軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

しっかりせよ現役幹部!!

 先週は土曜日から東北へご先祖様の供養に出かけだが、往復共に交通事故で大渋滞、日曜日の深夜に2時間遅れで帰宅した。高速道路の交通マナーの低下で、追突事故が多発、1時間半以上ものろのろ運転で大変な迷惑をこうむったが、これが鉄道なら「○○万人の足に影響・・・」と報道される筈だが、高速道の渋滞で「被害」をこうむっても何ら報道されない。不注意、マナー違反で事故を起こし、渋滞を発生させて他人に大きな迷惑を掛けた責任者は、厳罰に処せられるべきだ、と思った。
 
 月曜日の30日には、早朝から岡崎研究所に出かけて、中国の社会科学院日本研究所との「第3回日中安保対話」に臨んだ。続く火曜日の31日も一日中会議で、日中間で侃々諤諤の討議をしたが、今回は「チャンネル桜」が全部を収録し、機会を見て報道するというから、私のブログも少しは気が楽である。日中首脳会談直後で、しかも北朝鮮の核実験をめぐる駆け引きが続いているときだから、会食中の会話も含めて、大変貴重な会議だった。
 昨年11月の北京での第2回会議の模様は、私が「中国漫遊記」としてこのブログに書いたからご承知の方も多いだろうが、今回、公式の場で蒋所長から「感謝の意」を表されたのには戸惑った。前回は、社会科学院日本研究所で、会議録を作成するより一足早く私が詳細な「報告書」を書いたので、それを活用させてもらったので助かった、というのである。冗談半分?に「今回も期待しています・・・」というのだが、私の本音の記録を堂々と取り上げる姿勢には感心した。
 ところが、今日はそのイントロを・・・と思ったのだが、友人から「空自幹部の不祥事記事」に関する質問の電話が来て、ここ2日間の新聞に目を通していなかったから、31日の産経新聞を見て驚き、情けなくなった。
「50歳代の空自幹部」が、愛人の中国人女性と「エステ」などを共同経営していたというのである。記事を読んで、「この大バカ野郎!!」と罵りたくなった。
彼の出身や所属は不明だが「武器を預かっている自衛官だ」という自覚が全くない!
そんなことで部下の命も預かれるものか!
 おそらくこれに類する不祥事が、今後週刊誌などで報道されることになるのだろうが、その「ノー天気ぶり」にあきれてものもいえない。一体、上級幹部はどんな指導をしているのか?
 今世間で騒がれている、教育関係者の無責任ぶりは、一に「部下を確実に掌握していない」ことから来ていると私は考えている。
 指揮運用教範を見るが良い。現役諸官はすっかり忘れているようだから、老兵の私が思い出させてやろう。「綱領」には、航空自衛隊の使命が次のように書いてある。
「その精強な存在により、我が国に対する侵略を未然に抑止すると共に、直接及び間接の侵略に際しては断固これを破砕し、もって我が国の平和と独立を守り、その安全を保障するにある。このため航空自衛隊は、百時防衛行動(私に言わせれば軍事行動だが)をもって基準とし、透徹した使命感のもと、厳正な規律、強固な団結及び旺盛な士気を維持し、常に訓練を精到にし、事に臨んでは、不撓不屈あらゆる困難を克服し、その使命を完遂しなければならない」
 続く「指揮の要訣」には、「部下を確実に掌握し、明確な企図のもとに適時適切な命令を与えてその行動を律することにある」と明記してある。
 それにもかかわらず、我が国の安全に深く関与する国家の女性と一緒に、金目当て?に風俗店を経営するなんぞ言語道断!国民は断じて許さないだろう。
 そんな幹部を輩出した上層部の「部下掌握不足」も言語道断である。おそらく以前から彼に関する何らかの兆候はあり、情報は「うわさ」段階でもあったに違いない。 下部組織がそれを故意に隠したか、下部組織そのものが見てみぬ振りをしてきたか!いずれにせよ、今話題のいじめに対する各地の学校の管理者同様、部下掌握が節穴だったことを意味する。それともほかにもっと大きな障害があって、それに気をとられていたのか?
 以前、最高指揮官たる総理大臣自らが、中国のハニートラップに引っかかって顰蹙を買ったことがあったが、武器を預かる自衛官の、それも幹部たるものが、そんな政治家と同レベルであっては国民はたまったものではない。
しっかりせよ現役幹部!この際、猛省し、国民の信頼回復に全力を挙げるよう叱咤しておく。