軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

環太平洋共同体構想

東アジア共同体という,中国の傘下に集う『国家連合』など,アセアンというグループがあるのにどうして必要なのだろうか?
EU構想は,フランスの『国家としての誇り』が優先して,お先真っ暗になったが,国益が異なり,文化程度も大きく異なる『集合体』なんぞ,偽善そのものであった.
米ソ冷戦中は,ソ連の『弾除け』国家がワルシャワ連合を作らされて西欧に対抗,それに対抗したのが米国を中心にしたNATOであった.つまり双方ともに共通の『敵』が存在したから団結は強固だったのである.
にもかかわらずECから発展したEUが,NATOと別の組織に『発展』した時,私は冷戦終結で『用済み』になった米国を切り離す『陰謀』ではないか?と考えてきた.
 第2次世界大戦で,ヒトラードイツに席巻され,イギリスに亡命したドゴール・フランスは,米国青年達のおびただしい血を代償に祖国を取り戻してもらい,『戦勝国』の仲間入りという名誉を与えられたはずなのに,かっての敵国ドイツと組んで,『お人よし』の米国外しをたくらんだ.
国際政治に『恩義』が通用しない事なんぞ承知だが,それでもフランス国民はこの構想に『ノン』を突きつけた.EUとNATO双方の参加国を比較すると分かるが,明らかに米国外しである.

他方,そのまねをして『東アジア共同体』なる構想が提唱されている.我国にも,親中派を中心に賛成者が増えているが,余りにも『見え見え』なので滑稽でさえある.中国が『親分風』を吹かせたいのである.この構想に『賛成する者達』こそ,反日日本人の証であるといっても過言ではなかろう.
中国はアジアの『大国』だというが,六者協議で判明したように,この国は北朝鮮一国でさえ『指導する』ことが出来ず,アジアでの政治力がない事が証明され、その事実を世界中が知る事となった.だから中国はアジアで目障りな『米国外し』を真似たのである.

大陸国家と海洋国家とは,歴史的に見ても共同体を組むのが難しい.大陸国家同志の『欧州』でさえもあのとうりである.その上、東アジア諸国間のGDPには極端な開きがある以上,日本が参加すれば金を毟り取られるだけである事は自明であろう.大東亜戦争終結とともに,我国は満州朝鮮半島,中国,台湾などに投資した巨額の資産を失った.大陸進出は国益にならないことは,60年前に証明されたではないか!
しかし,敵国であった米国と手を結んだ結果,我国は偉大なる発展を遂げる事が出来た.
そこで提案したい.海洋国家群で『共同体』を作ろうではないか.
米国,日本,台湾,フィリピン,豪州、ニュージランドを中心とした『環太平洋共同体』である.同じ海洋国家群であるし,経済的にも結びつきが大きい.豪州は,サマワ自衛隊と共同作戦を実施している.
東アジア共同体』は,中国をお頭に担ぎたい韓国、北朝鮮などが作れば良い.共産主義という共通の理念があり(今の韓国もそれに近い)地続きだ.しかし経済格差が大きいから『平準化』する事を考えれば,中国でさえも二の足を踏むだろう.
いや,中国はオリンピック前に経済破綻する事が予測されているから,平準化は『韓国の滅亡』を意味するのかもしれない.いずれにせよ『東アジア共同体構想』は,海洋国家・日本になじまない事だけは確かである.