軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

『選挙、朝日、水害問題』

  • 1、選挙も残すところあと2日になった。政治評論家は名誉?をかけてその分析中だろうが、当初計画の9月4日を、公明党の要請で11日にしたことがどう出るか?かなり難しいところだろう。親しい評論家は、既に公示前に「自民過半数確保、公明漸減、民主減少、泡沫全滅」と分析していたが、先日の新聞の“意図的”分析では、自民圧勝と言う。いつものことだが、候補者や、党首の演説を聞いていると、「修飾語」の羅列が多く中身に乏しい。10〜15分程度の演説だから、難しいことはわかるが、発言から「修飾語」を除去すると殆ど何も残らない。つまり、何が言いたいか?を分析し様にも、中身が残らないのである。我々は幹部学校で「極力修飾語を除去する文」を書くことを学んだので特にそう感じる。軍隊では修飾語は不要に近い。命令の内容は、それを受ける下級部隊指揮官が、上級指揮官の「企図」を明確に理解することが要求されるからである。修飾語に溢れた党首=最高指揮官の言葉から、候補者は勿論、有権者も、果たして「明確な企図」が掴めたであろうか? 投票率は増加するだろうが、結果が気になるところである。
  • 2、朝日の箱島社長が、取締役相談役と、新聞協会会長職を辞任したと言う。聊か遅きに失した感があるが、謝罪、辞任すれば済む、と言う単純な問題ではない。9日の産経新聞「主張」は、「真の解体的な出直しを」要求しているが同感である。細部は「主張」に譲るが、「朝日と言う看板に寄りかかった『おごり』は」変わりそうにないと私も思う。彼は福岡の我が母校出身で二年先輩のいわば同窓生だが、今年新年の同窓会紙に、今年は戦後60年の記念すべき時として、なんと朝鮮半島の国の「対日戦勝60年をお祝いする感想文」を書いていた。私はさほど気にも留めていなかったのだが、福岡の同窓生や先輩方から「あいつらしかバイ」と驚きと怒りの電話が来て始めて知った。後を継いだ秋山新社長の采配が気になるが、既に労組は「憲法9条を守る会」を発足させて熱心な活動を開始しているというから、やはり「赤い、赤い、朝日は赤い」のであり、前途多難であることは間違いない。我が航空自衛隊は、雫石事件や日航機事件など、多くの「誤報」で多大な損害を蒙り続けてきた。バグダッドの「人質事件」も、確か週刊朝日のレポーターが絡んでいたはずである。とにかく「反日」「反軍(自衛隊)」「反米」である以上、私としては記事内容に「疑問符」をつけて読まざるを得ないのだが、今後新体制で、どこまで「まともな報道機関」に回復できるか、秋山社長の手腕に期待したいものである。
  • 3、米国南部を襲ったハリケーンの被害は予想以上で、ブッシュ政権も苦労しているようだが、8日の産経新聞は「ハリケーン被害救援・日本100万㌦」と言う記事で、「各国・地域や機関が表明した主な支援」を一覧表で示していた。大変興味ある表であったが、中国が日本の5倍だったのには驚いた。まさか日本のODAを回しているのではないだろうが・・・。これを見てもはっきりするが、かの国にODAを出す必要はさらさらない。感動したのは「スリランカの25000ドル、インドネシアの医師45人を含む医療チーム200人、毛布一万枚」であった。きっと先の津波救援のお礼であろう。アフガニスタンが10万ドル出したのも目に付いた。いずれイラクもそうなればよいのだが・・・。経済大国日本の拠出額が、最貧国並だったのは少々さびしいが、問題はその後確実に実行されるか否かである。これもまた「9・11総選挙」の思わぬ落とし穴だったのかもしれない。
  • ところで、9日の産経は、ハリケーンの救援遅れで「FEMA長官解任要求」が出ていると報じた。空前の被害に手腕が発揮できなかったのだろう、と締めくくっているが、要は「油断」があったのではないか? その記事に並べて古森義久氏のレポートがあり、「責任は大統領より地方にある、と言う意見が2倍だ」と言う。先日災害派遣の体験をブログに書いたが、予想される事態に対して準備万端整えて待機していても、いざ実働してみれば「予想外」の問題が立ち塞がるものである。だから普段からの「演習」が必要なのだが、消防や自衛隊以外は全くといって良いほど関心がない。その典型的なものが「阪神淡路大震災」であった。時の首相があの村山氏であったという不運もあったが、兵庫県は何をしていたのか! 革新県であった兵庫県は、普段から全く自衛隊を無視し協力を拒否し続けてきた。時の中部方面総監・松島陸将は私が尊敬する先輩だが、その彼でさえも動きが取れなかったのである。事実通信ラインは破壊され連絡網は寸断されていたのだから困難な点があったのは理解できるが、常々知事と交流が出来ていれば「ア・ウンの呼吸」で出動できたはずだ。シビリアンコントロール逸脱!と朝日は書くかもしれないが、これは「クーデター出動」ではないことは明らかである。事後問題になったら(なるはずはないが)潔く法に服すればよい!何よりも「救出が優先」されるからである。
  • 他方あの時、地方の責任者であった兵庫県知事はどこにいたのか? 情報によると「有馬温泉に宿泊していた」というが、側近は何をしていたのか? たとえ裸であろうと浴衣がけであろうと、直ちに指揮を取るべきであったろう。今回のニューオリンズでも、「住民避難や州兵出動を州知事が大統領の要請を拒んで遅らせていたことも明らかにされた」と言うから兵庫県とよく似ている。共和党民主党自民党と「社会党出身」と言う主義主張の違いはあっても、又、選挙で語りかける「各党ごとの甘い?約束」に拘らず、一致団結して事に当って始めて「指導者」ではないか! 日本人もアメリカ人も結局「人間」、考えることは同じだなあと思ったが、地震の犠牲者7000人、ハリケーンの犠牲者1000人は本当に気の毒だった、と思わざるを得ない。

衆院選も正に終盤、人心一新と「世直し」目的が達成できるか否か? 立て続けに起きた多くの災害と、9・11選挙とが重なって見えたのは私だけであったろうか。
有権者の「理性ある判断」を期待する以外に無い。