軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

世界の枠組みは変化しつつある、というのに…

2月に意気揚々と“万全の態勢”で?ウクライナ侵攻を決断したP氏は、予想に反して2か月にならんとする今でも目的を達していない。いや、達せられないような“雰囲気”になってきた。ウクライナ軍と国民の予想以上の抵抗を受けた上、西側諸国の軍事的支援始め、支援物資の支援が大々的になってきている。その上「黒海艦隊旗艦」の「モスクワ」までも沈没する悪夢を招いた。

おまけにウクライナNATO入りは阻止できた?かのようだが、戦闘を凝視していた中立国のスエーデンとフィンランドが、NATO入りを表明するに至った。P氏の目論見は完全に裏目に出たのだから「心中察するに余りある?」が、国内には誰も止めるものはないから、ますます‟こじ付け論”を展開して狂ったように突撃するのだろう。相手が‟非武装”だと俄然勇気が出るのがロシア軍だ。こういうのを、作戦計画、見積もりの甘さという。

これは樺太で“大本営の命令”によって抵抗をやめ、ソ連兵に武装解除される日本軍だ。

今、ウクライナ兵に‟武器を捨てるよう要求”しているが、この時、彼らはどうなったか?

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ここまでの動きを見てみると、冷戦終結後の「世界的力(パワー)の枠組み」が崩壊して、新しい枠組みが誕生しつつあるように見える

フィンランド化」という懐かしい言葉さえ甦ったが、いずれにせよ「ロシアは世界中から」毛嫌いされていることがはっきりした。

 

では戦後80年近く、軍事面で「惰眠」をむさぼり「アメリカ化」してしまっている東洋の果てのわが国は、今後どんな体制を作り上げようとしているのか?これでもまだアメリカの「核の傘」に信頼し、自国の安全を確保しようというのか?

フィンランド化より劣るのではないか?

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わが“選良”たちはまだこの段階でうろうろしているのだから情けない…。

 

 私が現役時代に、米国は“番犬”だと称した大臣がいたし、「盾と槍」の関係では、わが国は楯で、米国は「槍の役目」を持つと言い放ち、同盟国の青年の血を流すことに“彼らは”少しも痛痒を感じていなかった。

 三沢時代、湾岸戦争に出撃した米軍将兵が帰国し、それぞれに任地に戻る時、輸送機不足に悩んでいた米空軍から「自衛隊の輸送機に“便乗”させてもらえないか?」と非公式打診が来た時、当時の防衛庁集団的自衛権」を盾に断ったから、帰国した将兵は民航のエアシステム便で小グループに分かれて三沢に帰還してきたことがあった。その時私は副司令と関係幕僚を参加させた。

翌日の東奥日報は彼らの帰国について写真入りの三段見出しで、『「よく生きて」抱き合う家族』「三沢米兵十五人が帰還」「手料理持参し迎える妻も」と題して次のように報じた。

(前略)空港には留守家族や米海兵隊の同僚ら約百人が、星条旗の小旗や花束を手に兵士たちを出迎えた。午後七時過ぎ帰還兵が到着ロビーに姿を現すと、出迎えの一団から一斉に歓声と拍手が沸き起こった。妻や子と抱き合い、キスをする兵士の姿があちこちで見られたほか、上司や同僚たちも肩をたたき合って互いの無事を喜び合っていた。中には愛する夫のため手製の料理まで持参する夫人もあった。(以下略)」

 

 ところが翌日、参加した副司令が怒りの表情で次のように報告した。

 当時青森は「春スキー」の時期だったから、到着口から最初に出てきたのは、スキー場へ〝遊びに行く日本の若者たち〟で、整列している米軍人らを怪訝そうに二階から見下ろしながら、「アメちゃん何してるの? 邪魔ジャン」などと会話しながらエスカレーターで降りるアベックもいたという。

そのうちに狭いロビーは、スキー用具を受け取る若者らで混雑し始めたので、米軍家族らは旗をたたみ列を解いて後方に下がったが、スキー用具を受け取る〝遊び〟に来た日本人青年らの後から、戦場から帰還した米軍兵士たちが現れると、記事にあったように家族らが歓声を上げて胸に飛び込む、感動の場面が繰り広げられたそうだが、副司令は同じ世代の日本人青年らの無関心さ、というよりも米軍人たちを迷惑だという若者らの態度に腸が煮えくり返る思いだった、と言う。

 私は空港長に、どうして米軍家族たちの出迎えに配慮してもらえなかったのか尋ねたところ、「いってくれればそうしたのですが…」という、如何にも“平和ボケ”丸出しの答えが返ってきた。

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「当時、米国の新聞の漫画でこのように揶揄された日本人!」

 

ほんの一例に過ぎないが、国境を接する国と、“平和”ボケした島国日本との大きな差異を感じる。

今の若者たちは、この当時よりも少しは真剣だろうと思いたいが、大陸国・インドは、不穏な中国や周辺諸国の動きを見て独自に行動し、中近東各国はそれぞれ自己の利益確保に動いている。

 

「茹でガエル日本人」の反応は、連日の‟ワイドショウ”以下であり、まだまだ真剣味に欠けていると言えば言い過ぎだろうか?