軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

強力小泉内閣の内・外政「仕事始メ」に期待する!

憲法を手始めに、戦後もろもろの「未解決」の諸懸案を、解決していって欲しいものである。「独裁者」「ヒトラー」と罵られようとも、結果が全てを物語る。強力な与党となった今を置いてない!「鉄は熱い内に打って欲しい」。≪内政事始め≫に大いに期待したい。

  • 終戦間際に、不可侵条約を一方的に破って満州樺太北方領土に侵入したソ連軍が、60万人以上に及ぶ我が将兵らを酷寒の地・シベリアに不法抑留した事は、日本国民に余り知られていない。私は縁あって、抑留者協会の方々と知り合い、中部地方や四国などで行われる「シベリア抑留展示会」で講話をしているが、今回、その協会(正式には財団法人・全国抑留者協会)の機関紙を、独立行政法人・平和記念事業特別基金が編纂した全8巻からなる「戦後強制抑留史」の大著が送られてきた。それを見て私は、まさにこれは「近・現代日露関係史」であると思った。平成9年に「戦後強制抑留の全体像」を編纂する事に決定し、各界の専門家からなる編纂委員会を設立、田久保忠衛杏林大学社会学部長を委員長にして編纂した貴重な資料である。大変読みやすく編集されているから、全国の高校、少なくとも大学の図書館には揃えて欲しいものである。勿論防衛大学校自衛隊の幹部学校は揃える事であろう。後輩達には熟読玩味してもらい、ソ連(ロシア)とは一体どんな国柄であるかを知って欲しいと思う。
  • 今日の午後は、たまたま杏林大学総合政策学部教授の斎藤元秀氏の講演を聞いてきた。演題は「近づくプーチン大統領来日」であったが、話題豊富で実に有益だった。斎藤教授も「戦後強制抑留史」の編纂委員になっている。父上がシベリアに抑留された犠牲者だという。

ロシアが北方領土返還に消極的な理由は、米ソ対立時代と異なり、軍事的価値は低くなっているというが、豊かな漁場から得られる税収を失いたくない事にあるという。
7月の新聞にロシアの最大の悩みは「国境問題」という記事が出ていた。
私はソ連崩壊前から、バルト3国と協力して、東西から国境問題で挟み撃ちにせよ、と言い続けてきたのだが、もたもたしている間にソ連が崩壊してしまい、バルト3国は「独立」したが、北方領土は話題にも上らなかった。実に残念だったが、11月中旬にプーチン大統領が来日する。彼はきっとエネルギー開発支援を日本側に要請し、資金を調達するのが目的であろう。勿論死に物狂いでエネルギーを求めている中国と天秤にかけるだろうから、過去の「国際法違反・人道に対する罪」である「不法強制抑留問題」と、「不法占領問題」を突き付けて、この問題に対するロシアの対応如何によっては「支援を考慮しないでもない」とする強い外交を展開して欲しい。プ−チン大統領は、北方領土のみならず、依然としてバルト3国、ウクライナグルジアアゼルバイジャンカザフスタン等との「国境問題」を抱えているしCIS再分裂の危機も抱えている。日本が強く出ればこれらの国々は元気が出るだろうし、もしもプーチンが日本の要求を冷たく拒否すれば、自国の問題と重ね合わせて、対ロシア「国境問題」に対する態度は「硬化」し、”愛国者”は大いに騒ぐであろう。日本にとって「友軍」となる。
今回の総選挙で得た、強力な国民の支持を背景に小泉・自民党には堂々たる外交を展開して欲しい。今までの”自眠党”政府には「それ」がなかった!。毅然たる外交、それが今回小泉首相を支持した多くの有権者の「本心」であり「期待」である事を忘れて貰っては困る。
11月中旬の、対ロシア「外交事始!」に期待する。