軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

「欧州と“防衛連携”」で「日独防共協定」を思い出す

今朝の産経は3面に「欧州と防衛連携『宿題だらけ』」と題する鶴岡慶大准教授のインタビュー記事を載せている。今年は仏・英・独の艦艇が相次いで日本に寄港した事でインタビューしたもののようだが、この記事を読んで私は昭和15年9月にベルリンで調印された日本、ドイツ、イタリアの軍事同盟、つまり日・独・伊3国同盟を思い出す。

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記事の内容からみて、それほど大げさなものではないが、ともに“肥らせてしまった”中国というモンスター対策なのだからそれぞれに思惑がありそうだが、教授は「中国の脅威をにらみ、仏英独のインド太平洋地域への関与は続くか?」という記者の問いに、「関与する姿勢は変わらないだろう。価値を共有するパートナーとして日本は欧州諸国の関与を徹底的に活用すべきだ。『こういう訓練を一緒にやろう。お互い利益になる』と積極的に提案する姿勢が重要だ」と答えている。

勿論世界制覇を目指す中国に対抗するには、アジアの一国だけでは無理がある。地政学的に見て日本としてはその“後背”に位置する欧州諸国と手を結ぶのは軍事の常識だが、軍艦を差し出してもらうだけで事足りるのか?

尤も日・独・伊3国同盟では、ドイツ、イタリアから軍艦が来航することはなかったし、ロンメルが駆けつけることもなかった。

ヒトラーが期待したのは、ドイツが敵対するソ連の後背部から強力な日本陸軍に攻撃してほしかったのだ。しかし情報センスのなさが影響して、ゾルゲというソ連の手先に利用された政府要人らが、「北進か、南進か」でもめていた時、いとも簡単に南進策を取り、同盟国ドイツの期待を裏切ったという悪しき前例がある。日ソ中立条約が災いしたともいえるが、スターリンはそれほど狡猾だったのだ。

当時のわが軍事力から見れば、現在のわが防衛力はなきに等しい。

「空自の訓練参加が限定的で、日本は及び腰だった」のは、“平和憲法”がそう躾けてきたからであり、軍事的素養が全くない代議士が揃っているからである。

「日米同盟だけではなく、さまざまな国と協力して日本の防衛と抑止力を高め地域安定にもつなげていく発想が必要だ。『日米同盟とそれ以外』という二分法的な考え方は古い」と教授は言うが、それにはまず「平和憲法」を改めるか破棄することが第一だろう。

それなくして、シナやロシアが日本の「本気で戦う姿勢」を認めるはずはない自民党内に巣食う「親中派」と、シナに色目を行かう公明党という政党を一掃しない限り、彼らは日本の本気度を信用しないだろう。

もたもたしていると、同盟国の米国でさえ、日本の本気度を信用しなくなるかもしれないのだ。元より信用しなくなるのは‟自衛隊”ではなく、「政治家ら」だが・・・