軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

資料から:ソ連報道

 昭和57(1982)年12月13日付のサンケイ新聞記事である。
 タイトルは「ソ連・90年に強力[機動部隊]」「初の本格原子力空母中心に(米海軍専門誌に全容)」「米なみ攻撃力装備」「バックファイアと連携」とある。

≪昭和57年12月13日のサンケイ新聞記事≫


【「ワシントン十二日=住田良能特派員」1990年に前後に出現が予測されるソ連の「空母機動部隊」は同国の海軍力増強の頂点をなすものとして西側軍事関係者の最大の関心事になっているが、米海軍の現役少佐が描いたその詳細未来図がこのほど明らかになった。
 それによると原子力推進の本格的空母を中心にしたソ連空母機動部隊は、防御体制に弱点はあるものの、極めて強力な攻撃能力と火力を備え、多様な軍事的・政治的目的を遂行するために使用されるだろうと言う。
 この少佐は現在海軍大学院で、作戦立案・情報分析を担当しているT・J・マッカーニー氏で、米国で最も権威のある海軍専門誌「プロシーディングス」(米海軍協会報)12月号に、ソ連空母機動部隊の全容を予測する論文を発表した。】


次は昭和57(1982)年9月15日付サンケイの「特報‘82」である。
タイトルは「たるみ目立つソ連軍」「緊張緩和で厭戦ムード」「多い横領やカラ演習」「上層部は規律保持に必死」とある。

≪昭和57年9月15日のサンケイ新聞


レニングラードスターリングラードの包囲に耐え抜いて、ナチ・ドイツ軍をはね返したソ連軍兵士は「十フィート(約3m)のスーパーマン」の異名を持つ精鋭だ。ところが最近のソ連軍はいささか変調で、軍祀のゆるみ、腐敗の情報がしきりに洩れてくる。原囚はどうやら、三十七年も続いた平和と過去十数年にわたってソ連が推進してきた緊張緩和外交にあるらしい。
 西側がデタントに酔いしれている間に、ソ連はせっせと、世界最強の軍備を作り上げた。しかし、西側のデタントームードがブーメランのようにソ連に舞い戻り、若い兵士たちの緊張のタガをゆるめてしまった、というわけだ。仏作って魂入れず、だったのだろうか。≪沢英武編集委員≫】


 昭和50年7月、私は外務省軍縮室に出向し、米ソの核戦力、ソ連のSALTなどについて情報取集していたが、昭和52年、ジュネーブ軍縮委員会春会期を終わって帰国する途中、東ベルリンとモスクワを見学する機会があった。
市内各所を見て回って感じたのは、わが国のメディアでは一切報じられていない国民の疲弊感と、極端な物資不足の実態であった。
ソ連は間もなく崩壊する”!」と言うのが第一印象だったから、昭和58年に防衛研究所に入所し、「1995〜2000年のわが国防衛力整備の在り方」と言う課題をもらい、私は「ソ連の軍事力予測」を担当させられた。

 しかし、この時の印象があまりにも強かったので、どう分析してもソ連は崩壊するとの結論しか得られなかった。
しかしそれでは課題が進まない。班長から「見直せ!」と厳命され、心にもない見積もりを提出したことがあった。

丁度この記事にある昭和58年当時である。

 前段の記事の米海軍少佐が、どんな立場の人間かは知らなかったが、多分防衛産業と通じているのだろう、と感じた。

 次の記事の沢英武編集委員の分析は関心を持っていたから、私が目撃したモスクワ市内の“惨状”は、とうとう軍にまで及んだか!と感無量だったことを覚えている。

 ソ連に替わってアジアに進出している中国は、空母機動艦隊を5個造成すると意気盛んだが、私にはソ連の轍を踏むような気がしてならない。

≪試験航海に出た当時の『遼寧号』:再びスクラップか?≫


だからと言って、占領軍に強制された“新憲法”のまま、専守防衛だといきがっているわが国が、このまま安全にすごせるという保証はない。

政治家も評論家も、ほんの少し前にこんなことがあったことを思い返してみてほしい。それとも「歴史なんぞこんなものさ」と無視するのか?

この当時、みんなは何をしていたのだろうか?と気掛りである。

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