軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

防衛が必要なのは「阪神電鉄」だけか?

今朝の産経新聞の一面トップに「阪神電鉄防衛に着手」と大きな見出しが躍っている。いうまでもなく、村上ファンド阪神電鉄株の38・13%を取得したことに対抗して、阪神電鉄側が買収防衛策に乗り出したことを報じているのである。テレビもこの問題で持ちきりだが、私はこれらの報道を見ていて、この国はついに「商・農・工・士」の世界に成り下がった、とつくづく思う。誤解を招かないためにお断りしておくが、「身分制度」を復活せよというのでは決してない。「汗水たらして働くこと」よりも、「悪知恵?を使って楽に得をする」風潮が定着したと感じたのであるが、その兆しは、その昔、S銀行のIという女性行員が、好きな男に預金者の帳簿から勝手に「電算機」を通じて多額の金を貢いでいた事件にあった。

  • その頃はまだ月給は現金を「給料袋」で運んでいたから、一家の主人たる私は給料日の僅か一日の間だけだったが「家長」としての威厳を保てた。家内は給料袋を仏壇に上げてご先祖様に報告し、夕食時に「一本」つけて私に感謝し、子供達に「袋」から御小遣いを渡すと、子供らはそれぞれ「パパ、ありがとう」と言って受け取ったものであった。こうして僅か?月に一度だけではあったが、優越感と満足感を味わったもので、そのたびに「よし、家族のために頑張ろう!」と奮い立ったものである。ところがどうだ、その後「銀行振り込み」となり、分厚い??給料袋は「無機質な数字」が打たれた紙切れ一枚だけに変わった。
  • 確かに単身赴任中の不便さは解消されたものの、その後、一歩出遅れると家内に全額引き落とされる!という悲劇に見舞われることもたびたびになった。そして家族は、給料は「銀行」が支払ってくれるものと錯覚し、主人より銀行を大切にし始めた! 伝統的な日本文化の一つがこうして消滅したのである。つまり、額に汗していただく賃金という感覚は消えて、コンピューターに打ち込まれた数字が主役となり、汗水たらして獲得した主人とは無関係に“勝手に”通帳に金額が振り込まれる方式になったのである。そして信用?していたその「銀行」からも裏切られる。この頃から、日本人の金銭感覚は大きく狂いだしたように思う。証券一枚で、額に汗して築き上げた「他人の業績」までも、一夜にして奪い取ることが流行になったのである。
  • マア、一般企業の株式は資本主義社会の象徴なのだから、投機だとか博打だとか言われていても、ルールに従っている間は未だそれでよかろう。被害はその当事者にほぼ限られるからである。しかし、国家となると話は全く別問題である。“村上ファンド国”と“阪神電鉄国”との戦いを、面白おかしく取り上げているメディアは、「焦土作戦」だとか、「防衛作戦」など軍事用語を乱発しているが、それを国家に当てはめてみるが良い。ロシアは我が北方領土を「占領」し続け、北朝鮮はわが国民を「拉致」し奴隷として監禁し、韓国は竹島を勝手に「占領」、中国は東シナ海で「資源戦争」を開始している。我国周辺には、「本物の軍事作戦」が展開されているではないか! ジャーナリストかなんだか知らないが、本物の「軍事作戦」が必要とされる場面には頬被りをして、マネーゲームに軍事的発想をひけらかす御粗末さには言葉もない。
  • 私は常々「間接侵略は始まっている」と警告してきた。小堀教授の本日の「正論」にはその脅威が語られているが、国民は気づいているだろうか?日本国の存立を脅かす「女帝容認論」、恐怖の「人権擁護法案」、そして明らかな「間接侵略手段」だと私が見ている「外国人参政権法案」などなど、村上ファンドなど、足元にも及ばない恐るべき外国による「買占め戦略」が、徐々にこの国を蝕んできているのである。それに対する我が政府に、国民を守るべき「防衛策」は果たしてあるのかどうか?都内の盛り場を観察するが良い。将来を担うべき青少年達の恐るべき実態は、常識を疑う域に達している。麻薬の氾濫、暴力行為の「黙認」、そして性行為の若年化である。
  • 北朝鮮の我国に対する「戦略」の基本は、偽札をばら撒いて日本経済を混乱に陥れ、麻薬の蔓延によって日本人を絶滅せんとするものだが、情報によると中国がこれに加わり、病原菌の散布、とりわけ青少年に対して「HIV」を蔓延させて、日本民族の絶滅を図ろうとしているのだという。いうまでもなく中国は、英国をはじめとする植民地時代に、恐るべき「麻薬蔓延作戦」の被害を受けた。「アヘン戦争」である。彼らはその教訓に学び、これを我国に適用している節がある。ただ、肝心の中国国内の方が異常に蔓延しているので共産党政府は困惑しているようだが、何しろ相手の人口は13億人、我国はその10分の1に過ぎない。どちらが先に滅びるか自明であろう。
  • 「敵」からの侵略に対する防衛作戦としての戦争は、主権の維持、領土保全、民族繁栄の為に取るべき最後の手段であるのは当然だが、小堀教授が書いたように「異文明からの挑戦に対する我が民族の文化防衛」も本命であろう。“阪神電鉄国”が“村上ファンド国”に占領され、阪神タイガースが“奴隷化”しようとも、一般国民にとってはさほどの影響はない。しかし、日本国が“アジアの近隣諸国”に占領され、一億の国民が“奴隷化”することだけは絶対に「排除」しなければならない。間接侵略は始まっている!

阪神電鉄「買収」事例を茶化しているメディアに、足元に迫っている「国家買収作戦」に、もっと注意すべきだと警告すると共に、国民の大きな支持を背景にした“強力な”小泉政権にも十分警戒するように重ねて警告しておきたい。