軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

日本人は「世界一の楽園」に住んでいるか?

知人から送られてきた新著「私が日本に住み続ける15の理由:ケントギルバード著:白秋社刊¥1400+税)に頷きながら目を通していた。

日本の美点に気づかないのが肝心の日本人自身だ!と家内と話していたのだが、徐々に“様相”が変わってきた。「待てよ?本当にそうか?」という疑問が起き始めたのである。

原因は、今話題の“コロナ騒ぎ”が急展開し始め、首相自ら全国の学校を休校にすると宣言したのである。驚いたのは国民だろう。

 

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子供を休ませれば感染が防げると思ったのが安易な判断だと言えた。

 

今や我が国伝統の「国体」は破壊され、核家族化、女性の社会進出、などという政府の掛け声に踊らされた“専属主婦”が“出稼ぎ労働者”として社会に進出しほどほどの成果を上げてはいるものの、家庭教育は破壊され、肝心要の親子の絆も極端に薄くなっていたのだから、急に若い親は年取った老両親に一時預けて出稼ぎを続けるのだという。

こんな悲劇を招いた切っ掛けは、財務官僚の‟陰謀”によって昨年消費税を値上げしたものの、その成果が“意外に芳しくなかったこと”が判明しつつあったが、次に春節で爆買いに来る支那の観光客が穴埋めしてくれることに期待し、続いて東京五輪のフィーバーで穴埋めを図っていたのだろう?と素人目には見ていたが、突然起きた「コロナ騒ぎ」でその希望は取らぬ狸の・・になりつつあり、五輪も風前の灯火となりかねない窮地に陥った。

 

昔の日本人であれば「お国のためだ。欲しがりません勝つまでは!」の精神的支えで辛抱が期待できたであろうが、戦後は全く異次元の世界。第一、総理以下閣僚は誰一人として「大東亜戦争」を体験していないから、そんな発想はみじんも感じられない。おまけに「稼ぎが第一」という現代資本主義の甘い汁にどっぷりとつかった大企業経営者たちは、社員のことよりも己の保身と利益の隠匿に努めて、現場で汗水を垂らしている社員の懐は全く無視してきた。

 

そんな“国体”ならぬ“酷体”のありさまが、今回この国に大きく浮上してきた。

しかし、核家族の減少や、主婦が子育てに専念できるような環境づくりに方針を転換して、一大ピンチをチャンスに変える手腕を見せてほしいものだが、期待できそうにない。

老兵の見たところ、この現象の裏には目に見えない何らかの作用が起きているのであり、その一つとして靖国の英霊の怒りが見えてくる。

 

お国のためにと勇んで戦地へ出征したにもかかわらず、戦後の歴代首相は誠心誠意靖国を参拝することを忌避し、今回はあろうことか「旧敵国主席」を国賓として招待するという一大ミスを実行しようとした。我々は”犬死”だったのか!と叫ぶ英霊の声が聞こえる気がする。

だからこのような想像を絶する事態が起きるのは当然だったといえる。

もとよりこの菌の発生源である支那大陸はより以上の惨害を被り、あるいは体制が亡びるやもしれない。勿論自由主義諸国にとってそれは大歓迎だが、それを快く思わないのは、WHOの理事長と「日本の要所に潜んでいる“親中派”の面々だろう。

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産経新聞2月27日

そう思っていたら、インターネットで活動している仲間から、ワシントン・ポスト紙の22日付のジェフリー・キングストン教授による記事が届いた。

聞くと教授は日本在住で、テンプル大学の日本校で歴史学を担当する日本とアジアの歴史が専門。以前はジャパンタイムズ紙にコラムを連載していた方だという。

記事には【日本の官僚はいくつかの点で優れているが、危機管理はそれらの1つではないようだ。ダイヤモンド・プリンセス号に乗っていた日本人男女を含め、世界中で2,000人以上の命を奪った新型コロナウイルスに対して、日本政府は、1995年の神戸、2011年の福島と同様に、緊急時の適切な対策を行なわなかった。1995年に大地震が神戸を襲った時、日本政府は緊急時の規制の緩和を拒否したため、スイスの捜索救助犬は被災者を救うことができなかったし、避難者に援助しようとしたボランティアも当局によって締め出された。日本政府が行動する前に、ヤクザでさえ避難者のために炊き出しをしていたと言うのに】と辛らつに批判している。

たまたま村山政権や、民主党政権という史上最低の内閣が支配していて時期だったが、キングストン教授は【福島第1原発事故の対応については、国会の福島原発事故調査委員会の黒川清委員長の当事の言葉を引用して「日本の官僚システムは、公共の安全を守るという最優先されるべき義務よりも、組織の利益を優先するように作られている。この官僚主義原発事故を人災にしてしまった」とし、阪神淡路大震災の時の村山連立体制、東日本大震災時の菅直人政権だったことにもよく精通しているから、教授は単に安倍政権だけを批判しているのではなく、古くから日本を牛耳って来た官僚主義を批判した上で、【人事を盾にして、その官僚をも骨抜きにし、自分の独裁的な政権を作り上げた安倍首相を批判しているのだ】という。

そして今回の安倍政権については【新型コロナウイルスリスクを正しく認識するのに時間が掛かり過ぎたがその理由は2つある。1つは中国の習近平国家主席の訪日が迫っていること、もう1つは現在の日本が置かれている不況の深化である。中国からの行楽客に扉を閉ざしてしまうと、習近平国家主席の訪日にも影響を及ぼすし、多くの原材料や部品を中国に頼っている日本のサプライチェーン(供給連鎖)にも影響を及ぼすため、中国の顔色をうかがい続ける安倍首相は、判断が大幅に遅れてしまったのだ】と批判し、【完全に扉を(入国禁止)閉ざさなくてはいけない状況になった今でも、まだ日本は扉を半分ほど開けている】と警告し、【多くの政治的スキャンダルを抱えている安倍首相にとって、今回の対応の失敗はとても厄介な問題になってしまった。国民の健康被害の問題より、政治的な問題や経済的な問題を優先した安倍首相の対応について、日本人は疑問を呈し始めた。そして、2019年の消費増税中国経済の低迷によって、すでに揺れ動いていた日本経済は、今回のダイアモンド・プリンセス号の対応の失敗によって国際メディアから容赦なく批判され、日本の観光ビジネスにも大きく影響を及ぼし始めた】と断じている。物には”賞味期限”があるから、いずれは…と思っていたが。

 

米国人の教授には「靖国の怒り」は通じないだろうが、老兵の私にはこれこそが原因だと断ぜざるを得ない。すべてのことの発端は「首相は靖国に参拝すべき」とアピールしていた官房長官時代の言葉に起因する。すべては「空言」だったからだ。英霊を侮辱するにもほどがあろう。

 

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ケント・ギルバード氏は、「日本に住み続ける15の理由」をこう書いている。改めて見直してみると、まだまだ日本は捨てたものじゃないか?と思えなくもないが、しかしこと、政治家レベルになるとほとんどこれらの理由につながっていない気がする。そのギャップについてギルバート氏の意見が聞きたいものである。

 

届いた書籍のご紹介

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WiLL 4月号

これも今月は「コロナ」特集である。「空自の空飛ぶ集中治療室をなぜ使わない」は、元支援集団司令官だった織田邦夫君の一文だが、自衛隊機を拒否する習近平とトップ会談で解決すべき責務が首相にあるという説には全く同感である。こんな器材が空自にあることを知らなかったのじゃないか?と疑う。それともハナから拒否されることを織り込み済みだったのかもしれない。

平成8年10月、当時私は沖縄勤務だったが、尖閣にヘリコプターで侵入して、島の標識などを破壊する!と気巻いた国民党空軍OBらの計画を知り、断固阻止するため、連日島の上空をE-2CとF-4に厳重警戒させたとき、時の橋本総理から「武器は使うな」と言明されたことを思いだす。歴代総理は一朝有事の際には全く”逆の命令”を出す、つまり敵に通じているのか!と愕然としたのである。

安倍総理だけは違っている?と思いたかったが…