軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

映画「ヒトラー・最後の12日間」と『自民党・最後の12日間?』

久しぶりに家内と映画を見た.観客の7割は老・壮年層であったが,中には若い男女,それもセーラー服姿の真面目な女子高生もいた.監督,オリヴァー・ヒルシュビーゲルの演出と,主演のブルーノ・ガンツの演技が見事で,2時間半が短く感じられた.ヒトラー政権崩壊直前の12日間に絞ったのが効を奏し、地下要塞での追い詰められた中での人間の心理がうまく表現されていて見ごたえがあった.終演後も観客は暫く席を立たなかったし,声もなかったのは,私のような老年はサイパン陥落,沖縄の悲劇などと二重に思えたからであろうが,若年層には戦争の酷さが強烈だったからに違いない.一歩劇場を出ると,そこは渋谷,戦場とは全く関係ない世界が広がっている.
ソ連軍に包囲される前に,ベルリン市民を脱出させるべき,という進言を無視したヒトラーは,平然と「国民の自業自得」だと嘯く。確かに選挙で選ばれた「合法的なヒトラー政権」であったから,それは言えるだろう.限界に追い詰められていく独裁者とその周辺の人物像はリアルであったが,「狂信的独裁者・ヒトラー」も所詮は生身の人間,不信,孤独,重圧につぶされていく姿が真に迫っていた.『ヒトラーのような国民を捨てる指導者じゃなく、日本には国民を思う天皇様が居られたから幸運だったわ」と家内が呟いた.
人間集団である「組織」が崩壊する過程が大変参考になるから是非ご覧になることをお勧めする.

ところで我国も8月の参院での郵政法案審議採決を控え,自民党内は右往左往している.現在のところ,参院での否決はなかろうというのが大方の見方だが,そうなると少々残念!私はこれを機に政界の大編成が動き出し,政界浄化が始まると期待していたからである.公明党でさえもおろおろして実に滑稽だったが,それほど「政権」には魅力があるようで,自民党もそう易々とは渡さないであろうから,打算的な議員の動きが相当あるに違いない.
小泉首相の第一の公約は「自民党をぶっ壊す!」というものであったと理解する.つまり郵政法案審議は,自民党再建のための「踏絵」なのであって,最後まで抵抗する派閥は,小泉首相にとっては『敵』であり自民党員の資格なし!という事になる.政界は,主義主張の違いよりも、どうも「私利私欲」と『私怨』で動いているのではないか?と思う.まるで討ち入り前のような騒々しさだが,採決されて「解散」がないということになれば,その後の政局はどう動くのだろう.叛乱分子は自民党を出て「新党」を設立するのだろうか?
政権奪取?を目の前にした民主党はがっかりだろう.ここも左翼と右翼を含むバランスの取れない政党だから,いずれは分解するのだろうが,今回は免れるということか?
第2の踏絵は,8月15日である.国民に公約した小泉首相が,今度も「公約破り」をすれば,国民は『軽蔑』するから,任期が少なくなった首相はどう出るか?
他方参拝させまいとする「勢力」は,かの有名な方々が懸命に「阻止活動」を進めている.この人達の目的は,アジア諸国(といっても僅か中国と韓国の二カ国しか頭にないようだが)のために尽力しているのであって,決して日本国民のためではない.ソ連軍に包囲されたヒトラー周辺の『小幕僚達』みたいなもので,自分がいかに生き延びるかだけが目的であり「国民なんぞ自業自得」なのだ.
万一小泉首相が参拝を「放棄」すれば,これらの連中が永田町を「占拠」する.国民が気づいて,それはない!といってみてもベルリン市民のように切り捨てられるのが落ちであろう.
首相が予定通り参拝すれば,包囲している「アジア2カ国連合軍?」は,攻撃できなくなり,親中派という「パルチザン」は孤立する.しかし『アジア連合軍司令官』は,間違いなく彼らも見捨てて撤退するだろう.
第一,第二の踏絵が効果を発揮する時が刻一刻と迫っている.国民は我国の将来を占うこの「12日間」を注目すべきである.そしてどの政治家,どの学者,どの企業家が国内に巣食う『尾崎秀実』であるのかを冷静に見極め、将来のために排除しなければならない。
私は政治評論家ではないから,今後の政局の動きを正確に判断することは出来ないが,今晩(7月30日)夜9時から3時間に渡って,日本文化チャンネル『桜』で放映される『闘論・倒論・討論2005』をご覧頂きたい.
水島氏司会の元,外交評論家・岡崎久彦,政治評論家・屋山太郎,元海将・山本誠,川村研究所所長・川村純彦,デュピュイ戦略研究所東アジア代表・松村劭、拓大客員教授藤井厳喜,評論家・潮匡人,それに私の9人で『外交・安全保障から見た靖国問題』について忌憚のない意見が語られる.
映画「ヒトラー・最後の12日間」と共に,チャンネル桜の討論番組をご参考までに御紹介する.