軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

義勇兵にOBが志願、身分は私人?それとも元軍人?

言うまでもなく、共産党という組織がいかにご都合主義の組織であるかは、三島由紀夫が批判したとおりだが、いわゆる左翼主義を信奉する者はまだまだ騙され続けている。

産経新聞の榊原智論説副委員長は、党綱領で「憲法第9条の完全実施(自衛隊の解消)」や「日米安保条約の廃棄」を掲げている共産党の志位委員長の発言に対して、「防衛力充実と同盟強化が平和を守る前提条件だと分からず、侵略者を喜ばせかねない共産や立民は、日本の防衛論議に必要な政党なのか」と国民に疑問を投げかけた。

 

氏が言うような「自衛隊への謝罪」は不要だが、両党こそ「不要な存在」であり国民に謝罪すべきだと言えるだろう。

政府に何かあるときは勢い込んでしゃしゃり出るが、状況が不利になると物陰に隠れて顔も出さないような政党は、不要だと思うからだ。

ウクライナ戦争で、連日“国際関係の実態”を学んだ有権者から、いずれ否定され、やがて“消えゆく政党”だろう。

ところで、ウクライナ義勇軍として参加したい、と意思を示した70名もの日本人青年がいたことは以前書いたところだが、「西日本に住む‟元自衛官の男性”が、18日にウクライナに入国していたことが分かったという記事が出た。

「ロシア側の捕虜になった際の扱いは不透明な状況だ」ともあり、ロシア側は「国際人道法で守られた戦闘員ではない」と言ったそうだが、ロシアに「国際人道法」を守る意思はあるまい。よく言うよ!と言いたくなる。

翻って、「“軍人ではない自衛官”の身分」については、イラク“派遣”時から問題になっていて、「武器は持たせるな!」とか、「小火器に限る」だとか、「機関銃一丁まではいい」とか子供じみた論議にあけ暮れていた経緯があったことを国民はお忘れか?

自衛隊は軍隊ではない」つまり「正規の軍隊」ではないから自衛隊には“軍人”はおらず、したがって、自衛隊自体が「国際人道法が適用された捕虜」として扱われないことになり、いわば「テロリスト」並みの扱いなのである。

前述の左翼政党による長年の妨害工作で、自衛隊は“憲法違反”の日陰者の存在に過ぎず、どんなに国民のために活動しても、褒められることはなかった。3・11までは…

私はこんな中途半端な身分で世界に「派遣」していれば、いずれ前述のような事態に巻き込まれて、国際的問題になりかねない、と危惧していたものだが、「派遣」された隊員たちの努力と規律ある行動で、無事に任務を果たしてきたから問題は起きなかった。

しかし、いつまでこの様な中途半端な状況を放置しておくのだろうか?と気がかりだった。国内の戻ると、死んだ鶏や豚の後始末をさせられたり、本来の訓練は予算不足で苦労させられた。だから「自衛官と言えども人の子、正しく評価されないことに何時までも耐えられる程の聖人君子ではない」と私は部外に説いてきたものだ。

その後海外“派遣業務”が異常に多くなったが、若い隊員の中には、「日本で活動するより、海外で活動して他国の軍隊と比較し、‟軍人”としての「評価」が知りたい」と感じる者が出てきたときも、やはりそうだろうな~と感じたものだ。

今回志願して現地入りしたOBは自衛隊勤務中に「そう感じてきた?」者の一人かどうかわからないが、現に「罪のない市民が殺されている」ことに義憤にかられたことは理解できる。同じ紙面にあるベラルーシの女性と同じ気持ちだろう。

政府(外務省と法務省)は彼をどう取り扱うか、苦労するだろうが、今まで「放置」されてきたことだから、速やかに改善してほしいと思う。

全ては「新憲法」という‟虚構”が生んだ産物のせいだろうが、知恵者の集まりである“政府役人”達のお手並み拝見と行きたい。わが国は、ウクライナ戦争の実態を見て、戦後の”虚構”に満ちた政策の弊害から、一日も早く解放されなければならないことに気が付くべきだ。