軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

JC製作DVDを共産党が批判?

 中国の空母保有については熱心なコメントが寄せられ、関心の高さが伺われる。たまたま昨夜、ディスカバリーチャンネルで「驚異の軍事兵器」という番組を見たが、改めて米軍の“実力”を思い知らされた。
 SLBM潜水艦などはまだまだ機密が多かろうに堂々と“解説”しているのは米国の《自信》の表れだろう。空母は「ステニス」だったが、聊か古い映像だとしても、空母の特性をよく表している。
 私も三沢基地司令時代に、三沢の米海軍司令官が空母「ミッドウェイ」の視察に誘ってくれたので、輸送機ではるか太平洋で演習中のミッドウェイに着艦し、身近に離発艦する現場を視察したことがある。輸送機は低速のターボプロップ機だったが、着艦時の衝撃と発艦時のカタパルトの衝撃は、F−16で体験した9Gと共に今でも忘れられない。あれから既に10数年、各種兵器は恐るべき進化を遂げているに違いない。

 ところで今朝の産経新聞を見て「オヤッ?」と思った。29面(修正)左上隅に小さく「愛国心育てるDVDに批判」とあり、「委託研究費辞退へ・JC」と続く。読んでみて驚いた。
「国を愛する心をはぐくもうと日本青年会議所(JC)が作成し、文部科学省が指定した委託研究事業に含まれる『近現代史教育プログラム』について、JCは20日、文科省から支出される予定だった委託研究費を辞退する方針を明らかにした」というのである。ところがその理由が極めておかしい。
「プログラムの内容に、各地の共産党系議員などから『戦争を賛美している』との批判が相次いだためで、JCは『多くの誤解を受けているが、(委託研究費を受けることで)更に誤解が広がるのを避けたかった』としている」というのである。つまり、「愛国心をはぐくもう」とするJC製作DVDに、共産党からクレームがついたから、JCは誤解を避けるために委託研究費を辞退するというのである。
 研究費<130万円>を辞退して「誤解が広まることを避ける」決断はどうであれ、ちょっと考えてみて欲しい。 《愛国心》にクレームをつけてきた日本共産党に「愛国心」などはぐくむ意思があるはずがないではないか!
 彼らが信奉する国は「ソ連」であって、コミンテルンに魂を売った組織のはずである。岡田嘉子樺太の国境を破って「祖国ソ連」に逃亡した。日本国を裏切った当時の幹部達は「モスクワ詣で」に狂奔した。
 戦後も国内転覆を企てて、各種騒動を引き起こしたのは歴史が証明しているではないか。
 昭和25年に朝鮮戦争が始まり、占領軍司令部も大東亜戦争の報復として取った日本弱体化を反省するが、当時の共産党が何を企てていたか、「マオ(誰も知らなかった毛沢東)下:ユン・チアン著・講談社刊)にもはっきり書いてある。
毛沢東朝鮮戦争への参戦を表明して以来、スターリンはアジアのあちこちを切り取って毛沢東に与えてきた。毛沢東は日本(日本の共産主義者勢力は朝鮮戦争に合わせた武装行動を準備するため、1950年春に北京に代表を送った)、フィリピン、マレー半島に至るまで、アジア地域の5,6カ国に触手を伸ばしていた。・・・」
 こんな過去を持つグループに「日本人の愛国心」を云々する資格は初めからないのである。
 将来を嘱望された若手経営者たちが集まるJCには、毅然と対処して欲しかったが、DVDの使用停止には応じなかったらしいから、一応評価しておくことにする。しかし、これを機に共産党の歴史を「筆坂」氏の著書などでよく研究して欲しいと思う。

 さて今日は、昨日届いた「中国民族問題研究」と言う“レア”な小冊子をご紹介しておきたい。
 元大学助教授の殿岡氏が主催するグループの冊子で大陸情勢に詳しい。6月号には「北京五輪をめぐる中国内外情勢」を殿岡氏自ら分析しているが、ここには中見出しだけを書くことにする。
「1、頻発する中国の危険行為」「2、顕在化してきた北京五輪ボイコットの動き」「3、広西チワン族自治区の暴動」「4、北京五輪は無事にはすまない?」と自らの視察を含めた情報満載である。青森に漂着した脱北者に関する記事も面白い。
 私はこの冊子に連載されているチベットウイグルなどでの「受難者による実体験記」を興味深く読んでいるのだが、僅か40ページ足らずの中に「きらきら」輝く情報が溢れているので、年間購読料5000円は決して高くはないと思っている。殿岡事務所はJCよりも遥かに小さな組織なので、文科省から委託研究費が出る筈はない。
 2008年に向かって予断を許さない大陸情勢を補完したいと思っている読者がおられれば、下記に問いお合わせ頂き“御支援”賜りたいと思う。
        《殿岡事務所・殿岡昭郎・・・電話《03−3664−1666》」