軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

資料から:男の子の今昔

男女を問わず、最近の青年の活躍は目覚ましい。とりわけスポーツ界は男女ともに20歳前後の活躍が目立つ。もとより、囲碁、将棋、数学界の”未成年”男女の活躍ぶりも頼もしい。

ヒストリーチャネルで放映されている”古代の宇宙人”によれば、今や新世代の子供たち「スターピープル」が人間界に出現しているのだと言う。

それは人類を創生した宇宙人が、最近”期待にそぐわない地球人”が増えたので、入れ替えを計っている、と言うのだが、それはさておき、確かに”超人的な”活動が目につくので、何となく将来を期待している。

処で昔(30年ほど前だが)の若者たちの中にも、話題になっていたものがいる。

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この記事は昭和60(1985)年6月15日付毎日新聞のコラム[憂楽帳]である。内容は、北大法学部に入学した現在生活になじんでいるはずの”男の子”が、20人の北大生仲間と”スラム街的”下宿生活を送っている有様を伝えたものである。

この記事のネタは、自衛隊の機関紙[朝雲]だとあるから、6月6日付の原典も紹介しておこう。

 

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表題は「したたかな青春=自主管理”スラム街下宿”の北大生たち」とある。筆者は主人公の父親である田代一男1陸尉という陸自八尾駐屯地のヘリのパイロットである。

「憂楽帳子」は「テレビ、若者向け雑誌、東京の盛り場でもてはやされる学生がいる半面、たくましく苦学して屈折することがない学生も健在なことをしっかりと知らされた。豊かではなくても厳しく、優しい父親の無言の教えもまた健在なのであろう・・・」と書いているが、その通りである。

そしてその”健全な”父親と男の子は、未だに憲法上、存在を認められてはいないのだ。

案外、新憲法の庇護下にとっぷりと漬かった青年男女よりも、その枠外で存在さえ認められていない”憲法違反”の男の子の方が、健全なのかもしれない。

 

次はこの記事とは正反対に、”平和にとっぷりと漬かった”現在青年が、外人部隊に志願し、軍隊生活を送っていると言う記事である。

「戦後四十年、平和憲法を持ち、世界でも有数の繁栄を謳歌する日本の若者たちはなぜ戦場に走るのか」という「昭和60(1985)年6月29日付の日経新聞」のコラム「波」欄である。

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平和憲法の庇護を信じて、とっぷりと怠惰をむさぼっているのはこれを書いた記者の方ではないか?

表題には「外人部隊のピーターパン」とあるが、ウィキによればピーターパンはロンドンの公園で乳母車から落ちて迷子となったことから年を取らなくなり、海賊のフック船長などが住む異世界・ネヴァー・ネヴァー・ランドに移り住み妖精・ティンカーベルと共に冒険の日々を送る永遠の少年」で、そこにはピーターと同じように親とはぐれて年を取らなくなった子どもたち(ロストボーイ)がおり、ピーターは彼らのリーダー的な存在」と言われる。

そう見ると外人部隊に「青い鳥を求めた」と言うニュアンスは若干異なった来るのではないか?

少女漫画を見て育った男の子とは違って、彼は本来の男の姿を求めたとはいえまいか?

本文中の「外務省によると、『日本人が海外の軍隊に入隊するのは、いわば外国企業に雇われるようなもので、個人の自由意志だから日本政府が異議を申したてる権限はない」(条約局法規課)。ただ戦闘中に人を殺せば国外犯として帰国後、刑法の殺人罪で処罰される恐れがある。実際のところは戦場でだれの弾が当たったのか立証するのは困難で、平和憲法や刑法のこの規定も外人部隊にあこがれる青年を押しとどめる役割を果たしそうもない」と言う外務省の論法と解説程、漫画より面白いものはないだろう(笑)。

 

 

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雑誌「丸」4月号

平成31年度「防衛大綱&中期防」大研究は参考になるだろう。

陸軍衛生2等兵泣き笑い、ルソン島生還記(前篇)は必読である。高級将官の伝記には多々あるが、第一線で、しかも[衛生兵]の体験談は貴重である。