軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

令和4年の年頭に思う

   恒例の箱根駅伝も終わり、岸田首相は伊勢神宮参りを実行した。靖国神社に行く勇気はなかろうから、沿道で出迎えた人々はまるでTVの‟充電バイクの旅”の「有名人並み」の扱いしかしていなかったようだった。

 国際情勢は”緊迫”している。その証拠に国連常任理事国が、そろって「核兵器のない世界」への協力を約束する共同声明を出した。何故今頃5か国が揃って声明を出したのか?

「平和志向」を世界に示すためのジェスチャーにしか思えないが、事実核兵器はこれら5大国にとっては「脅し」には使えても、「実戦」に使うには困難が伴うからであろう。

 ところがそれに合わせるかのように、北朝鮮が5日午前に日本海に向けて「弾道ミサイル」を発射した。このような“非常識”な国が増えてきているから、5大国と言えども手をこまねいてはおれないのだろう。

 イランの脅威については、隣国のイスラエルが「寄らば斬るぞ!」の態勢を保持している。弱小国にとっては、これら5大国の核には頼っておれないのだ。

 一応?常識を持つ大国としては、これらの「不軌弾」対処が難しい。引きずられて“暴発”すれば、身もふたもなくなるからそれはできない。やはり外交用の「脅し」として活用するに越したことはないが、それでも「万が一」に備えねばならない。

 世界の指導者とは気の毒な方々だ。かってのヒトラーのように、安心して眠ることはできないのだ。いつ、何時間睡眠をとっているのを知りたいが「国家秘密」だろうな~

 

 その昔(1998年)に「国際軍事関係論(かや書房)」を上梓したが、そこには地球は丸いのだから、国際情勢を見るにはメルカトル図法ではなく、ポーラ図法で見ないと全体像は見えない!と説いておいたが、特に我が指導者たちの目に入らなかったようだ。

だからちぐはぐな外交を展開しているように私には見えて仕方ない。

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 これでわかるように、世界の主要国は赤道内に固まっていて、互いにICBMで「北極海」を通じて威嚇し合っているのである。勿論当時のNATOは米国の”友人”として、欧州方面からソ連を威嚇していたから、ソ連は2方面から威嚇されていたのである。だから欧州の核配備は、ロシアの死命を制するのだ。

 これは米ソ対立時代の図だが、中国も、元より‟北朝鮮”も互いに米国を攻撃できる様になるためには、SLBMの射程を延伸することが大事なのである。

 なぜかって?一応主権と反撃力を持つ隣国の‟上空”をミサイルを飛翔させることはできないからである。

 非武装の日本上空はいいらしいが・・・

 

そのように、非武装で「外交力」しか発揮できないわが国は、対象国を「友好国」で包囲して、“動きを制限する”以外に打つ手はないのだ。

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 左上の稲妻印は、当時台頭しつつあった中国の突破力の向かう方向を示したもので尖閣・沖縄、台湾、フィリピンがその矛先であることを示していた。今や顕在化したが。

 その突撃力を抑止するには、中国の後背部に当たる、ソ連(ロシア)、中央アジア、印度と“友好関係”(昔でいうと同盟関係)を強め、圧力を加える以外手はない。

 その昔、日独伊3国同盟を結んでいた大日本帝国は、ドイツに反攻する連合国(ソ連)に対して、一大軍事力を保持していた関東軍を使って威圧、進攻していれば、スターリンソ連は動けなかったであろう。ドイツとの同盟国としてはそうあるべきだったが、日ソ不可侵条約を締結するという外交音痴がそれを狂わせた。もとより、フランクリン・D・ルーズベルト余命を察知し、ソ連が戦後孤立することを見越して、民主連盟たる米国と開戦すべきではなかったのだが・・・時代は、時としてこのような不可解な現象を生むものである。これを歴史上の過ちとでもいうべきか。

 

 さて、コロナ禍で世界中が右往左往している2022年の今日、どんな不可解な現象が起きるものか、じっくりと観察していきたいと思う。