軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

資料から:自己防衛できない日本人

今朝の産経新聞の「談話室」欄に「外国人に頼らず済む方策を」と題して堺市の無職・納谷昭一郎さん(80)が、次の外国旅行体験談を書いていた。

 

【先日、イタリアのローマからフランスのパリまで、バスと電車を乗り継いで旅をした。

 立ち寄ったどの都市でも現地のガイドは開口一番、「スリに注意するように」という。

 特に子供には気をつけなければならない。親がスリをさせるのだ。その多くは移民や国を持たぬ移動民族で、ヨーロッパでは深刻な問題になっている。

 「あの2人組はスリだ」「あの女もそうだ」とガイドが言う。もう顔まで覚えられている堂々とした存在だ。国の治安が良い日本人が、一番被害に遭うそうだ。

 日本では4月、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた改正出入国管理法(入管法)が施行された。だがヨーロッパの現実を見ると、その受け入れには慎重になるべきではないか。

 外国人にできるだけ頼らずに済む方策を、考えねばならないと思う。】

 

偶々切抜きの中に参考になるモノが出てきたから掲載しておこう。

平成5(1993)年1月25日の産経新聞『正論』である。

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同じ日、栗栖弘臣元統幕議長が、静岡新聞に「首相の安全保障感覚を憂える」と書いている。首相の「安全保障感覚」がこれでは、一般国民の自己防衛と言う心構えが育たないのも仕方あるまい。

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栗栖大先輩は、「最高指揮権者としても国家の総合安全保障を担保すべき首相としても全く不適格と言う以外はない」と批判した。

南方戦線へ従軍し、海軍法務大尉として終戦を迎えたが、終戦後も志願して現地の戦犯を弁護する特別弁護人を務めあげ、昭和23(1948)年まで帰国しなかった体験を持つ”軍人”の言葉には重みがある。

処で、気になる事案が目についた。

報道によると、「日本維新の会は14日、北方領土へのビザなし交流訪問団に参加し、酒に酔って戦争による領土返還を元島民に質問した丸山穂高衆院議員(35)=大阪19区、当選3回=の除名を決めた」とある。

夏の参院選を前に早期に政治的決着を図ったのであろうが、彼は一般国民ではなく、国会議員だったのだから、「日本の根幹である『戦争の放棄』『平和主義』から大きく逸脱した発言だ。非常識極まりない」と言われるのも現憲法下ではやむを得まい。

その昔、栗栖先輩も、週刊誌の取材に答えて「現行自衛隊法には穴があり、奇襲攻撃を受けた場合、首相の防衛出動命令が出るまでは自衛隊は動けない。第一線指揮官が超法規的行動に出ることはあり得る」と有事法制整備を促す発言をしたため、時の金丸信防衛庁長官からシビリアンコントロール上不適切として解任された事があったが、今回の丸山氏は「これまでも数々の騒動が報じられてきた」とあるから、発言以前の”曰く付きの人物”だったのだろう。

それはそうとして、同党の松井一郎代表は記者団に「外交上も非常に大きい問題だ」と語ったそうだが、どのような意味で『外交上大きい問題なのか』、日本外交上?なのか、ロシア側にとってと言う意味なのか、よく理解できない処がある。

いずれにせよ、日本は憲法で「戦争をしない国家」として国際的に定着しているのだから、そんな弱い日本の態度が「相手に誤解を与える」とでも言うのだろうか?

だから、北朝鮮拉致被害者を返そうとはしないじゃないか?

第一、同胞を自ら奪還しようともしないで、同盟国である世界一の軍事大国に「丸投げ」するような国は、世界の常識と言う点では独立国として通用するはずはなかろう。

パスカルは言った。「力無き正義は無効、正義無き力は圧政だ」と。

丸山議員がそこまで知って発言したかどうかは知らないが、パワーポリティクスので世界である。案外彼の発言を聞いたロシア人の中には、日本人の中には「武力で取り戻そう」と言う骨のある?若者もいるらしい…と常識的にとらえた者もいたかもしれない。

今までは、日本の常識は世界の非常識として通用しているのだから。しばしロシア外交の反応を見てみたい。

 

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戦争をしようとしまいと、世界の軍事情勢はどんどん進化している。わが国だけが「他国の信義と信頼を信じて」いても、他国はそうは考えていないことを悟るべきであろう。

政治家に一度は読んでもらいたい本である……