軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

米、中、露、3国関係の気になる動き

 中国兵によるチベット人尼僧「射殺事件」は、インターネットの世界で拡散しているが、今朝の産経新聞は「チベット族への発砲で対処を」という、フランスの動きを伝えている。
「フランスの与党・国民運動連合のリオネル・リュカ下院議員は23日、先月ネパールに渡ろうとした複数のチベット族に対し中国兵が発砲した問題で、25日から訪中するシラク大統領に対し、この問題を取り上げるよう要請した。仏外務省のマティ報道官は23日の記者会見で、この問題が19日に北京で行われた欧州連合と中国との人権問題に関する協議で取り上げられたことを明らかにした」という小さな記事だが、今後の影響は大きいように思われる。
 
 さて、北朝鮮の核をめぐる問題で、米のライス国務長官はアジア各国を歴訪したが、ロシア訪問だけはなぜか小さな扱いでしか報道されていない。
 原因は昨日私がブログに書いたように、ライス長官が「ロシア人女性ジャーナリスト暗殺事件」の葬儀に参加したことにあるようだ。確かに「米国務長官」自らのこの行動は、プーチン大統領としては「不快」だったろう。
 一方、ライス長官の中国訪問は「予想以上」に成果があったようだが、ロシアは冷たい。その結果どんなことになるか?
 米ー中間は「親密」で、米ー露間は「疎遠」、米ー韓間も「ギクシャク」、日ー米間は「強固?」だと仮定すると、今回の「事変」で、日、中、米がスクラムを組みつつあるように見える。
 北朝鮮に対する影響度は、中国が一番だから、ロシアはどうでも良いというわけにはいかないが、今回のライス長官訪露における「シグナル」は一体何なのだろう?
これで中ー露間の関係はどう動くのか?上海協力機構に変化は出るのか?
 とにもかくにも中国の最大の関心事項は「2008年のオリンピック開催」であり、万一これがだめになったら、中国国内に大問題が出て胡錦濤主席の立場は危うくなる。
承知のように胡錦濤主席は、就任前にチベットを担当して、チベット人「虐待」の責任を西側諸国で取りざたされた経緯もある。
 しかし、ある情報によれば、当時の胡錦濤氏は高山病の傾向があったため、チベットへの赴任途中、何度か休憩を取る必要があったのだが、その間に現地軍の指揮官が「実行」してしまい、着任した胡錦濤氏はそれを知って「激怒」したという。
 今回の発砲事件が、彼にとってどう影響するか?対立派は胡錦濤氏を打倒する材料に使うだろう。そのとき、人道を重視する米国はどう出るか?
 アジアにおいては、北朝鮮問題の解決を最優先にしている米ー中は、おそらく共同して北に対処しようとするだろうが、ロシアは今回の「反米感情」から、フランスは「反米+人道」の観点から、米中間に「楔」を打ち込むかもしれない。そうなれば「金正日」は“儲けもの”である。まだ何とか生き延びれる・・・。そうなった時、我が国はどうするか?
 何と無く1970年代における国際関係、特に「米ーソー中」関係を思い出したのだが、米国は再び中国を活用して、この危機を有利に進めたいと思っているように見える。そうであれば、何としてでもオリンピックを成功させたい中国は、米国に「認められる」成果を挙げ、予定通りオリンピックを成功させたいだろう。オリンピック成功=胡錦濤政権安泰である。
 その場合、北朝鮮をどのように「処分」したほうが中国にとって有利になるか?
北朝鮮領土は、寸土たりとも米、露の影響下に置かせない。しかし金体制は変えねばならぬ。内部崩壊を進めるか?外部から「金正日とその一派」だけを排除するか?
その手段をどうするか?案外、米中間で「極秘」の協定が結ばれているのかもしれない。・・・などと、小説風に考えて楽しんで?みたのだが、福島県知事の汚職逮捕事件、京都福祉事務所の「幼児餓死」放置事件、奈良市の同和役員?のデタラメ就業事件などなど、日本国内では「人間の顔をした鬼たち」の報道ばかりで、気が滅入る毎日である。
 こんな「醜い日本」の現状を、一日も早く「美しい日本」にしてほしいのだが、安倍新首相には「あせらず、着実に」まず外堀から歩を進めてもらいたいと思う。