軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

コロナ禍後のステージ【新たな日常をつくり上げる】とは?

緊急事態解除宣言で安倍首相は「次なるステージへ力強い一歩を踏み出す。目指すは新たな日常をつくり上げることだ」と述べ、感染防止策を講じつつ社会経済活動を段階的に本格化させるよう国民に呼び掛けた。

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記者会見する安倍首相

国賓東京五輪”問題で迷い、初動対処は遅れたものの専門家会議を立ち上げて対処したことが功を奏したのか、世界の武漢ウイルス被害国の中で日本は、桁違いの損害で済みそうだから、今まで中傷してきたWHOはじめ諸外国から逆に”注目”されているという。

トランプ大統領が「フェイクニュースを信じない!」のは、ムードに影響されたメディアの「論調」なんぞ無責任極まりないからだが、我が国のメディアはなぜか外国の論調に依存してはばからない。それだけ自分の論調に自信が持てないのだろう。
第2、第3の感染蔓延があるのかどうか知らないが、「人工」ウイルスだから用心するに越したことはない。

 

ところで、この騒ぎから我が国民が学んだものは何だったろうか?
教育水準が高いわが国民のことだから、おそらく「一過性」の問題として見過ごすことはなかろうが、自粛、巣ごもりの貴重な「反省時間」から得られた教訓を活用することを望みたい。

専門家会議は「今後の基本対策として、人との間隔は最低1メートル、可能なら2メートル空ける。・・・症状がなくてもマスクを着用し、帰宅後は手や顔を洗う。密閉、密集、密接の「3密」の回避は当然。食事は持ち帰りや出前を活用し、大皿でのシェアは避け、…テレワークや時差出勤の推進に加え、会議や名刺交換をオンラインで行うこと」などを今後とも継続するように推奨していて、「風邪症状がある際は外出せずに自宅で休む」などという助言は今回得た教訓からではなく、昔から「人様に迷惑をかけない」作法として我が国には根付いていた。表現は異なっているが、昔からの日本の風習を思い出すこと、礼儀作法を見直すことを推奨している様に思える。つまり今までは「お行儀」が悪かったのだ!

そこで安倍首相がいう「次なるステージへ力強い一歩を踏み出す。目指すは新たな日常をつくり上げることだ」と述べた意図は、事コロナ対策に限らず、今まで「グローバル化」「高度経済成長」などという言葉に踊らされてきた「虚業」から「実業」へと方針転換すべきと言っていると私は思いたい。

とにかく難癖をつけて、若いプロレスラーを自殺に追い込んだ嫌がらせの例に似て、「いじめることが目的」だとしか見えない野党議員には理解できないだろうが・・・
「目指すこと」の第1には今回判明したように「憲法」の呪縛からの解放があろう。さらに国会議員は多すぎて役に立たないこと、役所の「前例主義」が大きな阻害要因であることも国民の目に判然とした。これらの不具合箇所は、可能な限り速やかに修正されるべきである。

 

ところで、「手っ取り早い金儲け」に目がくらんで、人間の生活になくてはならない基本的な生き方を思い出した人もいるようだ。つまり、命の糧の大切さ、である

以前、雑誌「ダイヤモンド」に、【編集部」の試算によると、全国にある600JAの「4分の1」に相当する153JAが赤字に沈む衝撃的な実態が明らかになりました。マイナス金利政策の影響による金融事業の収益悪化のためです。農協の本分である農家支援をおろそかにして金融事業に依存する農協には未来はありません。一方、農業に商機を見いだしたトヨタ自動車三菱商事などは有力農家を囲い込み始めています】として、【消える農協と攻める企業──主役交代が進む農業激変の現場をレポート】した記事があった。
ところが、今月26日の同じ「ダイヤモンド」によると、農学部を新設する大学が増加しており、「今どきの学生から人気を集める理由 】が次のようにレポートされている。
 【2019年6月時点で、「農学部(群)」との名称の学部を持つ大学は全国に33校。そのうち、25校が国公立で、残りの8校が私立である。
 農学部群となっているのは、必ずしも農学部という名称ではなく、「生物資源学部」「応用生命科学部」「生命環境学部」「地域環境科学部」「国際食料情報学部」「環境園芸学部」などがあるからだ。

学科でも、「バイオサイエンス学科」「食料生命環境学科」「農業経済学科」「園芸学科」「デザイン農学科」「地域生態システム学科」などがあり、多種多様なのだ。
 実はここ10年近く、4年制大学農学部群の新設ラッシュが続いており、国立では山梨大学(12年生命環境学部)、徳島大学(16年生物資源産業学部)、福島大学(19年食農学類)が新たに農学部群を設置した。
 私立では15年、京都府龍谷大学が私立大学として35年ぶりの農学部を新設。20年4月には、摂南大学大阪府初の農学部を開設するなど、特に関西方面で顕著だ。(略)
 さらには、学部・学科の新設だけにとどまらず、18年には、東京農業大学以来93年ぶりの農業単科大学である、私立の新潟食料農業大学が新たに設立されている。
 なぜここにきて、大学の農学系学部・学科の新設が相次いでいるのだろうか。農業ジャーナリストの山田優氏はこう指摘する。

「一番大きいのは、若い世代の中で農学に対する偏見が薄れてきたからです。少し前までは農学といえば、『時代遅れの産業』という固定観念がつきまとっていました。しかし、実は一般に想像しやすい栽培法や加工法を研究する生産農学だけでなく、畜産学、獣医学、水産学、森林学、農業工学、農芸化学、農業経済学など、7つの基本分野に分けられ、私たちの社会が直面する課題に幅広い視点で取り組めます。そのためイメージが徐々に変化し始め、農学部人気につながっているのではないでしょうか
 ほかにも若者を中心に、田舎への移住者や田舎での生活に憧れを持つ人が農学に興味を示す傾向もある。たとえば、14年の内閣府調査では、20代男性で農村での生活意欲が高いことが示されている。

文部科学省の統計でも、農業系で学ぶ学生数は、03年では6万9447人だったのが、18年には7万6930人と増加傾向にある。
 しかし、農学部人気で注目すべきなのは、実は女子学生が多い点にある。文科省の調べでは、農学系で学ぶ女子学生比率は45%と半数に迫り、特に食品関係や獣医学では、女性比率はさらに高い
 農学系学部・学科が人気の理由について、就職に強い点も大きいと、山田氏は言う。
昔は安泰だった銀行業界や公務員なども将来が危ういといわれる時代になり、たとえば景気に左右されにくい食品業界への就職には、農学系学部卒が有利。しかも、食品産業の国内生産額は、年々規模を拡大し、今や100兆円という成長産業なのです。農学が対象とする農業や食などは絶対になくならない分野ですので、これからのキャリアを堅実に考える学生たちが、農学部を選択するのは自然な流れかもしれません
 また、近年は幅広い分野を学び、課題に挑む教育を受けている学生が、「即戦力」として企業から評価される傾向にある。農学部だから食品業界、という構図ではなく、幅広い産業に就職できる可能性も開けてきているのだ
 農学系学部・学科の新設ラッシュは、まだまだ続くかもしれない。】

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ダイヤモンド・オンライン 提供 Photo:PIXTA

今回のコロナ禍による教訓からだとは言えないが、学生たちは「糧を得る尊さ」として「本能的に」理解できるようになったに違いない。

三つ揃いの背広にネクタイ姿でパソコンを眺めて暮らす「企業戦士」よりも、大地に足を踏ん張って手に汗する「実業」を見直したのだろう。第1、健康的だ!

グローバル・エコノミストの斎藤満氏は、ブログで、「日本の食料自給率は低すぎる。これではコロナ禍と加速する世界の反グローバル化で日本は滅亡する」と警告している。
もともと食料の自給率は、グローバル化という”蜜”に騙されて、農水省が「休耕田」を推奨するなど、基本的な誤りを犯してきたせいでJAだけの責任じゃない。農水省は猛省すべきじゃないか?

前述の「ダイアモンド」は、少子化の影響により、大学経営も厳しくなるなか、なぜ農学部を開設する大学が増えているのかについて、【農業に対するマイナスイメージが減り、就職に強い点が学生に人気】なのだと分析する。

コロナ禍で、もうけが激減した各企業が「今まで貢献してきた従業員を容赦なく切り捨てた」その薄情ぶりに「資本主義の本質を見た」思いがしたに違いない。とにかく「時給イクラ?高い方を選ぶ」の世界から、安定した大地を選ぶ青年男女が増えたことは喜ばしい。
しかし、相手はゴルフ、麻雀が得意な「取締り」ではなく「大自然」である。一度狂えば容赦なく襲い掛かるから油断はできない。それを切り抜けるには身に着けてきた科学力と「大人=経験者の知恵」が必要だ。
こうして瑞穂の国「日本」は2000年以上も栄えてきたのである。


安倍首相の「次なるステージへ力強い一歩を踏み出す。目指すは新たな日常をつくり上げることだ」という発言の意図は、このような足が地に着いた生活を、次代を担う青年男女に訴えたものだと理解したい。

 

 

届いた書籍のご紹介

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WILLもポストコロナ特集である。「世界は脱・中国!」だとあるが、中共を必至だろう。何をヤラカすかわからない。その前にわが政界、企業界,メディア界からびちゅうは媚中派を消去することだろう。

メディアの犠牲になって消滅させられた「森友騒動を語る」には、現代社会の闇を知らされる。ご一読あれ