軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

迫りつつある危機に自制心が必要な”地球人”

コロナだ!オミクロンだ!などと毎日メディアは喧しい。大方の市民は「いい加減にしてほしい」と不満顔だが、だからと言ってマスクをしていないと騒がれ、いざこざに巻き込まれるから「真面目に官側の規制」に従っている風に見える

殆ど人が来ない近所の森林公園をウォーキングしていても、たまに出会う人はみな几帳面にマスクをつけているから麻生前副総理が言ったように「国民の民度の高さ?」を思い知る。通常の服装に「マスク」が加わってすでに3年、今や「ファッションの一つ」になってしまった感がある。若い美人も台無しだな~と同情したくなるのだが…

ドイツの学者が「オミクロン株はコロナ退治のためのクリスマスプレゼントだ!」と言っているそうだが、我がメディアは「危険物」としか取り扱わないから国民の一部は「怖い怖い!」と恐怖感に取りつかれているようだ。

「週刊誌ウォッチング」欄に花田氏がまとめているが、いずれにせよ「高齢者や基礎疾患を持っている人」は注意が必要なのは当然だろう。インフルエンザだってそうなのだから、オミクロンに限ったことではない。むしろそれ以外の健常者にはオミクロン株はどうなのか?専門家は教えてくれない。強力な政治勢力の一つである医師会は、正常に機能しているのかしらん?

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さて、コロナも怖いが周辺国の“暴挙”も怖い。政府は「極超音速迎撃力を強化」するため、研究開発に取り組むそうだが、泥棒を捉えて縄を編んでいるようじゃ役に立つまい。

16日の産経新聞は一面トップにこんな図を掲げた。

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いつまでこんなポンチ絵を掲げて読者を困惑させているのだろうか?

次の図は2018年に講演した時の参考図だが、この時と少しも変わっていないじゃないか!

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北朝鮮が日本列島上空を超えて「テポドンミサイル」を発射したことを伝えた毎日新聞の紙面である。この時の“衝撃”には大きなものがあったはずだ。私はこの時「なぜ北朝鮮が日本列島を超えてミサイルを発射するのか?」と参加者に質問したが殆ど回答はなかった。

北朝鮮の地図を見れば判るように、北から北東部はソ連(現ロシア)に、西は中共に、南は韓国に封鎖されているから、上空を飛ばしても怒らないのは日本だけ、むしろ細かな飛翔データを公表してくれるから自分で調査する必要もないからだ(笑い)と解説した。つまりわが国だけが“嘗められている”からだ。政府高官の表情にもそれが表れているだろう。「全くお手上げだ!」と。

その根源は憲法にあり「憲法9条の趣旨」についての政府見解は

  • 保持できる自衛力は「必要最小限」
  • 自衛権発動の要件は①わが国に対する「急迫不正の侵害」②しかも排除するために「他に適当な手段がない」③しかも行使は「必要最小限度の実力行使」だと‟定められている”からである。

福岡の高校を卒業して、勇躍国防の任に着くべく防衛大に入ってみたものの、あれから38年間、絵空事の「国会論議」が続き、何ら実効ある手段を取らないままの政治、それを良しとするメディアの‟妨害”などで変化のないまま、私は退官してすでに23年がたった。

憲法もそうだが、国防の基本方針も自衛隊が昭和29年7月1日に創設され、昭和31年には国防会議のメンバーさえも決まっていない中、同32年2月25日に岸内閣が成立し、“慌てて”5月20日に国防会議を開いて決定し閣議で決定され、それをもって岸総理は初訪米、つまり訪米時の‟総理の手土産”として「おっとり刀」で生まれたものであった。

憲法も国防の基本方針もすでに時代遅れなのだが、国会は「国防の基本方針」さえも真剣に取り扱ってこなかった。そのつけが回ってきているのだ。

税金を取られっぱなしの国民こそいい面の皮だろう。

マ、老兵の泣き言だと言ってしまえばそれまでだが、3・11などの緊急事態が起こっても“憲法違反”の自衛隊が何とか“超法規”で対処してきたから政府は救われてきたのだ。

今我々が住んでいる地球は、人間どもの飽くなき欲望に揺さぶられて疲弊している。

南太平洋の島国トンガ沖で15日に発生した海底火山の大噴火は「この規模の噴火は世界でも100年に1年に1度あるかないか」の規模で、「この噴煙の広がっている広さが、関東地方一円に広がるくらいの大きさの噴火」であり「この火山灰の雲の下で何が起こっているのか、まったくわからない状況なんですよね」と識者が語っている。要するに現代人は地球のことは全て知り尽くしていると錯覚?しているようだが、地球は小さな美しい星に過ぎないことがほとんどわかっていないのだ。

今回の火山爆発と津波がそれを教えてくれているように思うのだが、休火山である富士山にも起きないとは限るまい。

とにかく、国家防衛や緊急事態対処をなおざりにしてきた“小さな島国の有事”には大混乱は避けられそうにないようだ。