軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

自滅の一歩を踏み出した文政権

韓国が、日韓の軍事機密の共有に関するルールを定めた軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると発表、韓国大統領府は同日、この協定の継続は「韓国の国益と矛盾している」とした。

しかし、“常識的な”日本や米国には、これは「東アジアの安全保障に影響を与えかねない」と懸念を表明している。

この国が持つ持病である「火病」が暴発した様だが、この問題の発端は「韓国が大量破壊兵器製造に転用可能な物資をシリアやイランなど北朝鮮の友好国に不正輸出したことが発覚したこと」にある。

そこで日本政府は、韓国への輸出管理を見直し「貿易管理上の優遇対象国から韓国を除外した」に過ぎない。しかし韓国側は「安全保障上の関係が変化した」とみなして、今回「軍事情報交流を目的にした協定を維持することは韓国の国益に合致しない」として破棄を決定したのである。

日本政府がこの措置は、「単なる韓国に対する輸出入管理強化措置であり、RCEP加入の東アジアの他国と同等の扱いになるだけに過ぎない」と繰り返し説明しても文政権は聞く耳を持たなかった。

多分その背景には「祖父母を北朝鮮に残してきている避難民」である文大統領の出自と無関係ではないだろう。

 

彼はあくまでも北の首領様には“忠誠”を誓うが、出稼ぎで務めている韓国の国民には一片の責任も感じていないのだ。

万一韓国民を北の首領様に“献上”しても、直後に“用済み”で始末されることが分かっていないのだ。哀れなのは韓国民である

「約束が違う」と泣き叫んでもすでに遅し!

仮に北から脱出できても住む場所はないだろうから、日本海(東海??)に漂うことになる。そう、昔のベトナムから洋上に脱出して漂流した“ボートビープル”のように。

あの時は、日本の船舶などが救出して、北九州の施設に一時的に保護したことがあり、私は外務省高官(日赤理事)のお供をして、彼らと面談したことがあったが、何とも悲惨なものだった。

国際社会に対する責任はおろか、時の感情に左右されるだけで、健全な判断力を失った彼らの末路は、既に明らかである。

 

第一考えてみるがよい。今回の輸出管理見直しは、“敵国”に資源を横流ししていたからである。そんな国が、軍事情報を横流ししないはずはなかろう。GSOMIA締結問題が起こった時、我が方にはその危機感があった。

日韓は同盟国ではなかったが、米国を介して秘密軍事情報を共有していたから、韓国とは準同盟国的関係にあったとはいえ、機密情報の提供には不安があった。

しかし、2016年11月にGSOMIAが締結され、日韓双方で直接やり取りすることが可能になったのだが、その情報量はどちらかと言えば日本側が提供する有様だった。

人工衛星さえ持たない韓国に、広範な情報を期待することはやはり無理だったのである。

既に我が国は「偵察衛星7機、日本海側に展開する観測所や航空機で、北朝鮮の電波情報を収集していたし、弾道ミサイル発射などの情報も入手している。

その上同盟国米軍とは密接に情報交換しているから、韓国の情報に頼らなくとも十分だったのだ。韓国は自分だけが情報を持っていると勘違いしてはいなかったのか?

つまり我が国は、政治主導と言う建前上、ご近所づきあいの一環として、付き合ってきただけだから、今回の“破棄”で身動きが取れなくなるのは文政権の方だろう。

きっと来年ごろには、韓国の“健全な愛国者たち”が泣きを入れてくるに違いないが、日本政府には「ノーサンキュウ」と拒否してほしいものだ。

韓国の何とも愛嬌のない外相は、日韓軍事情報共有協定の破棄は「米韓同盟とは無関係の問題」と述べ、「日本との信頼問題」を強調したが、こんな程度で一国の外相が務まるのだから羨ましい。マ、上に従っているだけだと思うが・・・

諸外国、とりわけ“同盟国・米国”の今回の件に対する反応を見るがよい。大半が「この動きは米韓同盟と無関係ではない」とし、「(協定破棄は)3カ国の国家安全保障を破壊したが、その中でも韓国が最大の損失を受けるだろう」と語っている。

国防総省報道官デーブ・イーストバーン氏は「軍事情報の共有は、共通の防衛ポリシーと戦略を開発するための鍵だ」と言ったし、米政府高官も語気を強めて「韓国政府の決定に強い懸念と失望を表明する」と声明を出したではないか。

米国にさえ、見捨てられかねないのに、どうせ聞く耳を持たないだろう。

ここまで韓国を突け上がらせた責任の一部は我が国にもある。今まで「泣く子と地頭には勝てない」とばかり、あまりにも『韓国のわがままを許して』来たのだから。

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© 時事通信 提供 韓国政府による日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄の決定について、記者団の取材に応じる岩屋毅防衛相=23日午前、防衛省

 

今回の問題で、我が防衛省も少しは目を覚ますがよかろう。

そしてやがて“自滅する”韓国抜きの安全保障体制を確立していってほしいと思う。