軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

安倍新政権発足!

安倍新政権が発足した。肝心なときに病院で検査を受けていたものだから、昨日夜以降、改めてその状況を知ることになった。小泉首相の“退陣風景”も何と無く今までになかった「爽やかさ」があり、安倍新政権発足「風景」にも「爽やかさ」が感じられたのは、個人的な“診察結果”に安心したせいであったかもしれない。
 閣僚の人選などについては素人の私には論評できないが、今後の問題点をよく考慮した人選であるような気がして一安心した。
 戦後生まれの若い新首相誕生だから、国民の期待と、マスメディアの「あら捜し」で当面大変だろうが、気にせず信ずるところを進んでほしいものである。
 中国も韓国も、何と無く「お手並み拝見」的態度を決め込んでいるように見えるが、内心ひやひやしているに違いない。

 私は「2008年危機説」を唱えているのだが、後一年半、しっかりした体制を確立し、周辺事態の動きに巻き込まれないようにしてほしいと思っている。
 2008年、韓国大統領は交代する(だろう)。台湾もそうである。ロシアもどうなるか…。インドネシアも大統領選挙である。それまでにタイは民主制を確立できるかどうか…。そして中国、北京オリンピック前に、国内を“統一”しておかなければならない。しかし、報道によると、とうとう「上海閥」と「北京閥」の対立が表面化して、陰湿な戦いが始まっているようである。今のところ胡錦濤グループが優勢らしいが、上海閥の反撃も相当強硬だろうから油断はできない。それが「ネット環境浄化月間」と称する「メディア規制」や、「キリスト教徒弾圧」や、上海市のトップ「陳良宇党書記(政治局員)の解任」劇であり、とばっちり?のような「日本製アニメ規制」による「愛国教育強化」、「日本製化粧品・食品締め付け」である。
 これらの“騒動”の裏には、江沢民前主席対胡錦濤主席の権力争いが垣間見える。“北京オリンピック”の後は2010年に“上海万博”が予定されている。言葉を変えれば「オリンピック」対「万博」の争い?とでも言うべきか。そして「党の軍隊」は果たしてどちらに付くのか?
 安倍新首相は、二階氏の取り持ちで、年内に北京を訪問するという噂があるが、中国国内の「権力闘争」に利用されないよう、十分な配慮をしてもらいたい。

 1920年代、第一次世界大戦終了後の国際秩序維持のため、ワシントン会議条約体制下、戦後秩序作りの一環として「1926年秋までの期間、中国以外のワシントン条約加盟国は、中国を含む各国すべてが同意していた会議の目的達成と伸長に向けて、異例ともいえる緊密な協力をした」が、中国民族主義者による動乱が頻発し、その目的が頓挫した。その原因は、中国北方の匪賊出身の「粗暴で反動的な軍事独裁者―張作霖」と、「感情的には変動しやすい中国南方では、孫文の革命党内における仲の悪い諸派が、ロシア人政治顧問の働きかけもあって歩み寄り、その結果国民党がやっとまとまった政治勢力となって」(「平和はいかに失われたか」ジョン・アントワープ・マクマリー原著。衣川宏訳)両者が互いに権力闘争に明け暮れた歴史がある。
 上記「マクマリー・メモランダム」の編著者であるアーサー・ウォルドロンは、日本語版への序文にこう書いている。
「1920年代及び30年代と同じく、現在のアジアには、明確に定義された国際秩序が存在しない。第一次世界大戦による国際秩序の変化の後には、ワシントン会議が開かれた。それは、単なる戦後を越えて、戦後秩序を作り出そうとする明確な試みであった。今日のアジアには、第2次世界大戦と朝鮮戦争の後に作り出された秩序が、本質的には変わることなく続いている。それから半世紀が経過して、冷戦も終わったというのに、そうなのである。見方によっては、ワシントン会議において、1920年代の人々の方が、課題を直接に見つけていたということも出来る。そして彼らでさえ、平和の維持に失敗したということを忘れないようにしたい」
「歴史は繰り返す」といわれる。しかし、多くの「先達たち」が、中国の近代化を支援しつつ進めようとした、戦後秩序の建設に「失敗した事実」を学ぶ必要があろう。

 2008年、2月に台湾総統選挙が、そしてその結果5月に「総統就任式」が挙行される。その3ヵ月後の8月に、“待ちに待った?”北京オリンピックが開催される(予定である)。この年、日本に“好意的”であった、ブッシュ大統領も交代する。
想像するだけで、わが国は戦後最大の「難関」に立ち至る予感がする。
この難関に“戦後生まれ”の若々しい青年?宰相が、どう舵取りをしてこの国を「美しい日本」に変えていくのか。国民の一人ひとりは、決して他人事にするのではなく、自らの運命を決める覚悟で、その舵取りを支える必要があると思う。

ところで、コメントが多すぎると「掲載」不可能になるらしい。熱心なご意見が多いので感謝するが、聊か感情的なメッセージも目に付く。特段『中国政府』のように“規制”はしないが、一般的常識に従ってご投稿願いたいと思う。

意見が沸騰した「日の丸」「教育」問題については、また日を改めて書くことにしたいが、安倍総理始め閣僚の皆様方、くれぐれも「健康第一」で!!