軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

官と”取材記者”の癒着?とは、なんとも情けない…

黒川検事長の「かけマージャン報道」には落胆した。定年延長をめぐる渦中の一人であり、本人が関わっている以上”絶対に油断してはならない”時期であった。
にもかかわらず、なじみの記者たちと”慣れ親しんだ賭けマージャン”に現を抜かすとは言語道断、弁解の余地はない。
豪放磊落な性格?で人気があったとか言われているが、役職上、理由にならない。法の番人は厳正かつ誠実であるべきだからだ。
有罪無罪を問わず、こんな”ふしだらな”検事に裁かれるのではたまったものじゃない。
今朝の産経は一面トップでこの”事件”を報道し、かつ「お詫び記事」を掲載したが当然である。中には「従軍慰安婦問題」や「百人斬り訴訟」など、明らかな誤報に関しても口を閉ざして訂正しない新聞社もあるから、その点では誠意?を認めるが、お詫び記事から浮かび上がってくる取材の実態に一般読者はあきれたのではないか?

f:id:satoumamoru:20200522143723j:plain

「数年前から(都内の記者の自宅などで1か月に数回のペースで)取材対象者と賭けマージャンを続けていた」とあり、それも「緊急事態宣言が出されていた」中でのことである。国民はみな(一部は除くが?)政府の外出自粛要請に従い不自由な生活を強いられている中であり、それを”善導する”立場にあるべきメディア関係者がこのざまだ。一体自分を何様だと思っているのか!
報道に必要な情報を入手するために取材対象者に肉薄することは」重要な活動だと弁護しているが、”肉薄”が聞いてあきれる。

私も昔広報を担当したが、一部には記者クラブで真昼間からカーテンで仕切ってコソコソとやっている者がいた。記者同士だったから”肉薄取材”は不要だろう。単なるマージャン中毒者だ。中には少しは自責の念が感じられる者もいたが、掛け金はわずかだとは言え”賭博”であることに変わりないだろう。そんな連中が書く記事は読む気がしなかった。

当事者が「気は咎めたが取材を続けたい気持ちが強くて中止を言い出せなかった」と弁解しているが、読者に真相を伝えようというよりも、特ダネ記事をものにして”出世したかったから”ではないか? 当時もそんな記者が多かった。

産経は「記事化した内容以外のことは、取材源秘匿の原則」があるので一切公表できないというが「取材源秘匿」と「報道の自由」はどう関係するのか

まさに「ああ言えばこう言う」の典型じゃないか!
これじゃ不正確な記事を書かれた方、読まされる方はたまったものじゃない!。

その昔、御巣鷹山日航機が墜落して520人の犠牲者が出た時、夏季休暇に入ったばかりであったにもかかわらず、自衛隊は非常呼集をかけて取るものもとりあえず捜索救助に現場に向かった。ところが生存者がいたと分かるや記事内容は一変して「自衛隊の出動が遅かった」とか「現場特定がお粗末だった」などと、いわれなき非難が”蔓延”した。私は立場上これに対して「官姓名入りで反論した」が、とたんに某新聞編集委員が怒鳴り込んできて「飛ばしてやる!」と罵詈雑言を浴びせられた経験がある。

今回の検事長の定年延長問題はさておき「賭けマージャン」報道から、御巣鷹山事故で当時の記者たちの逸脱した”取材報道”に辟易した記憶が鮮明によみがえる。

f:id:satoumamoru:20200522174630p:plain

f:id:satoumamoru:20200522172122p:plain

大反響があった当時の「月曜評論」紙

 

こと、自衛隊関連記事には裏を取らない誤報の実例が枚挙にいとまがないが、つい最近ではこんなことがあったことを読者はご記憶だろう。

デイリースポーツ紙(4月29日)にテレビ朝日の「モーニングショウ―」に出演しているコメンテーターの玉川氏が「東京都の感染者数について、誤報した」という記事である。
玉川氏は「月曜日の都内の感染者数、39名、全てが民間の検査機関によるものだというふうに私はお伝えしました。さらに、土日に関して、行政の検査機関は休んでいたというふうにお伝えしました。しかし、正しくは、その39名の中に行政機関の検査によるものが、多数含まれていたことが分かりました。そして、土日に関しても行政の検査機関は休んでいなかったというふうなことも分かりました」。
そして「私たちテレビ朝日の記者が都庁でのレクチャーを取材し、メモを作成していますそのメモを番組内で解釈する時に、その解釈を間違ってしまいました。その間違った解釈、そのまま私がコメントをしてしまったというふうなことでこのような間違いが起きてしまいました」と理由を説明、そのうえで「コメントの全ての責任は私にあります。私がコメントの内容を全て考え、話しているわけですが、その中身は、私が再度確認をして正確性を保たなければならない立場であるにもかかわらず、その責務を果たさず、このようなことになってしまいました。このことにより、土日も働いてらっしゃる都庁関係者の皆さま、保健所の皆さま、そして検査機関の皆さま、検体を採取する医療関係者の皆さま、全てに多大なるご迷惑をおかけしてしまいました。本当に済みませんでした」と頭を下げたという。

しかし、常々政府の上げ足を取り「医療関係者」を持ち上げている割には、誠意がこもっていない。ワイドショウとは実にいい加減なデータをもとに発言しているという実態がよくわかる事例だといえる。
彼らには、ご近所さんの立ち話ではなく、全国に拡散する情報を発信しているテレビの責任者であるという自覚がない。


御巣鷹山事故の時もそうだった。勿論関係する高位高官は憤慨していたものだが、誰一人としてそれを正そうとする勇気はなかった。
だから”煽てられ?”た1等空佐の私が反論したのであったが、その後は記者の手引きで、社会党議員が国会で質問、言外に私の「更迭」を示唆した。「モノ言えば唇寒し!」の実体験を経験したのは私の方が先になる(笑い)

f:id:satoumamoru:20200522172851p:plain

国会議事録=記者の手引きで自衛官の「口封じ」をする静岡出身議員

 

日本の産官学の癒着の実態はよく話題になるが、今回明らかになったように、情報源と取材者との癒着ほど陰湿なものはなかろう。
一度”誤報”が世に出てしまえば、官側は「身を引かざるを得なくなる」がそれは身内までもがそう仕掛けてくるからだ。

そして今回もそうなったが、私が信じて購入し続けている只1紙の産経新聞であったことが情けない。上層部の部下指導がどうなっているのか、気がかりである。唯一信頼している新聞なのだから……