軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

一寸策は真っ暗?

「既に531万件ヒットですね。一日1万件、凄いッスね!」と後輩から言われた。たしか先月5日に500万件ヒットしていることに気がついたのだから、7日現在531万件と言うのは、ここ一月で30万件増えたことになる。コメント欄では、信濃丸氏などが実に熱心な憂国論を展開していて、管理者たる私もしばし考えさせられる毎日である。
 一昨日、特殊な才能を持つ友人から電話があり「来年、大陸で甚大な災害が起きる」と言われた。そういえば、ジュセリーノさんという「世界最高の予言者」が、この7月は「アフリカのコンゴで火山爆発」「中国は洪水と旱魃で死者が多数発生」「北朝鮮金正日政権が崩壊」と予言しているという。ちなみに先月は「フィリピンとアメリカでかってない規模のハリケーンが発生」「アメリカで臨時大統領選挙」「インドネシアで大地震津波が発生」と予言していたが、米国の竜巻被害などは的中したものの、あとは“外れた”ようだから、今月の予想もどうなるかは分からない。しかし、地球上でおきている信じられない規模の災害は、間違いなく的中しているようだから、油断はできない。我が国でも数日前からの「水不足報道」はどこへやら、いまや「九州地方大水害」のニュースである。一寸先は闇、今月の選挙結果次第では、この国もお先真っ暗か!

 ところで昨日の産経新聞に、「中国人民解放軍の陸、海、空の3軍が制服を一新した」という記事が出ていた。一瞬、わが女性自衛官の制服更新か?と思ったが、写真のモデルは人民解放軍女性兵士達であった。しかし、何と無くわが女性自衛官の制服に似ている。特に空軍兵士の右ポケット上についている「航空徽章」はソックリである。とうとう制服までも「コピーし始めたか!」と苦笑したが、「ある軍司令官は新しい制服について、『人民解放軍の兵士は、国家の誇りを示す洗練された象徴となるだろう』と述べた」そうだが、何時から「国家」の軍隊になったのだろうか?と笑ってしまった。その軍司令官がどこに所属している司令官かは知らないが、“人民”解放軍とは名ばかりで、「人民を共産党政権に隷属させるための道具」に過ぎないことをお忘れのようだ。天安門広場事件はそうではなかったか?『国家の誇り=共産党の誇り』と言うべきである。
 かの国は、一人っ子政策の影響で兵士募集が苦しいようだから、せめて制服を派手にして募集効果を上げようというのか、それともいざという時に日本国内に潜入させて、自国軍の制服さえ知らず、区別が出来ない軍事に疎い日本国民を「撹乱する」つもり?かもしれない! 女性大臣を頂く防衛省自衛隊の諸君、ゆめゆめ油断めさるな!
 その記事の上に、予想されたことではあったが日米間同盟を揺るがす懸案事項が出ている。「F−22対日輸出・米議会報告」がそれである。
 現在航空自衛隊が進めているF−Xの最有力候補であるステルス戦闘機・F−22Aラプターの日本への輸出に関するレポートで、「輸出が実現すれば同盟国の防衛に貢献し、相互運用を促進する半面、技術拡散や地域の安全保障を不安定にする可能性もあるとしている」そうだが、米国内法で輸出が禁止されているF−22を、規制を撤廃してでも同盟国に輸出しようとしている「同盟国側の信頼」を、受け皿である当事国・日本側がその体制が全く出来ていない不備を突いたものでもある。
 米軍は機体価格が高価なため、当初計画を200機も下回るから、信頼できる同盟軍・航空自衛隊に輸出してそれを補完しようと考え、メーカーも、閉鎖予定の生産ラインを存続して、安定した雇用確保をもくろんでいるが、日本側の現憲法下で未解決の集団的自衛権問題や、何よりも秘密漏洩に対する措置が不十分なことを警戒しているのである。「不注意による技術や知識の漏洩は脅威である」と指摘。具体例として、海上自衛隊イージス艦の中枢情報に絡む情報漏洩事件を挙げた」そうだが、なんとも早情けないこと限りない。
「中国や韓国が日本がF−22を取得することに懸念を表明」しているのは、如何にF−22に脅威に感じているかの証拠であり、わが航空自衛隊としては抑止力としても是非ともこれを装備すべきなのに、日本側のメーカーからも、直ちに貴重な情報が相手国に流れることを米国は警戒しているのである。何しろ、関連メーカーの工場内には、労働組合の名を借りた“組織”があって、情報が直ちに流出することをCIAはつかんでいるから、どうにもこの問題解決は厳しいであろう。
 自衛隊憲法で「国際紛争を解決するための手段として」は「保持することを禁じられている戦力」だから、周辺諸国が攻めてこない限り「戦うこと」はまずあり得ないが、同盟国である米国は、世界の警察官として地球上の各地で戦いを続けている。つまり、それだけ「敵」が多いのだから、情報は直ちに「敵側」に流れ、失わなくても済む筈だった「米国人パイロット」の命が失われかねないのである。その真剣さに比べて我が国は、「ノー天気」と揶揄されるほど情報管理はいい加減で、イージス情報漏洩事件でさえも防衛省自身で処理することが出来ず、警察のお世話になっている始末だから、同盟国は「イライラ」しているのである。
 その昔、東京湾で起きた潜水艦「なだしお」と遊漁船との衝突事件の調査などについて、彼らは詳細に掌握していて、遊漁船は北朝鮮がらみだったからか直ちに「証拠隠滅」され、隠密に行動するべき潜水艦の「性能試験」を公開で実施したことにあきれ果てたのである。こんな軍事的常識欠如の「同盟国」に世界最先端技術を渡そうものなら、自国の国益に重大な損害を与えかねない。生産ラインの存続や、従業員の雇用確保など、それに比べればどうという事ではない。「同盟軍」としての自衛隊は信頼に値しても、「同盟国」としての「日本国」は頼りないこと限りない。この事実を払拭しない限り、日米間の摩擦は絶えることはないであろう。最も、それが「反日国家」と「反日グループ」の最大の目的でもあるのだが。
 有事の際に、自国自身で国土も拉致国民も守ることができないこの国は、同盟国からも疑問視されているのであって、政治、天災のみならず、軍事に関してもやはり「一寸先は闇状態」なのである。