軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

天安門事件に似た香港デモ集会

香港発時事通信によれば、【香港で身柄を拘束した容疑者を中国本土へ移送できるようにする「逃亡犯条例」改正に反対する香港の民主派が9日、香港島中心部で大規模なデモを行った。デモを主催した民主派団体「民間人権陣線(民陣)」は103万人が参加したと発表した。香港の人口は約750万人なので、7人に1人が参加した計算で、発表通りなら「(1997年の)返還後最大」のデモとなる。警察発表の参加者は24万人。

条例改正により、中国政府に都合の悪い民主活動家やジャーナリスト、中国側とビジネス上の紛争を抱える企業関係者も引き渡しの対象になる恐れがあり、在住外国人を含む幅広い層がデモに参加した。「反送中(中国への移送反対)」と口々に叫びながら、立法会(議会)前まで行進した】と言う。

 

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時事通信社 9日、香港で、「逃亡犯条例」改正に反対して行進する民主派のデモ

 

香港警察が公表した参加者数は共産党がよく使う『白髪3千丈』の逆バージョンだが、1989年6月4日に天安門広場で起きた「大学生を中心とした民主化を求めたデモ活動」に似てきた。

恐らく中国政府は「米国などが仕掛けたデモ」だと弁明するだろうが、時期が時期だけに政府は不安だろう。そこで何をさておいてもデモを弾圧する様香港政府を支援するに違いない。勿論米中“戦争”下にある米国も何らかの支援をするだろう。

対岸の火事を見つめる台湾はどうするか?

尖閣問題を抱えているわが国は“静観”だけで手を打たないだろうが、かじ取りを誤ると大変なことになるだろう。

 

資料を整理していたらこんな記事が出てきた。

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平成11(1999)年6月4日読売新聞

 

 

更に当時の外務省高官と朝日新聞が、中国にどのような対応をしようとしていたかわかる次のような記事もある。

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 昭和60(1985)年9月25日朝日新聞

 

記事の中に「同じような顔立ちと皮膚。漢字を使い、はしで食事をとる。「なんでも分かり合える仲」と、日中関係を安易にとらえるなら、大変な誤算を招く。日本人と中国人の物の考え方、行動様式、性格、気性、何を取り上げても、むしろ、かなり隔たりがあると受け取るべきではないだろうか」と書いていた割には、「過去に傷もつ身?」と言う、間違った自虐史観から抜け出せていない朝日の姿勢がよく表れている。

記事は「実際行動で誠意を示すのが、友好維持への一番の近道ではないだろうか」と結ばれているが、こんな「上から目線の」友好関係を説いてきたから、中国人にも反感を持たれて、日中関係はうまくいかなかったことに気が付いていない。一体自身は何様だと思っていたのだろう?

経済的に豊かになった中国人民は、こぞって日本に爆買いに来るようになったが、今まで朝日新聞しか読んだことがなく、「なんでも分かり合える仲」だと思いこまされていた日本人読者は、「行動様式、性格、気性、何を取り上げても、あまりにも隔たりがある事」に気が付き、辟易しているのではないか?

今、香港の住民たちが、施政権返還後に進出してきた中国共産党政府の実態を知って、そのあまりもの思想の違いに悩まされていることに共通していると思う。

勿論、国共内戦に敗れた蒋介石一行が進駐してきた台湾でも、是と同じ状況が継続していたのだが、日本人のほとんどが「台湾=台湾人」と誤解して親近感を抱いてきたのだったが、実はその実権を握った国民党政府は大陸からの逃亡兵=外省人だったと漸く気が付いたようなもの。

有難いことに、天安門事件も、香港の非民主化の実態も、高度に発展したインターネットを使って、今では一般人が直接真相を知ることが出来るようになったから、朝日のフェイクニュースや「ご高説」に騙されることは少なくなった。

だから中国政府は、一切のインターネット情報を遮断する強硬策に出ているのである。正しい情報が流出すれば共産党政権は”持たない”からである。

やがてハーウェイ事件が、ブーメランの様に中国政府に突き刺さる現象が起きるに違いない。

香港が返還された1997年7月1日は、私が沖縄で制服を脱いだ“記念すべき”日でもある。

直ぐに言論が統制される日が来ると思っていたが、辛うじて20年も保たれたことの方が逆に不思議に思われる。それほど香港人には“自由と民主主義精神”が浸透していたのだろう。それとも人民解放軍の戦車が、香港市街に侵入して民衆を踏み殺すことが出来なかったからであろう。しかし、香港島台湾島にも人民解放軍の目が光っている。

経済悪化で窮地に立っている習近平主席が、その打開のために、かっての鄧小平の様に「GO!」サインを出さないとも限らない。我が国も決して油断できないのだ。

 

処で、届いた『軍事研究』誌に丸山議員の「戦争発言」に関する所感が出ていた。全く同感であるからご参考までに掲載しておきたい。

 

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ついでに「金融・世界経済に関する首脳会合(G20)で何を」と題する志方俊之先輩の「巻頭言」もご一読あれ。

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