軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

「南西方面、波高し!」

東シナ海を巡る「資源戦争」は予断を許さない状況になってきた。昨日来報道されているが、春暁ガス田周辺に中国海軍の軍艦が「示威行動」に出てきたからである。今朝の産経によると「生産開始が間近になり、日本への何らかの示威行動の可能性も考えられる」と「防衛庁関係者」が語ったそうだが、ミサイル駆逐艦など5隻が行動している以上、明らかな「示威行動」であり、我国に対する「脅し」であることは明白である。丁度、我国は衆院選の投票直前、その昔、台湾の総統選挙で李登輝氏を威嚇して落選させようと企み、ミサイル演習を強行して米国の怒りを買った状況に酷似している。しかし今回は米国も「多忙」である。わが身に降りかかる火の粉は自ら排除しなければならない。
中国のこの「作戦」が、我国の総選挙に如何なる効果を及ぼすかは不明だが、台湾ほどの団結力を今の日本人には期待できないから、経済人あたりから「中国を刺激しないように!」と政府に要望が出されかねない。まさかとは思うが、この周辺での「試掘」を許可された我国の業者が、「怖いから」といって撤退する様なことがあっては絶対にいけない。しかし残念なことに戦後60年、余りにも「軍事音痴化」しすぎてしまったから、起こりえないことではない様に思われる。逆にこの程度の威嚇では、日本国民は何等自覚しないかもしれないとも思われる。問題が「理解できない」からである。
「選挙威嚇」は別にして、今後の南西方面の様相をシュミレーションすれば、中国軍艦の示威行動を手を拱いて座視している場合ではなかろう。私は以前この海域に、中国の漁船や「調査船」ならばいざ知らず、「軍艦」が出動してきたら、我が政府はどう対処するのか?と警告してきた。そして海上保安庁の巡視船ではなく、「自衛艦」を出動させて警戒に当たらせるべきだ、と強調してきた。遂にそうなったのだが、海上自衛隊はインド洋に展開し、戦力展開のやり繰りに汲々としているのが実態である。勿論陸自も空自も、先の「軍縮」が効き始めてきて、極めて不自由しているのが実態である。しかも予想外?の災害派遣続出である。
次期政権は、まず世界情勢を早急に分析し直して、米国との安全保障確立、自国防衛力の再編に取り組んでもらいたい。普通の国であったならば、この状況を踏まえて自衛力の増強を図るのが当然なのだが、残念ながらこの国は未だに「普通の国」ではない!
小泉総理は「防衛予算も聖域ではない」として、大幅削減を時の財務省女性主計官に命じ、その結果陸自5000人の削減と大幅な予算削減が決まった。これは今後5〜10年後に響いてくること間違いない。しかもサマワには陸自部隊派遣を継続し、インド洋、クウェートに海自、空自部隊を貼り付けている。勿論それらの部隊が、世界戦略に貢献していることは論を待たないが、国内は戦力不足で苦慮していることを忘れてはならない。
まさかとは思うが、未だに北方領土をロシアに不法占領され、竹島まで韓国に占領され、北朝鮮には多くの同胞が「拉致され」たままである事を忘れているのではなかろう。
これら、我国の存立を根本から揺るがす難問を解決出来ない「政府」であったら、国民は納税する必要を認めなくなるだろう。今回の「世直し選挙」は、多くの国民が「密室政治」「金権政治」「自主性なき朝貢外交」「国民の生命財産を守れない不甲斐なさ」など、政府与党に対する鬱積した不満をどう投票で表現するか、そこが今回の選挙の最大の注目点だと私は意識している。その後しばらく政界再編の「余震」は続くであろう。しかし、国の根幹をなす「国家防衛・安全保障確立」こそは、国民に対する最大の福祉だ、という自覚を、議員各自が持たない限り、この国はいつまでも「軍艦数隻」で脅迫され続けることは疑いない。
もしも今回の選挙結果、今迄と変わらぬ、何の希望も持てそうにない、そんな哀れな結果が出たら、「一飛行機野郎」がどんなに叫んでも無駄だから、私は静かに「晴耕雨読」生活に入ろうと思っている。もっとも「人権法案」が通過したら、イの一番に「収監される」のがオチだろうから、その時に備えて、八年ぶりに「剣道の防具の手入れ」を始めているが!