軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

資料から:英霊の怒り

 今朝の産経の「談話室」に≪「特攻隊」に思いをはせて≫と題する高校生・鷲津明也(16)君の文が紹介されていた。

【「特攻隊」に対して現在の教育を受けた人の多くが否定的な印象を持っているだろう。「かわいそう一軍部が強要した」「犬死に…」と。私もそうだったが、その歴史に興味を持ち、教科書以外の書物を読んだら考えが変わった
 私たちが学校で習う第二次世界大戦に関する教育には戦後の連合国軍総司令部(GHQ)の情報操作の名残が少なからずあるうえ、私たちには自国が本当の危機に直面した経験がない。
 過去を顧み、惨禍を繰り返さないことは確かに大切だが、国を守るために力を尽くした方々を、平和の世に育った私たちがあわれんだり責めたりできるのか。
 多くの若者が家族と自分の夢に別れを告げ、涙をこらえて逝ったのだろう。
 「犬死に」と言うのは、彼らの覚悟を踏みにじる失礼極まりないことだ。戦争を肯定するわけではないが、過去の戦争の全てを自虐的にとらえるべきでもないと思う。
横浜市金沢区)31年1月21日産経 】



 偶々“終活”で整理している資料の「野口裕之の安全保障読本」の「英霊への待遇と仕打ち」と題する一文に同じような内容のものがあったので紹介しておきたい。これは平成24年(2012)年2月20日付の産経新聞記事である。


【英王室王子の結婚式(昨春)が羨ましかった。国家に殉じた戦士に畏敬の念を体現なされたからだ。
 英国の花嫁の多くは式後、参列した独身女性にブーケを投げ入れる。受け取った女性に次の結婚の番が回るとされる風習だ。
 王室では、式場でもあるウェストミンスター寺院に在る無名戦士の墓に捧げる。墓は第一次大戦の身元不明兵士一人が埋葬された後、全英軍戦死者を悼む場となった。エリザベス女王の母君=皇太后が1923年にご結婚された際、大戦で亡くなった兄君追悼のため、墓にブーケを手向けた事から王室の伝統として残った。


≪英王室のハリー王子と19日に結婚し、サセックス公爵夫人となったメガン妃は、王室の伝統にならい、花嫁の花束をウェストミンスター寺院の無名戦士の墓に届けた。2018年5月≫


≪結婚式のパレードで無名戦士の墓に敬礼するウイリアム王子とキャサリン妃(インターネットから)≫


 慰霊欠かさぬ諸外国 
普通の国」は英霊の慰霊を欠かさぬ。米国はアーリントン国立墓地、フランスでは凱旋門の無名戦士の墓、韓国でもソウル国立墓地に、大統領が詣でる。
 これに比し、わが国の英霊に対する仕打ちは無礼に過ぎる。
 野田佳彦首相はこう明言したにもかかわらず、参拝を封印した。
「靖國にはA級戦犯が合祀されているから首相は参拝してはならないという論理は破綻している」
サンフランシスコ講和条約や国会決議で全ての戦犯の名誉は法的に回復された」。
 これを変節と呼ぶ


≪当時の野田首相。ブルーバッジが白々しい(インターネットから)≫


 
 A級戦争犯罪は、侵略戦争遂行など「平和に対する罪」で裁かれた。しかし実行時には違法だった行為を、後の法律で刑事責任を問う「事後法」という近代刑法の禁じ手を使っており、不法性は明白。
 しかも、第二次大戦終結まで、戦争は国際法で容認されていた。従って、敗者は勝者に領土割譲し、賠償金を払い、講和条約を結び、一件落着と相成った。
 小欄は、大東亜戦争侵略戦争に非ずとの立場。「侵略戦争」という、日本で流通している誤解に反発してもいるからだ。国際法上の、侵略戦争「Aggressive War」は先制攻撃という開戦時の戦法を示した用語で、当初は負の要素のかけらもなかった。
 

「先制攻撃⇔戦争犯罪」なる構図の提案は44年の連合国戦争犯罪委員会が初。ドイツに国内のユダヤ人を収容所送りされたチェコスロバキア亡命政権か提案した。
 ただし、全先制攻撃が対象ではない。人種差別から他国民を大量虐殺し、文明破壊を謀ったドイツによるチェコボーランド戦に限り、国際法が認める戦争とは異なる「犯罪的戦争」だと位置付けたのだ。 
 背景には、この定義を活用すれば膨大な証拠集めを伴う裁判準備を避けられ、ナチスの犯罪を一括して大網にかけられるとのよみがあった。
 もっとも、大多数の国は支持しなかった。外交の最終手段=先制攻撃まで放棄する道理となるからだ。
 ところが、独敗北で強制収容所の実態が明らかになるや連合国側の心が動いた。
 斯くして45年、米英仏とソ連から成るロンドン会議で「先制攻撃は戦争犯罪で、平和に対する罪を構成する」との軍事法廷の骨組みが決まってしまった。
 ニュルンベルグ裁判では、この骨格にパリ不戦条約(28年成立)で薄汚い味付けをした。戦争に際し、国家が国際法に基づき犯罪として処罰可能な範疇を広げただけの不戦条約を持ち出したのだ。事後法ではないと強調する隠蔽工作だ。条約が先制攻撃を始めた国家にも権利がある、とも保障している点を無視したこじつけだった
 ニュルンベルグ裁判で死刑宣告されたナチスの戦争指導者らはこの「平和に対する罪=A級戦犯」と、大量虐殺など「人道に対する罪=C級戦犯」のダブルで処刊された。



 先制攻撃¬≠戦争犯罪 
 一方、東京裁判では本来、立件しやすい「人道に対する罪」は採用できなかった。
「五属協和」を掲げ、ユダヤ人を積極的に保護した国(日本)に適用できるはずもない。
その代わり、犯罪構成要件と成り得るかも怪しげな「平和に対する罪」だけで裁判を押し切った。
 
 ところで、戦争犯罪委員会において「先制攻撃⇔戦争犯罪」の構図に賛成したのは中国と豪州だけ。そういえば、常軌を逸した復讐劇・東京裁判強行の中心人物は、豪州人裁判長ウィリアム・ウェブであった。
 時は流れ昨秋、豪州人ドン・キブラー氏が天皇、皇后両陛下に拝謁した。氏は大東亜戦争中に起きた、日本人将兵による捕虜収容所脱走事件などにおける犠牲者を悼む墓地と、隣接の慰霊日本庭園創設を、私財を投じ奔走した親日家である。
 当然ながら、豪州人が全てウェブのように悪辣とは限らない。日本人全てが、野田首相のような変節漢だとは限らぬように。(平成24年(2012)年2月20日付産経新聞)】

≪英霊の怒りか?、次の選挙では政権を失った…(当時のインターネットから)≫


「談話室」に投稿した横浜の高校生:鷲津明也君に読んでもらいし、できればUチュウブなどで映画「プライド」を鑑賞してほしいと思う。

 戦勝国(と呼べるのはアメリカだけだと思うが)の「裁判と言う名のリンチ」の犠牲になった多くの英霊は、きっと今の日本の姿を見て嘆いて居られると思う。


 ちなみに2014年05月、訪英した安倍首相は寺院で「無名戦士の墓」に花輪をささげたが、政府筋は「欧州で広がる首相はナショナリストのイメージ払拭に繋がる」と解説した。



「かくばかり、醜き国となりたれば、捧げし人のただに惜しまる(戦争未亡人の読みし咏)」


靖国神社の大鳥居≫


大東亞戦争は昭和50年4月30日に終結した

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日本を守るには何が必要か

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