軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

非常事態下に「文人」の言葉遊び(修飾語)が目立つ!

共産党一党独裁国らしく、北京政府は”人為的”な洪水を巻き起こしているが、家や家財はじめ、家畜さえも失っている人民の哀れさが見て取れる。どうしてこの国は「天子様」に恵まれないのだろう?

自分ら(党員)が生き残るために、人民を切り捨てている国家にはやがて天誅が下るだろう。

 安徽省で堤防を爆破して水を開放 依然として続く三峡ダムの放水

さて、刻々と危険度を増している米中関係だが、とうとう米国はヒューストンの中国領事館に閉鎖を命じた。私が「開戦前夜だ」と言った通り、中国の外交機関を閉鎖したのだから、北京政府も驚いただろう。早速武漢にある米国領事館を閉鎖させる予定だとのたまった。

中国総領事館で火災 機密文書を燃やしていた。「中国領事館はスパイ拠点だ」 米在ヒューストン中国総領事館に閉鎖命令

昭和16年12月7日の在ワシントン日本大使館の騒動を想起する。

あの時は、大使館員たちは前日に松平書記官の送別会で市内のホテルでパーティを開いていて不在、本省から届いていた外交文書第14部(最後通牒)の翻訳を放置していた。

その電報の束を大使館の庭先で見つけて電信官に届けたのは海軍武官補佐官であった義父だが、大使館員らは戦中戦後を通じて一切責任を追及されなかったばかりか、逆に関わった者は次々と出世し、戦犯として処刑されたのはほとんどが軍人であった。

義父は「文と武は車の両輪でなければならぬ。ペンで育った文官には戦に関する”動物的嗅覚”が欠けているからそれを剣で育った武官が補い、互いに助け合って国家を支えなければならない」と常々良く語っていたが、戦後はGHQによって「軍が解体」され、この国には「武人」がいなくなった。

代わりに”狡猾な悪の越後屋”が蔓延るようになり、至る所に「軟弱なホストクラブ」が乱立。「大和撫子」も消滅して「キャバ嬢」に変身、武漢ウイルスと戯れる不潔な非衛生国家になり下がりつつある。

 

ところで、前回、月刊誌「Hanada」の紹介で首相が言う「遺憾」という外交用語に疑問を呈したが、今朝の産経一面には官房長官が「極めて深刻」という用語を使っている。

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首相が言う「遺憾」とどう違うのか気にかかる。相変わらず「緊張感をもって」とか、「毅然とした態度」などと実態には何ら影響を与えない言葉遊びに酔いしれているが、だから「GoTo」などという、近所の八百屋のおっさん的発想しか出てこないのだろう。いや、八百屋のおっさんの方が、よほど真剣に物事を考えて行動していると思う。

信頼している中の一人である元外交官の宮家氏も、「専守防衛とは抑止防衛」と題した一文を書いているが、最後の「抑止戦略のススメ」に「…敵に攻撃を断念させるには、日本にも一定の攻撃能力があることを認識させなければならない」と書いた。しかし、その攻撃力とは「憲法の枠内で認められた最小限度の攻撃力」を指すというから、彼には「最小限度の」という言葉の意味が理解できていない。現実に「防衛力を積算する立場にあるもの」としては、防衛予算獲得のために、小銃、弾薬などの小物から、すべての武器、補給物品、人員など、「防衛力算定」にあたって、「どこに最小限度」という線を引くべきか大いに悩んだものである。

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その昔、F-15戦闘機の導入に際して、「何機だったら政府の言う必要最小限度にあたるのか?」が、大蔵省主査と議論になったが、軍事的合理性抜きで結局GNPの1%以内という枠で締めくくられて終わったことがある。軍事的常識に適合しなくとも、我々はそれを飲まざるを得なかったのだが、そういう観点で決められた「必要最小限度の戦力」を「一定の攻撃能力」と呼ぶのか?

”敵”は防衛白書の中身を熟知しているから、十二分にわが戦力を認識しており能力も熟知している。

足りないのは、最高指揮官の決意である。「イカン」といくら連呼しようとも、いくら精強な隊員を揃えていても、それを使う指揮官の意図と能力を”敵”は知りたがっているのだ。これこそが、「防衛政策の本質」なのだが、生粋の外交官には理解できないのかもしれない。もっともその前に政治家らが理解している気配はないが…

軍事には「修飾語」は不要なのだ。そこに「ペンで育ったもの」と「剣で育ったもの」との決定的な違いがあるのだ。絵に描いた餅で戦はできないことを知るべきだろう。

 

届いた書籍のご紹介

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「WILL9月号」

危機の宰相論は現状と少し乖離している気がしないでもないが、「余人持って代えがたし」なのか、「後継者がいない」だけなのか、いずれにせよこの国の政治の貧困さ(人材不足)はうかがえる。コロナについても、そろそろ分析と対策案が出てもよい頃じゃないか?いつまで感染者数を数えているつもりか?時間がたてばどんどん増えるのは当たり前だろう。

「第二派はこない」は参考になる。そろそろ「夏風邪」が流行りだす季節だし…

中国のナチス化はとっくの昔から知られているが、情報統制がいかに効いているか、ということだろう。知らぬは本人(人民)ばかりなのだ。

それにしても国連も超大国も頼りにならないという証明ではある。

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「丸」9月号

今月号も充実している。ソロモン航空戦は読ませる。

ペルリューの戦いは非常に貴重な資料だ。生き残って米軍の捕虜になる我が勇士たちの姿には感動を覚える。

極東のシーパワー研究も面白いが、所詮は大陸国の海軍である。形は揃ってきたようだが、先進国に通用するかどうか……