フルシチョフ第一書記が非公開で行ったスターリン糾弾演説で、正式な表題は「個人崇拝とその諸結果について」、その内容は、それまで神格化されていたスターリン像を根底からくつがえす罪状暴露たったため、強列な衝撃を与えた。同報告はその後、全党員、コムソモール(共産青年同盟)員、最高会議代議員などには伝えられたが、一般には公表されず、五十六年六月、東欧筋から流れたテキストが米国務省から「秘密報告」として発表された。
ソ連国内でも五九年になって、国家政治出版社からパンフレットが発行されたことがあるが、党機関紙を通じて一般国民に公表されるのは、これが初めて。同誌掲載によって、ソ連国民、とくに若い世代に少なからぬ衝撃を与えることは間違いない。
ビッケイニン編集長は、同報告公表の意義について「公表それ自体は今やそれほど衝撃的なことではない。スターリンの誤りについてはこれまで多くの論文や記事を通じて明らかにされており、驚くべき真実は、もはやないからだ。
内容的にもフルシチョフは多分に感情的な発言をしており、歴史的政治文書の一つとしては確かに興味深いものだが、われわれはもっと科学的かつ冷静なスターリン研究に本格的に取り組まねばならない」と語った。】
政治家は双方ともに、現業だからこの様な”討論”はしないだろうから、民間人たる斎藤氏には若い大使に対してしっかり彼を教育してやってほしいと思う。
彼の為にも『大したタイシじゃない』と言われないように・・・
次回を楽しみにしている!