軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

自民党の断末魔

6日に小泉首相と『激論』を戦わせた森元総理が,ビールの空き缶を記者団に見せているシーンをテレビで見た.1時間20分に及ぶ会談で,「ビール10本を二人で飲んで,無くなるとウーロン茶.干からびたチーズとサーモン」。一時間半の会談中の待遇がこれだ,という.官邸の台所事情がわかって「微笑ましく?」思ったものだが,何時も美味しい物を食べ慣れている森氏はもっと豪華な『つまみ』が所望だったのだろう.政治家と我々自衛官との価値観の相違を思い知らされた気がした.
空幕勤務中は、予算の時期になると泊まりこみで仕事をする.防衛庁がまだ六本木にあった頃は,深夜に解放されても『タクシー券』一枚無い身分だから,そのまま薄汚い廊下の隅や,部屋のイスや床の上に転がって寝たものであった.勿論食事も自前で,食事の時間がなかった場合には,カップ麺をすすって耐えた.「防衛費がGNPの1%を越えそうだ!」と騒がれた時には,後輩の会計課長が,新規防衛力整備目的を達するためには「自衛官の昇給をストップする以外に無い」と発言,一同『やむを得ない』と腕を組んだものであった.
その昔,私がまだ九州で2等空尉の時,航空統制官として陸自都城部隊に派遣され、部隊と共に夜間行軍した事がある.日出生台演習場につき,戦闘配置につくと,連隊本部の天幕内では,薄暗いランプの元で連隊長と幕僚が作戦会議をする.その時敵情を探ってきた斥候兵が帰還して報告した.報告を受けると直ちに幕僚たちが分析を始める.報告を終えた斥候の一等陸曹は勿論食事をしていない.連隊長付きの陸曹が「ご苦労様でした」と言って「アルミのお椀」で炊いたインスタントラーメンを差し出した.斥候は「有難う」と言うと,ヘルメットも取らず,身体中に迷彩用の枝や草をつけたまま,ラーメンをすすった.身体が温まったのであろう.「うまい」と陸曹にお礼を言い,鼻水をすすった.そこへ連隊長が顔を出し,「うまそうだなあ.俺にもあるか?」と陸曹に言ったので,彼は嬉しそうに同じ物を同じ容器で差し出した.連隊長は斥候と並んでラーメンをすすりながら,「うまい.身体が温まる」と言って彼を見た.斥候は『ハイ』と言いつつ,畏まっていたが,私はまるで『麦と兵隊』の映画を見ているような錯覚に陥った.
天幕の外は零下5度の世界である.全員が戦闘服に外套を羽織り,そのまま横になるだけで休息する.飛行ジャンバー姿の私は寒くてかなわなかったが,お付の隊員が毛布で寝袋を作ってくれたから,その中に入って見ていたのである.陸自は「精強だ!」と思ったものである.
サマーワ陸自部隊も黙々と任務についている.5〜60度と言う熱砂の中で,指揮官自らが『ウーロン茶しかないのか?』などとは決して言わないだろう.
ガダルかダル・ニューギニアで,我が将兵達は『一本のタバコ、麺棒一本を分けあって』戦い続けた.『ビールはなくなったし,お茶も無くなった.歯が痛くなるようなこんなもん食わされて.腹も減ってくるし…』という台詞には,言葉もなかった.

ついでにもう一つ『助言』しておこう.確か森氏は『我国は神の国・・』と発言して,マスコミに叩かれて修正した事があった.私はこの発言を聞いて,流石「日本国総理だ!」と感心したのだが,すぐに「こそこそ」と取り消したので深く失望した事を思い出した.
私は退官前の通算10年間を.北は青森から,南は沖縄まで,単身赴任を続けた.週末は「変装?」して,部隊周辺をつぶさに周り,名所旧跡は勿論,地方の特色ある文化に直接触れるように努力して歩いた.そうすることによって『国民』の生活ぶりを直に学ぶ事が出来たと思っている.
つまり我々自衛官が『身を呈して守るべき対象』は,決して『お偉いさん』ばかりではなく,朝市で胡瓜を売っているばあさんであり,遥か洋上でイカを釣っている漁師達である.彼らの代わりに,わが身を捨てられるか?と言うのが私の信念だったから,意図的にそうして各地を歩いた.
今でも多くの方々と親交があるのは,その時の「成果」なのである。総理大臣に水戸黄門様バリの行脚は求めないまでも,永田町の住人には『外国にはもっと毅然と』、国内ではもう少し『庶民感覚』を養ってもらいたいと思うのである.
そこで『神の国発言』だが,我国では,各戸に神棚があり,会社には大きな神棚が作られている.そして少なくとも毎月1日と15日には,神棚を清掃し『榊』を取りかえる慣わしがある.
自宅周辺の花屋を見た限りにおいても,どんなしゃれた洋風の花屋でも,片隅に必ず『榊』がバケツに入れておいてある.その事実を見ただけでも我国が『神の国』である事は自明であろう.
ところがその『榊』に異変が起きている事は御存知あるまい.
最近は,榊の値段に大きな開きがありすぎるので,花屋の主人に聞くと,スーパーなどで売っている『榊』は,実は「中国産」だと言うのである.詳しく言えば,それは本物の『榊』とは違った種類なのだそうだが,日本産の『榊』は絶滅?寸前だそうで手に入らないのだという.一対500円を切ると商売にならないそうだが,中国産の方は一対300〜380円程度,これでは勝負になるまい.私は頑なに500円の国産『榊』に拘っていたのだが,ここ数年,ついに手に入らなくなった.私が当時の首相だったら,朝日新聞や中国主席にこう言っただろう.
「新聞社には神棚は無いか?地鎮祭はやらなかったのか? 花屋に行って見てみなさい.必ず『榊』が置いてある.日本人はそれを神棚に上げる.だから『我国は神の国』だと言ったのだ.ところで最近は,貴国(中国)から榊を輸入している.と言う事は貴国も日本が神の国であることを自ら認めているわけではないか?』

平成6年6月30日,村山内閣が発足した時点で私は『真性自民党』は消滅した、と考えている.その後の村山内閣が何をしたか?阪神大震災で,7000人もの国民を見殺しにし,対中・韓,自虐談話を発表して,日本国の歴史に泥を塗った.平成7年3月,前代未聞のサリン事件が起きたが破防法を適用する事も無く,未だにこの犯人グループは野放しにされている.
同じ年、駐留軍用地特措法による使用権限取得手続きの1部を沖縄県知事が拒否した時,首相がこれを代行すべきなのに放置したため,沖縄基地問題が紛糾し,大混乱を招いたには周知のとおりである.その後私は現地で勤務することになったが,彼は何らかの責任を感じたであろうか?

独断と偏見だが,この時以来、自民党に『反日毒素』がサリンのように撒かれて,脳波が狂った方々が未だに「反日活動」を続けている.いわば『自民党』という保守の仮面をかぶった左翼支配が続いているのである.
今日の午後には,結果がわかるが,仮に『採決』されたにせよ,本来の『保守真性党』に戻る努力は中断してはならないと思う.自民党は『断末魔』だが,国民の『民度』も問われているのである.