昭和48年10月5日付読売新聞に、当時の田中首相訪ソに関する記事が出ている。
≪昭和48(1973)年10月5日付の読売新聞≫
「モスクワ市民“日本”を語る」「座談会=日露戦争経験者から小学生まで」「平和条約、早くほしい」「田中訪ソきっと転換点に」
「小説や映画を通じ強い印象」「エキゾチックな史跡や建築」「領土問題、日本が問題点除け」『大変ね、郊外退治』「過密東京、北海道へ移住したら」『すてきな日本商品』「敬老精神など大いに見習え」
などと言う見出しが躍っているが、あれから何年経ったのだろう?
確かにその後、ソ連は崩壊して「ロシア」が誕生したのだが、その前にバルト3国の対ソ連反抗、東ヨーロッパの不穏な情勢等で、ソ連が手一杯で北方領土問題などに構っておられなかった1980年代、わが政府は欧州と連携して、樺太を含むアジアの未解決領土問題を持ち出し、返還のために対ソ“強硬策”を取り得たはずであった。
ロシアは伝統的に「東西からの挟み撃ち」を嫌う国だが、そんな戦略的思考が日本政府にはなかった…。
これは当時の読売新聞の≪リード≫部分である。
【いよいよ数日後に迫った田中首相の訪ソを前に、ソ連の一般市民は、何を考え、何を期待しているのだろうか。永年の日露、日ソ、交渉史の中で、ソ連国民の対日観も微妙に揺れ動いてきたはずだが、すでに国交回復後十七年、日ソ関係は着実な進展をみて、ソ連国民も新しい日本像を作り上げつつある。そこで、この機会に、日露戦争を記憶しているという元空軍大佐のゲオルギー・ズナメンスキー氏(78)から、小学校(特別中学校)四年生のバーシャ君(10)まで、各世代を代表する六人の市民に、モスクワ支局に集まってもらい、それぞれの日本観や田中訪ソへの期待などを話し合ってもらった。この座談会で、特に?ソ連市民の日本像がかなり正確に近く、また好意的であること?北方領土問題については、もちろん、ソ連の立場からながら、問題の存在を知っているが、とにかく平和条約の早期調印を望んでいること、?田中訪ソに強い期待を抱いていること――などがうかがわれた】
そして次はこの記事の裏面にある『首相、訪ソへ明日最終態度』「北方領4島返還せねば」「平和条約結ばぬ決意」「外務省課長加え協議」と言うタイトルの記事の≪リード≫部分だ。
【田中首相は、西ドイツ首脳との公式会談を終えた後、七日夕、モスクワ入りするが、四日までの日ソ両国政府の予備折衝で、日ソ首脳会談の議題及び北方領土を除く、諸問題の解決の方向がほぼ決まった。
このため首相は、六日(現地時間)フランクフルトで大平外相ら外務省幹部と日ソ首脳会談について協議し、訪ソに臨む最終態度を決める。外務省は四日夜、これまでソ連側との予備折衝に当たってきた新井東欧一課長を、西ドイツに派遣、首相らの協議に参加させることになった。同課長は、これまでの予備折衝で固まったシベリア開発、安全操業、各種実務協定など日ソ二国間問題に対する政府の方針を報告、了承を求める】
何時ものことだが、わが国政府は、メディアにサービスして、事前に交渉内容を記事にさせるから、相手のロシア側は楽なものだ。只でさえもスパイから重要情報は得ているのだから、それを補強するだけでいいからだ。
だから、その同じ面に「ソ連監視船の接近で緊張」「衆院委一行、北方領を洋上視察」と写真入りで次のような記事がある事も理解できる。
【北方領土視察で根室を訪れているいろ衆議院沖縄・北方問題特別委員会の浅井美幸委員長(公明)ら一行五人は、四日午前九時から約四時間半にわたって、根室海上保安部の巡視船「くなしり」に乗り、国境の海を洋上視察した。
木村同保安部長らの案内で、「くなしリ」はノサップ岬沖に直行、この後国後島西岸に沿って北上した。ケラムイ岬付近に来ると、同烏海岸に並んだソ連監視塔や兵舎が見え、一行は双眼鏡や望遠鏡で食い入るように見つめていた。
午前11時半ごろ、三角海域の水平線上にソ連監視船が姿をあらわし、接近してきたため一瞬緊張したが、巡視船と知って間もなく遠ざかった。ここが日本ウニ漁船の操業場所と説明され、各委員は「これではいっべんに捕獲されてしまう」と国境の海の厳しさに改めて驚いていた。】
何をいまさら・・・軍事的素養に欠ける衆院議員らが、保安庁の巡視船で『クルーズ』したところで、脅されて引っ込むのが関の山、勿論その及び腰の情報はモスクワに届けられて、会議に利用される。
外交交渉は外務省の専門部門だと思っているわが国は歯が立つまい。
そして協議に連携した“威嚇射撃”までソ連は実施する。国際紛争解決のために軍事力を使うのが国家と言うものだ。
≪昭和48年3月23日・4月30日の読売記事≫
≪ソ連が「レポ船」と絶縁≫11月3日サンケイ
国家が何もしてくれない漁民は、生きるためには“愛国心”も捨てさせられる。東北飢饉では、農民が娘を売った…背に腹は代えられないからである。
国民を苦しめる政治家には、消えてもらうほかはなかろう…。
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届きたての“ほやほや”である。ドイツ空軍のFw190の有志が素晴らしい!現存している機体らしいが、わが国でもゼロ戦などを組み立てている“有志”がいると言う。
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