軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

盧溝橋事件に似た香港騒動

 PCのグレードアップも一応済んだが、転換速度は「月とすっぽん」ほどの違いを感じる。しかし今日は旧機材で書いている。アドレス帳等が使えないからである。

 

 ところで、70年目を迎えた10月1日の国慶節までには、香港騒動は終焉しているはずだったが、予想に反して益々高まりをみせていて、いよいよ中国共産党政権の終焉か?と思わせる。

 自由を望む香港市民をねじ伏せるべく、習近平主席も負けてはならじ!とばかりに、持てる武器をひけらかしたが、最後に武器で相手を脅かすのは弱い証拠である。

 北京の軍事パレード会場では、政治局常務委員らに囲まれた習近平主席は満足そうだったが、内心怯えていたのではないか?

その昔、“悪役”として一世を風靡した江沢民元主席も両脇を抱きかかえられながら登壇したし、歴代主席も老齢化は隠しようもなく“老害”のオンパレードだったが、何よりも人民の祭典なのに、天安門広場には招待客だけが集合していて、周囲のビル街は閑散とし、学校は休み。

いわば、人民を排除した、共産党幹部たちだけのお祭りなのだ。

パレードには最新兵器を並べ「アメリカと並んだ」などと虚勢を張っていたが、その軍隊の士気は低そうだ。とても米軍とは比較になるまい。

 

 一方香港では国慶節を「恥」として民主派は「共産党よ地獄へ落ちろ」の掛け声をあげて朝から数万人のデモ隊が市内を行進し、駆けつけた警官隊と激しく衝突、警官が銃撃した。

ところで民主派の行為を「暴徒」と決めつけているのは中国共産党系新聞だが、中には香港警察内と、デモ隊内の双方に大陸系の警官ややくざなどが潜入しているといい、香港に駐屯している人民解放軍は一万二千人に膨れあがっているという。

 しかしながら米国連邦議会は「香港人権民主法」の可決へ向けての審議に入ったから、軍事介入は想定しにくいと一般的には考えられている。

 

しかし、1937年7月7日夜12時10分、蘆溝橋付近にて夜間演習中であった清水中隊が、城内の支那(中国)軍第29軍37師所属部隊の射撃を受け、一時混乱状態を呈したことに端を発した“盧溝橋事件”を忘れてはなるまい。

 11日の午後8時に、29軍隷下の第38師団長・張自忠が署名した時点で、事件勃発以来まる4日間にわたる寺平大尉ら特務機関員の不眠不休の努力で、停戦協定が成立したが、協定成立後も中国側の妨害活動は頻々と発生した。その“手法”は今の香港にも適用されるのではないか?  当時の妨害活動を簡単に列記するとこうだ。

1.13日午前「中国軍による日本軍トラックの爆砕事件」

 これは菰岡砲兵中尉が指揮する天津砲兵連隊第2大隊の修理班のトラックを中国兵が爆破、日本兵4名が爆死した事件で、周参謀に詰問された中国側の営長が29軍に派遣されている笠井顧問に「部下が引き起こした不詳事件」だと認め、日本側に謝罪した。

2.14日午前1時頃「永定門外における正体不明の爆竹騒ぎ」

 憲兵が調査したところ、爆破された日本軍のトラックの周辺で、「便衣(民間人に成りすました)の中国人が7、8人で爆竹、土砲をドカドカ打ち上げていた」という住民の証言を得たが、10日後に、その便衣は「共産分子が策動し、日中両軍をもう一度衝突させようと企んで起こしたものだ」と判明した。

3.14日午後5時すぎ「日本軍騎兵二等兵惨殺事件」

 落鉄(蹄鉄が脱落すること)のため部隊から後落した大垣軍曹と近藤二等兵とが、南宛南方8キロ付近で中国兵に襲われ、近藤二等兵が惨殺された事件。

4.19~21日「八宝山の亡霊射撃」

 7日の発砲事件後、11日に停戦協定が成立したが、前項のようないろいろな事件が勃発して日中両軍の緊張が続き、事件の完全な解決を阻害した。このため、日中両軍が協議した結果、20日支那の宋29軍司令から37師団に対して、北京周辺からの撤退命令が下達された。この命令に示された撤退完了日は、37師団は21日、37師団撤退のための警戒を担当する石友三部隊(支那軍)は22日であった。

 ところが、19~21日の間、八宝山(盧溝橋の北方約5~6キロ)周辺で、日没後になると正体不明の銃声が聞こえ、日中両軍が互いに相手方が発砲したものと思い37師団の撤退が危ぶまれた。この原因を追究するため、相互に相手側に赴き、第三者が発砲していることが判明した事件。

その他、北京大学学生らが、爆竹を鳴らすなどして日本軍を煽ったことが判明したが、主な射撃は国民党軍内に潜伏していた共産軍兵士が、日中双方に射撃を加えたことにより、日中両軍が戦闘行為を再開したことによる。つまり、盧溝橋事件は、日本軍が共産軍の謀略にまんまと嵌って起きたのであった。

 香港民主派も、この手に乗って大陸からの“援軍”を導入してはならないと思う。そうなれば第2の天安門事件の再発になる。