軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

労働組合が国を滅ぼす

 今朝の産経「主張」欄は、スタートした年金記録問題検証委員会に「労使癒着の徹底追及を」要求した。
年金問題の根底には、労使の異常な癒着があるといわれる。その癒着の象徴が『自治労国費評議会(現・全国社会保険労働組合)』と社保庁が結んでいたいくつもの覚書である。例えば『ノルマを課さない』『職員の競争心を煽らない』『端末機操作45分で15分の休憩』『1日のキータッチは5000字以内』・・・など仕事内容を制限するものが目立つ。民間企業では考えられない甘さだ。・・・・・・なぜこんな不祥事体質が生まれたのだろうか。
 社保庁は数十人の厚生労働省キャリア組を頂点に、約800人の社保庁採用職員と約1万6000人の都道府県採用職員が3層構造を形成している。長官を初めとするキャリア組は在任期間中に余計なトラブルを嫌って、改革に乗り出そうとはしなかった。都道府県採用の職員は国家公務員でありながら、地方事務官制度のもとに自治労の支配を強く受けてきた。その結果、労使の馴れ合いと怠慢が常態化し、組織が閉鎖的になり、不祥事体質が続いてきたとされる・・・」と主張は書いたが、今頃分かったことではあるまい。労働組合を持つ組織は、大なり小なり『その影響』をもろに受けてきた筈である。
 民間でも、御用組合以外は、社保庁と変わらぬ体質を持っている。ある自動車メーカーの例でも、労組の自己中心的な強要を社長始め幹部たちが、厚労省のキャリア組よろしく『余計なトラブル』を嫌って『なあなあ』で処理してきたからだ、と私は思っている。そして倒産し、外人社長が乗り込んで立て直した。労組のわがまま坊主達も、倒産と外人には滅法弱いのである。ところが「公務員」には倒産がないから怖いものはない!
 NHKがこれほど落ちぶれたのも、労組のわがままを放置したからであり、キャリア組が労組幹部を体験しなければ『出世できない』仕組みを許したからである。つまり、幹部達は労組の『人質』になったからであり、彼らの言うがままに『はんこ』を押さねば生きていけなくなったからである。
 勿論、中には自己の主義主張を貫こうとする「勇気ある幹部」もいるのは当然だが、一人で抵抗しても自滅するのは目に見えているから動かない。
 昨夜、ケーブルで日テレニュースを見ていたら、北海道のある片田舎の商工会事務局長が、会長の会社が外国人『研修生』に違法な労働を強制していることを告発したところ、2階級降格され、これ見よがしに嫌がらせを受け、いまや『自宅待機』となり退職を待つだけだという。こんな理不尽が許されてもいいものか!この国にはびこる典型的な『村八分』である。
 その商工会の会長のあまりの傍若無人さに言葉もなかったが、これは「北朝鮮」や、中国の問題ではなく、21世紀の「民主国家日本」で行われている現実である。
 以前、テレ朝が茨城県鉾田市会議員たちの「ご乱行」を一時取り上げて糾弾していたがこれに劣らぬ暴挙である。
「魚は頭から腐る」というが、日本では「尾びれ」からも腐り始めているのである。
 学力(学歴)や実力では、本社幹部に到底太刀打ちできない「輩」が、労組委員長の肩書きに舞い上がり、賃金交渉の場などで「社長」と対等に向かい合う、その快感に酔っているだけなのだが、戦後民主主義の世の中では、彼らを「丁重に」扱わないと、逆にマスコミや人権弁護士の餌食になるから、内心不愉快に思いつつも、社長ら幹部も、これまた互いに「なあなあ」のお芝居に徹する。
 悪いことにこの「労組」という組織は宗教団体並みの「組織票」を持っていて、選挙になればこれを「伝家の宝刀」よろしくちらつかせるから、代議士達も反抗できないし、票欲しさに癒着して憚らない。こうしてこの国は、東京裁判の判決どおりに、戦後民主主義とやらを信奉しつつ「二度と立ち上がれない虚弱国家」に落ちぶれていく。
 皮肉なことに、復讐心に燃えたデタラメ裁判で、日本が米国の思い通りになりつつあるのに、戦後の世界情勢の激変で「安保条約」を結ばざるを得なかった米国は、今頃己の未熟さにあわてて「何とか自覚して欲しい」と願っているのだが、今や全身に毒素が廻ってしまった日本の方が言うことを聞かなくなった。結局一番喜んだのは、米国に敵対し続けているロシアと近隣アジア諸国・・・と言う図式になった。
 唯一、「ならず者」で「怠け者集団」の労組にのっとられていた旧国鉄をJRに改革した中曽根時代の例があるだけであろう。しかし、今でもJR東日本は彼らに「占拠」された状態下にあるという。彼らにとっては居心地がいいからである。
 国家公務員に労働組合活動を許した政府が一番軟弱で責任が思いというべきである。またそれを放任してきたマスコミも、勿論国民も共に責任がある。
 万一、同じ国家公務員である警察官や自衛隊員にも、社保庁並みに「労働組合」を許していたら、この国はどうなったであろうか、と思うと身の毛がよだつ。社保庁程度の「サボり」ではなく、武器を使った「反抗」になるから、まさに「クーデター」が頻繁に起きていただろう!
 産経の主張が書いたように「いかにしてサボるか」に汲々としているような「労働組合」は速やかに解体すべきであり、少なくとも「公僕」たる国家公務員に労組を認めてはならない。
 年金記録問題検証委員会がその深層にどのくらい踏み込めるか、国民は注目しておく必要がある。