軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

ネルソン提督と東郷元帥…朗読会

  • 今日は九段会館で「朗読会」に参加した。チャンネル桜のキャスターでおなじみの桜林美佐君の朗読会である。タイトルは「ネルソン提督」。一般的な内容に留まらず、ネルソン提督の人間関係やその後のエピソードが実に旨く取り込まれていて、目からうろこの部分も多かった。特別講話は古庄元海幕長で、海上自衛隊と英海軍、三笠とビクトリー号にまつわる裏話で、これがまた実に貴重なものであった。
  • 昨今のぎすぎすした周辺諸国との関係にうんざりしている私にとって、話しを聞いているうちに「ハタ!」と浮かんだ事があった。アジア諸国と友好関係を結ぶべきだと拘る人達が多いが、果たして「憎しみを持って突っかかってくる隣人」であっても、隣近所だから仲良くしなければならないのか?という問題である。米英と我国は、確かに60年前に血みどろの戦いをした。人種差別が激しい「白人国家」に対して、国内の民族主義者が反旗を翻し、アジア民族の団結を掲げた論陣を張った。「大東亜共栄圏」の考え方もそうであった。しかし、「人種差別」は白人だけの専売特許ではない。アジア人同志だって結構ある。問題は、人種よりも、お付き合いする基準は、「民度」ではないのか?民主化、あるいは文化の発達程度と言っても良い。つまり明治時代の我が先達は、遅れたアジア諸国(最も植民地にされていたのだから無理な話しではあったが)よりも進んだ欧米文化を積極的に取り入れて、世界の大国の仲間入りを果たした。大東亞戦争では、勿論スターリンの謀略に引っかかって、先進国同志が戦って、後進国ソ連の台頭を許してしまった。その結果、共産主義との対決を招き、20世紀は戦争の世紀と化したのではなかったか?
  • 21世紀の日本の進路は、お付き合いする国の「国柄」を良く見極める必要があろう。古庄元海将の話しを聞きながら、日英海軍同志の素晴らしい友情が羨ましくなり、ついつい考えさせられたのである。つまり、アメリカ「べったり!」というのは考え物だが、だからといって軽軽に「反米」「反欧」に走るのはいかがなものか。「地理的近さ」よりも「民度の近さ」の方が大事ではないのか?と思ったのである。
  • 桜林君の第2話「体操のススメ」も実に良かった。「体操」とは海軍体操の事で、開戦直後に蘭印のセレベス島メナドに落下傘降下した海軍部隊の指揮官、海兵50期堀内豊秋大佐物語であった。大佐はインドネシア現地で善政を敷いたので、住民にこよなく慕われた人格者であったが、戦後オランダ軍に戦犯として銃殺刑に処せられた。目隠しを断り、両手を高高と上げて射手に向かって「撃て!」と命じて倒れた。47歳であった。史実に基づく内容を現代風にアレンジした聞きやすい物語で、80名を越える聴衆で満員の会議室は、感動に包まれた。このような「気軽に」聞ける朗読会は、小学校などで開催して欲しいものである。
  • 会場で何人かの私のブログ読者に会い、「朝開きましたが、20日から変わっていませんでした…」といわれて恐縮した。ついつい多忙に紛れて更新が遅れ申し訳なく思っている。機会を見て英国海軍と海上自衛隊の友情物語ほどの内容の濃い物語ではないが、私が体験した米空軍とのユーモア溢れる出来事について書いてみたいと思っている。