軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

国家意識の欠如を憂える

今朝の産経新聞〈正論〉欄の,藤原正彦教授の論に深く感動した.「国家意識の欠如こそ国衰える根源」と題する論文は,まさに現代日本が抱える〈民主主義の弱点〉を突いたものであろう.
〈『民主主義は最悪の制度だ.今までのどんなものよりましというだけだ』と言ったのはチャーチル元英首相だが,近頃この言葉が身にしみる.『国民一人一人が成熟した判断力を有する』という場合は無論最良の制度であろう.問題はこの美しい前提条件が,かっていかなる国においても満たされなかったし,今後も満たされそうにないと思われることである。
…政府はまっとうな戦略もなしに.国民の顔色をうかがいながら政治を運営する、というポピュリズムに陥っている.
…(中略)まず真のエリート達が各部門で長期国家戦略を策定せねばならない.
…戦略なき国家は脆弱である.今や日本は,公正や正義どころか,国益しか考えない諸外国の狡知に翻弄され,経済は壊され,安全保障すら脅かされつつある.早急に長期戦略を練り,それを軸に行動する必要がある.
それは一般国民ではなく真のエリートが全身全霊を傾けて行う仕事である。中央から地方へ,官から民へ,などというムードに浮かれて国家中枢を毀損しては取り返しのつかないことになりそうだ〉
今回の総選挙は,既に決定された事だからとやかく言うべきではないが,藤原教授の言葉を良く噛締めて,投票に臨むべきであろう.〈マスコミが頼りにならないことは自明である〉が,さりとて庶民には他に情報を得る手段がない.軽佻浮薄なワイドショーに騙されないように,冷静に情報を分析すると共に,誘って投票に行き,確固たる個人の意思表示をしなければならない.