軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

米軍「陰謀説」を口走った中国政府

3月7日のこの欄に「武漢で発生して各地に拡散した今回の新型コロナウイルスについても、当初情報を隠蔽して、WHO事務局長までも抱き込んで味方させたが、今やその責任逃れに転換しつつある。これが中国共産党の手法なのである」と書き、大紀元日本が「武漢肺炎はどこから? 責任論をうやむやにして日本を抱き込む中国共産党の思惑・・・中国外務省の趙立堅報道官も「発生源が中国とは限らない」「世界に謝罪する必要はない」と発言したことを紹介し、同時に中国のSNSでは、米国政府がウイルスを中国に持ち込んだという「陰謀論が多数書き込まれていて、共産党政権が反撃に転じようとしていることも紹介した。

そして何清漣氏が中国の世論操作には「4つのステップ」、つまり「①災難を感動の祭典にすり替える。ウイルスは米国に由来するといった陰謀論を広める。③中国はまたもや勝利を収めた(これは現在進行形)、④中国は世界を救ったこれはまもなく登場するだろう」と”予言”したとも書いたが、それは虚構である「南京大虐殺」を我が国に押し付けた手法からも自明であった。

そして何清漣氏の予言通り「中国は”世界を救う大国”アピールを始め」「中国は世界の救世主だ」と称して他国への支援を強化し始めたという記事が出た。

3月12日、上海からイタリアに向け四川省の大学と中国赤十字の専門家チームが出発した。感染の急拡大で医療崩壊も起きているイタリアを支援するためだ。中国メディアは、「物資を運搬した中国の航空会社にも『一帯一路の絆は、さらに強くなった。ありがとう』など中国への感謝の声があふれている!」と伝える。

イタリアはG7で唯一中国の巨大経済圏構想の一帯一路に参加し中国との交流が拡大していて、それが感染拡大の一因ともみられるが、中国政府はマスクなど医療物資の援助も表明している。また中国はイランやイラクにも専門家を送り、日本や韓国にも物資を送っていると強調する。

ネット上には「中国は世界の救世主だ」と自信に満ちた声があがる。

「中国が全力で感染対策している時に他国は批判ばかりしていた。私達は正しいと証明した。彼らは今後、自らの無知の犠牲を払う」

「中国人の99%がしたように何日も外出しなければあなたたちも勝利できる」

「世界は私達から学ぶべき」

などの声もある。

WHO=世界保健機関が「感染の中心はヨーロッパに移った」と表明したこともあり、中国は、“世界を救う中国”のイメージ形成に向けて、支援を拡大していきそうだ】

予言どおり「中国の世論操作」が始まったのである。そのお先棒を担いでいるのがWHO事務局長だが、なぜか世界はWHOの指示に従っている様に見えるから不思議である。

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しかし支那人気質は「平気でうそをつく」ことだから、「国連は、中国の困難の中にある国への援助に感謝し、今後も様々な領域で協力していきたい。中国には今後も世界でリーダーシップを発揮してほしい」と伝えたグテーレス氏のように、ころりとだまされる、いわば“凡人”ならぬ“才能ナシ”人間が出てくるだろう。

そして中共政府は人民に対して「米軍がウイルスを持ち込んだ」と米軍に責任転嫁しているが、昨年暮れに「中国領の武漢で発生した事はゆるぎない事実なのだから」いかにも苦しい言い逃れである。恐らく武漢市民でさえも信じないだろう。情報統制下にある北京や上海市民は、信じるかもしれないが。

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そこでますます中国による「細菌(生物)戦争」説が浮上してくる。つまり中国が得意とする「超限戦」の準備中に、何らかのミスで菌が流出して一気に蔓延したのだろうが、武漢市から脱出できずに罹災した市民を、ことごとく‟始末”したのではないか?まるで‟天安門広場虐殺事件”を隠蔽したように。

新設された“病院”で働いていたのは、軍人たちであったことは訪問した習主席に一斉に防護服を着たまま挙手の敬礼をしたことからも明らかである。

しかし武漢市内には再発しているという情報がある。3月12日の大紀元日本は次のように伝えている。

武漢で発生した新型肺炎について、武漢市の医師の家族が3月9日、市内漢陽のいくつかの集合住宅で再び集団感染が発生していると主張している。この市民は、大紀元メディアグループ・衛星放送の新唐人テレビの取材に応じ、中国国内メディアはこの再流行を報じていないと訴えている。

「昨日も一昨日も、漢陽のいくつかの団地で大規模な流行が起きている。これは、退院した人から再び感染が広がっているためだ」。この匿名希望の市民によると、再流行の発生した3つの団地は封鎖されていた。

中国共産党機関紙は、武漢肺炎に対応するための臨時病院は、3月10日に全て閉鎖したと報じた。この市民は、退院した患者たちが治癒したかどうか全く分からないと述べた。

「私の知る限りでは、退院した患者の多くは、治癒を宣言された患者だ。しかし、武漢の病院の退院者でも、隔離された臨時病院の退院者でも、再発した。ふたたび多くの人に感染している」と述べた(中略)。

武漢市民の張毅さんは10日、心臓病で入院する母親に伴って病院に行った。現在、全ての入院患者と同伴者は新型肺炎への感染について検査を受けなければならない。その際、「たまたま陽性の検査レポートを手にした患者を見た」と張さんは米VOAの取材に述べた。病院の関係者から新たな感染患者が毎日いると告げられた。「しかも症状はなく、他の病気で受診しに来たら、検査で感染が確認された」

張さんは、臨時病院から退院した患者は本当に治ったかどうか、非常に懐疑的だと話した】

恐らく再発した患者は隠蔽されるか、病名を改ざんされるかだろう。

自由民主主義国は、共産専制主義国の「公式発表」を信じてはならない。すべて党に都合の良い情報しか出さないからだ。なぜならば、党に対する批判が起きれば、ひとたまりもなく体制が崩壊するからだ。

だから自分に都合の悪い情報は徹底的に隠ぺいし、ありもしない情報を誇大に宣伝する。日中戦争でも、そのお先棒を担いだのはエドガースノー始め‟外人”だったことを忘れてはなるまい。日本人もゾルゲに騙されたが“外国人”には弱いところがある。‟政界とメディア界に住む「親中派」もその類だろう。

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ところで北京政府が急に「米軍陰謀説」を流しだしたのは、自分らがやろうと思っていた事だから、相手も当然とするごく“自然な発想”から出てきたのだろうから、やはり「超限戦」を計画しているのだと見た方が良い。

私は、靖国会館などの講演会では「間接侵略」と呼んでこれに注意を喚起してきたのだが、誰も気にも留めてはくれなかった。もっとも、当時の首相には「ハニートラップ」に引っかかって、子供まで作っていた人がいたのだから、虚しい叫びだったが…

この半年は多事多難な時期、各々方油断メサるな!