軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

情けない話と明るい話

関東地方も梅雨に入った。この時期は自然界にとっては欠かせないものだが、人間社会にとっては何とも鬱陶しい気が滅入る季節である。

早速中国地方は豪雨で、大雨警報が出されたが、これが天変地異の前兆でなければいいが‥‥と祈らざるを得ない。

処で連日お茶の間をにぎわせているのは高齢者による車の事故続発ニュースだ。

戦闘機操縦教官だった経験から言えば、段階的な操縦教育を経ない「最新装置」による運転技術は、特に高齢者には不向きだと言うことだ。

零戦からいきなりF35に転換するようなもので、私を含む高齢ドライバーの老化現象問題だけを取り上げてみても、原因探究にはつながるまい。

機会があれば改めて述べることにしたいが、今日は私の故郷である樺太を含む北方領土問題について書いておこう。

 

報道によると「ロシアのプーチン大統領は6日、国際経済フォーラム出席のため訪問している露北西部サンクトペテルブルクで各国の主要通信社と会見した。プーチン氏は日露平和条約の締結問題について、「ロシアは条約締結を望んでいるが、日本と米国の軍事協力が締結を難しくしている」との認識を改めて示した。

 インタファクス通信などによると、プーチン氏は沖縄の米軍飛行場建設や地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の日本への配備計画に言及。「日本もロシア側の憂慮を理解してくれると思う」と述べた。平和条約締結に伴って北方領土を日本に引き渡した後に米軍が基地を配備した場合、ロシアの安全が脅かされるとの懸念を表明したとみられる」と言う。

 自分は多量の核兵器を配備しているくせに、わが国の防衛兵器である「イージス・アショア」を問題にするなど、肝っ玉の小ささをうかがわせるが、領土拡張を国家戦略にしているロシアは「血を流して奪取した領土は絶対に手放さないと言う証拠」でもある。

とりわけオホーツク海は、対米戦略上、SLBMの聖域であるから、総理がいくら「米軍基地を配備しない」と約束しても、他人を信用しない、猜疑心の塊のような露西亜人には通用しない。

そこで先日の某国会議員の≪戦争発言≫になるのだが、発言した個人の人格はさておき、この発言は国際問題解決の一つの手段として解釈されるべきものだと思う。

しかし、「平和憲法症候群」に冒されたわが国の政治家もメディアも『駄目なものはダメ!』と言う思考が先走り、間もなく半世紀になろうとしている北朝鮮による非人道的な拉致問題同様、「呼び戻そう北方領土!」などとデモばかりしていても領土問題解決のためには何の足しにもならないだろう。

ところが、この丸山氏発言を巡り、ロシア側の反応が伝えられた。

5月24日の時事通信によると、「ロシア外務省のザハロワ情報局長は23日の記者会見で、戦争による北方領土奪還に言及した丸山穂高衆院議員に対し、日本の与野党けん責決議案や辞職勧告決議案を衆院に提出したことについて『日本側の対応は希望を抱かせるものだ』と語った。ザハロワ氏は、丸山氏の発言に『われわれは憤慨している』と述べ、一政治家の非常識な発言なのか、世論を反映しているのかを検証することが重要だと指摘。日本の与野党の対応を挙げ、『挑発的で非常識な行動に妥協なき判断が下される』ことに期待感を示した」と言うのだから、我が政府はロシア側の思い通りに行動していることが良くわかる。

つまり、わが国会の「けん責決議案提出」は「ロシア側に希望を抱かせるもの」だったに違いないからである。

こんなことでは北方領土は永遠に戻ってはくるまいと思う。情けないことだが、奪還できない拉致被害者同様に…

 

さて、梅雨入りと同時に何とも暗い話になったから、ここで明るいニュースを2つ取り上げておくことにする。

≪その1≫

●「ママ」と泣く声、車道に男の子が 女子高校生が救った 朝日新聞6月7日)

 

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 朝日新聞社 感謝状を受け取る手島さん(左)=2019年6月6日午前8時56分、群馬県藤岡市篠塚の県立藤岡北高校、松田果穂撮影

 

【迷子になって片側1車線の県道の真ん中で泣いていた4歳の男児を、帰宅途中の女子高校生が救った。幼い命を守ったとっさの行動に6日、群馬県警藤岡署から感謝状が贈られた。男の子を保護したのは、県立藤岡北高校3年の手島まひろさん(18)=高崎市=。5月29日午後7時ごろ、学校からの帰宅途中、校門の前の県道を歩いていると「ママ!」と泣く子どもの声が聞こえた。振り返ると、車道の真ん中で泣きじゃくりながら立ち尽くす、幼い男の子の姿が。

 行き交う車が男の子を避けるようにして通り過ぎていくのを見ると、急いで男の子の手を引き、学校の事務室へ連れて行った。

 男の子の好きな車の話などをしながら校門の前で警察官を待っていると、男の子の母親が先に到着。無事に引き渡した。自宅で家事をしている最中、少し目を離した隙に家を出て行ってしまい、近所を探していたのだという。

 手島さんは「無事にお母さんと会えたときはとにかくほっとした。当たり前のことをしただけですが、うれしい」とはにかむ。藤岡署の兵藤義之署長は「車の往来が多い道路で、一歩間違えば命の危険があったかもしれない」とたたえた。(松田果穂)】

 何とも心温まる話じゃないか!この新聞社も、過去の捏造歴史ばかり取り上げず、こんな暖かい記事を特集したらどうだろう!

 

≪その2≫

  • 「借りたお金を返しお礼したい」 沖縄の高校生が男性探す 飛行機代6万円をとっさに貸した沖縄タイムス+プラス ニュース:5月9日)f:id:satoumamoru:20190607171922j:plain
  • NHKニュースから

沖縄県立沖縄工業高校2年生の崎元颯馬(そうま)さん(17)が、伯父の葬儀のため与那国島への帰省直前に、航空券代を入れた財布をなくしたところを助けてくれた男性を探している。男性は航空券代6万円を貸してくれたが、飛行機の時間に遅れそうでパニックになっていた崎元さんは名前や連絡先を聞きそびれてしまったという。「おかげで葬儀に間に合い、伯父にお別れができた。借りたお金を返しお礼が言いたい」と話している。

 崎元さんは4月24日、午前7時15分発の飛行機に乗るため、始発でモノレール安里駅から那覇空港に向かった。午前6時半ごろ空港駅に到着した時に、財布がないことに気付いた。財布の中には往復の航空券代6万円が入っていた。

 安里駅で切符を買った際に置き忘れたかと思ったが、戻れば飛行機には間に合わない。「葬儀に出られないかもというショックと大金を無くした不安でパニックだった」

 頭を抱えて駅のホームで座りこんでいた崎元さんに、かりゆしウエアを着た白髪の男性が「どうしたの」と話しかけた。事情を説明すると「どこの出身なの。高校はどこ」といくつか聞き、財布から6万円を出して手渡してくれたという。

 「うれしくてほっとしたが飛行機の出発までぎりぎりで、お礼を言って飛び出してしまった。本当に申し訳ない」と恐縮した様子。「助けてもらい感謝している。授業でつくった自作の文鎮を贈り物として渡したい」といい、沖縄工業高校まで連絡を呼び掛けている。沖縄工業高校は、電話098(832)3831。】

 

この出来事は産経新聞や読売新聞、NHKでも報じられた。

結果はハッピーエンドで、二人は目出度く再会できたと言う。沖タイのヒットだろう!

 

以上、梅雨空を吹き飛ばす、心温まるニュースの御紹介でした。

 

 

届いた雑誌のご紹介

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ジャパニズム49 青林堂¥926+税)

執筆者の一人として、私は今号には「『令和』時代は、憲法を改正して不安定な安保環境に備える時」と言う一文を書いておいた。

他にも興味ある内容の文が多い。

「日本のために議員にしてはいけない人たち」はこの国の政治を良い方向に動かすために必読の一文、

「引きこもり61万人の衝撃!日本人は何を失ったのか」は続発する8050問題の一助として必読だろう。